アンティークなSP専用のレコードプレーヤーの修復修理で安全性向上のため
電源ヒューズを取り付けいたしました。

↑ PR-5 に 1アンペアガラス管ヒューズをラグ板を介してハンダ付けいたしました。

↑ PR-7 に 1アンペアガラス管ヒューズをラグ板を介してハンダ付けいたしました。
経年劣化によるフォノモーターの巻き線の絶縁不良による発熱、レアショートによる
発煙、発火の事故の防止の為にも安全対策として必須条件と思います。
ビクターHiFiAudiola真空管ステレオ「BR-450」の修復修理で、
前回、長時間連続動作テスト中に下記の問題点が浮上しました。
①音量は充分ですが、注意して試聴すると、何となくこもったような音質で明瞭感が
不足気味です。低音と高音のバランスが悪く、低音のみが強調気味です。
②音量を絞ったときはハム音が気になります。
③B電源整流回路がダイオードによる片波整流回路を採用し、
ダイオードと平滑用のブロック形電解コンデンサーの信頼性が乏しい。
その結果、影響のあるコンデンサー等を全て交換いたしました。
それ以後、エージングテストを続けておりましたが、問題なく、納得の仕上がりとなり、
シャーシーをキャビネットに組み込みを行いました。
最後にキャビネットのクリーニングを行い、多数の地肌の露出した小傷の修正をおこない
極端に目立たないようにいたしました。

↑ 光沢も蘇り風格が上がりました。

↑ レコードプレーヤーは酷い状態でしたが、今は見違えるようになり、
ダイヤル面もきれいになりました。
レコードを安心してかけられて、いい音を奏でてくれると、修理をした自分が嬉しくなります。
約60年前のアメリカ製Webcorポータブル電蓄の修復修理ですが、
当時の輸入品だろうとおもいますが、銘板のMODEL欄に訂正のシールが貼り付けてありますが、
文字がかすれて見えません。かろうじてモーターが回転する状態です。

↑ しっかり頑丈に造られています。結構重量があります。

↑ モーターのマウントを確認しますと、やはり、経年劣化でゴムブッシュが硬化して崩れ
てモーターが下がっています。メカの各部に注油も必要です。

↑ モーターを外します。

↑ モーターを点検注油しておきます。


↑ 各部に注油しておきます。

↑ モーターの回転に異常はありません。

↑ ゴムブッシュを取り付けモーターをマウントします。定位置に収まりました。

↑ 正常回転になりました。

↑ 3球使用の内蔵アンプです。

↑ 出力トランスからスピーカーへのリード線はトランス巻き線のエナメル線を
そのまま、接続していたものをビニール被覆のリード線に変更しておきました。

↑ 電源コードが経年劣化で硬化していますので、交換いたしました。

↑ クリスタルカートリッジが劣化のため、音が歪み出力が小さいため、
セラミックカートリッジに交換いたしました。

↑ 不良カートリッジと劣化したゴムブッシュです。


↑ 33回転と45回転レコードの動作テストです。
音量、音質、回転とも順調です。
この電蓄の元々の搭載のレコードプレーヤーは使用不能で撤去され、
間に合わせにコロムビアの卓上プレーヤーを上部ふたを開けた中に、
無理に押し込まれた状態で、使用されていました。
しかし、このプレーヤーも故障して使えない状態でした。
レコードプレーヤーの解体し改造が終わりまして、アンプ/ラジオ部の修復修理
を行います。

↑ キャビネット清掃後の完成画像です。

↑ 全てのコンデンサー類の劣化が激しく容量抜け、短絡などで、交換をいたします。
スピーカーの励磁電源は別電源になっていましたが、B電源回路からとることに変更します。
電源平滑用のチョークが劣化していますので、取り外し、
スピーカーの励磁用のフィールド巻き線を利用することにしました。
電源平滑用のブロックタイプの電解コンデンサーも交換ですが、外さずにそのままにして、
リード線を切断しておきます。
シャーシー上部のセレン整流器もリード線を切断しておきます。
↓ 交換後のシャーシー内です。

↑ すっきりしました。
ダイヤルロープも新しく交換しました。
前はダイヤルツマミを右回しで周波数が低くなっていましたが、
不便ですので、右回しで周波数が高くなるよう正常にしておきました。




↑ きれいに清掃して、永年のホコリを取り除きました。
音量、音質も6V6GTのプッシュプルとナショナル10F-71 25センチダイナミックスピーカーで
中低音が誇張されて、高音部不足はスピーカーの特徴でしょう。
モノラルでありながら充分楽しめます。
1953年頃のメーカー不明の高級コンソール電蓄キャビネット名「GOLD KING」の修復修理
のご依頼を地元のお客様からいただきました。

↑ この手のキャビネットは横型のステレオ電蓄の前に流行したデザインで「ダルマ型」と
呼ばれていました。
キャビネットのメーカー名は「ゴールドキング」です。
サイズ W 610 H 940 D 400mm

↑ 後部の様子です。

↑ スピーカーはナショナル10インチ フィール型高級ダイナミックスピーカー
出力トランスもナショナル製です。スピーカーは布で覆ってありました。

↑ 真空管のアンプ/ラジオ部はナショナル製 G-10 2バンドラジオ付きオールGT管です。



↑ こうして見ていきますと、どうやらこの電蓄はキャビネットメーカーのゴールドキングが
ナショナルのシャーシーを組み込んで販売していたと推察されます。

↑ とにかく、凄いホコリでダイヤルの文字も見えません。

↑ 当時の高性能なGT管を使用されています。。






↑ シャーシー内部を清掃して、殆どのコンデンサーを交換の予定です。

↑ 先ず、気になっていた、レコードプレーヤーの恰好をつけないといけません。
この電蓄の元々の搭載のレコードプレーヤーは使用不能で撤去され、
間に合わせにコロムビアの卓上プレーヤーを上部ふたを開けた中に、
無理に押し込まれた状態で、使用されていました。
しかし、このプレーヤーも故障して使えない状態です。
このプレーヤーの袴の部分を切り取ってボードにセットしないと蓋が閉まりません。
そこでプレーヤーを解体して袴の部分を切断しました。

↑ ボードの開口部も大きく広げました。
切断中に経年劣化しているベニヤの表面が剥がれて芯だけになってしまいました。

↑ 故障しているオートスイッチなどを全て撤去して、モーターとアームだけにしました。
大改造を行い、オール手動に改造します。




↑ ボードの補強材を取り付け、きれいに木目調のクロスシールを貼り付けました。
動作テストも好調です。


↑ キャビネットにセットしました。
格好良くなりました。
早速、大阪府のお方から「FILMON FA-100」の謎の機構部分に付いての
貴重な情報を戴きました。 ありがとうございました。
↑ フイルムに音の溝を刻んだ10メートルのエンドレスフィルムを走行させて
ピックアップで再生するものでした。

↑ ゴム製の大型ローラーの幅が36mmなのでもしかしたら・・・と思いました。
先人の知恵は凄いです。

↑ 最長36分間演奏のエンドレスフイルムです。
珍しい凄い電蓄の修復修理の依頼を受けました。
昭和初期の製造年不明の大型電蓄「FILMON FA-100」です。
これは製造はUSAでTOKYOのNIPPON FILMON.CO.LTDと言う法人が販売していたものです。
多分70年以上前の製品です。全く動作しません。
構造的に謎めいた、不可解な部分があります。

↑ 大きく、重く、ドッシリした高級感があります。
サイズ W 640 H 1090 D 480mm

↑ 上蓋を開けますと、レコードプレーヤーが搭載されていますから、確かに電蓄です。しかし・・・
手前の物体が私には判りません・・・・・

↑ これです・・・

↑ 正面から見ると・・・

↑ ガラスの扉を開けると・・・

↑ 円盤をアップすると・・・

↑ 下はラジオのダイヤルです。

↑ ウインチのモーターのような重く、でかく、頑丈なレコードの回転用モーターです。

↑ 後から見ますと・・・

↑ ラジオ/アンプ部は国産のようです。

↑ スピーカーはBOSCHの20Cm励磁型のダイナミックスピーカーです。
興味深い製品です。
レコードスタートはOKですが、
レコード盤ENDの位置でのオートストップは絶対無理が判りました。
原因はアームのコントロールレバーのサイズが短すぎることですが、
このプレーヤーはアームがオートリターンしませんから、
手動で戻さなければなりませんので不便を感じます。
予備のオートスイッチがありましたので、テスト的に取り付けしてみました。

↑ 最初のオートスイッチの状態です。

↑ 別の種類のオートスイッチを取り付けてみました。
事前にこのオートスイッチの動作を入念に調べました。
モータースイッチの接点が腐蝕して接触不良を起こしていましたので2000番の紙やすりで
磨いておきました。
ON/OFFの位置関係も当ててみて仮調整しておきました。
このスイッチはモーターOFF時の出力短絡の構造にはなっていませんが、
接点が足りませんから仕方がないと思います。

↑ 微調整の結果、定位置でのスタート/ストップの正常動作を確認出来ました。

↑ 最初のオートスイッチとの比較です。

↑ 交換後の裏面の状態です。
アンティークなSP専用のレコードプレーヤー「ビクターRP-7」と同型の
「RP-5」です。少し年式が古くなります。
キャビネットも構造もほぼ同じですがカートリッジはクリスタルです。

↑ 先ず、一旦外されて又仮付けしたような不完全なピックアップアームが気になり
取り外して分解して調べました。
ダイキャスト製のプリモの品質の良いしっかりしたアームです。
「スタート/ストップ」のスイッチがアームベース内に埋め込まれていますが、
殆ど動作がしない状態ですので分解して「メカと接点」を修復修理して、
配線のリード線を交換しました。
クリスタルカートリッジのシールドワイヤーも劣化硬化して堅くなり折れそうですので
新しく交換を致しました。

↑ スタート/ストップのオートスイッチは再度分解して動作を調整しました。

↑ クリスタルカートリッジ残念ながらオシャカになっています。

↑ 新品のセラミックカートリッジを形状が違いますが工夫して取り付けました。
最初のカートリッジより軽くなっていますので、針圧調整のスプリングを微調整いたしました。

↑ 電源コード・出力コード・カートリッジの音質補正のコンデンサー2個・雑音防止コンデンサー
を交換しました。
電気配線の安全性を考慮しました。

↑ ボードの上面です。

↑ ターンテーブルを乗せました。


↑ キャビネットに挿入しました。

↑ アイドラーがこんなに凹こんでいます。
凹みを埋める方法を模索中です。

動作テストの結果はコツコツ回転音がプレーヤー直からは激しく聞こえますが。
意外にスピーカーからはあまり気にはならない状態です。
セラミックカートリッジは出力電圧が大きく結構いい音で鳴っています。
アンティークなSP専用のレコードプレーヤー「ビクターRP-7」の修復修理の
ご依頼を受けました。
「できる限り現状維持の修復修理が望ましいが・・・」とお聞き致しました。

↑ 電源コードと出力コードが切断していましたので双方の新しいコードを取り付けました。

↑ 最初のピックアップアームをテストしますと、マグネチックカートリッジが動作しません。
分解しました。

↑ 詳しく調べますと、コイルが断線していました。

↑ 何とか直そうとしますが、コイルの巻きはじめの根元で切れています。
毛髪の五分の一の太さですしエナメル線ですから、ハンダ付けは絶望的です。

↑ 断念して、予備のナショナル製のピックアップアームを取り付けました。
形状もサイズも違うためかなり無理がありますが、カットアンドトライで何とか取り付けました。

↑ しかし、スタート・ストップのスイッチレバーの位置が合いません。
無理を承知での作業ですから、あきらめず、やるしかありません。
やすりで削ったり、スイッチレバーの位置を変えたり、微調整したり、
小一時間奮闘して判ったことは、
レコードスタートはOKですが、
レコード盤ENDの位置でのオートストップは絶対無理が判りました。
原因はアームのコントロールレバーのサイズが短すぎることですが、
このプレーヤーはアームがオートリターンしませんから、
手動で戻さなければなりませんのでオートストップにはこだわらないことにしました。

↑ 次にフォノモーターとターンテーブルの回転ですが、
モーターは回転するので助かりました。
この当時にアイドラー駆動が既に行われていたのには驚きました。
しかし、アイドラーが永年モータープーリーに密着したまま放置していたため、
大きな凹みが出来てコツコツと異常音が出ています。これは仕方の無いことですが、
これを少しでも改善出来る方法を考えなければなりません。

↑ なんだかんだで、一応レコードテストを行える状態にもって行けました。

↑ コツコツ言いながら元気よく回転ムラもなく回ってくれます。
マグネチックカートリッジは出力電圧が小さいので、プリアンプが必要ですが、
音は出ています。
自分が修理して言うのも変ですが、
こんな古い時代のプレーヤーがしっかり回転して音が出ているのが少々感動ものです。

↑ キャビネットのキズが気になります。

↑ 修正塗料で、ザッとこんな具合になりました。
39年前1975年製のナショナル小型木製トランジスタラジオ「RE-675」の修復修理は
簡単そうに見えたが、「そうは問屋が卸さない」・・・

↑ 「音量ボリュームの接触不良(ガリΩ)」の修理でした。
分解して「接点復活剤」の噴射注入摺り合わせで直りました・・・しかし・・・・・

↑ ボリュームの接触不良は直りましたが、FMラジオ受信時にショックでガガッと
ノイズが入ります。
AM/FMのセレクトスイッチの接触不良らしいので、接点復活剤を噴射注入で直った
ようです。

↑ 今度はショックでFM受信時のみハムのような変調ノイズが入ります。
基板の中央部分を触れるとノイズが出たり出なかったりします。

↑ プリント基板の中央部を調べますと、
電解コンデンサーの脚のハンダ付けのクラックを見つけました。

↑ 中央の電解コンデンサーの脚のハンダ付けクラック(ひび割れ)の超拡大画像です。
脚の周囲が黒く隙間が出来て電気的に接触していません、ハンダ付けを強化して直りました。
50Hz仕様のプレーヤーを60Hzで使用すると、スピードが速すぎて
なんとかならないか」・・・と言う事ですが、
いつも50Hz/60Hz問題には悩まされています。
小型のインダクションモーターの回転数を変えるには、
周波数を調整できれば簡単ですが、実際は低コストでは不可能です。
色々な方法をテストしながら究極の策は、供給電圧を100V以下に
下げる為にモーター回路に直列に抵抗を挿入することです。
しかし、単に抵抗を挿入すると、トルクが極端に落ちているため、
モーターが起動しません。
そこで抵抗の代わりに特殊な電球を使用します。
これは、電球の発光体のタングステンなどの熱変化による電気抵抗の変化を
匠に利用するものです。
これには「コツ」がいりまして、モーターにかかる電圧の限界点を見つける
難しさがあります。

↑ 毎日、日課のように動作テストを行いながら、微調整の結果、
3個の電球を直列に接続して最適限界点を見つけました。

↑ 同時に、電球の取り付け位置を変更してパイロットランプの効果を兼ねました。

↑ 回転切り替えノブの上の赤色の表示を下から照らすことが出来ました。

↑ テスト中に時々モーターが回転しないことが一、二度ありましたので
詳細に調べると・・・・なんと・・・・モーター端子への黒色リード線の
「天ぷらハンダ」付けでした。何十年前からこの状態でした???・・・・
注: 「天ぷらハンダ」とは天ぷらの衣が抜けるようにくっついていなくて
すっぽ抜けしている様子です。

↑ しっかりハンダを盛っておきました。

↑ 朝、低温時は一、二分間ウオームアップ回転してやれば、回転が安定しますが、
後は一日中いつでもスタートOKです。
ビクターHiFiAudiola真空管ステレオ「BR-450」の修復修理で、
お見積もりの仮修理の結果、基本的な動作を確認いたしました。
本修理に入る為、長時間連続動作テスト中に問題点が浮上しました。
①音量は充分ですが、注意して試聴すると、何となくこもったような音質で明瞭感が
不足気味です。低音と高音のバランスが悪く、低音のみが強調気味です。
②音量を絞ったときはハム音が気になります。
③B電源整流回路がダイオードによる片波整流回路を採用し、
ダイオードと平滑用のブロック形電解コンデンサーの信頼性が乏しい。
仮修理時は数点の不良部品の交換を行いましたが、パフォーマンス向上と今後のため
影響のあるコンデンサー等を全て交換に踏み切りました。

↑ B電源整流ダイオード・電解コンデンサー・その他のコンデンサーを
交換後のシャーシー裏面画像。

↑ お見積もりの為の仮修理後のシャーシー裏面画像。

↑ 最初のシャーシー裏面画像。

↑ B電源平滑用のブロック形電解コンデンサー 60μF 150WV✕3 ですが、
今後の使用に不安を感じ交換することにいたしました。

↑ 現在はブロック形電解コンデンサーは製造されていませんので、
100μF 400WV電解コンデンサーを3個使用します。
↑ 整流用の丸い旧型のダイオードを交換します。

↑ 狭いシャーシー内部に100μF 400WVW電解コンデンサー3個は収まりきらず、
ラグ板を用い配線の変更を行います。
↓ 1個は上部に配置しました。


↑ NFB(ネガティブフイードバック)音質改善回路のコンデンサーを交換します。

↑ 交換後のシャーシーの上面全体像です。

↑ 交換取り外したコンデンサー等の部品です。
↑ 交換完了後のシャーシー内部の全体像です。
交換後の動作テストで、明らかに効果が確認できました。
真空管独特の豊かさ、なめらかさ、透明感、が得られ心に染み渡る音に納得できました。
エージングテストを行いながら状態を観察していきます。
WURLITZERジュークボックスMODEL1700Fの修復修理が完了して
今日が納品の日になりました。

↑ 今朝のジュークボックスはなんとなく寂しそうに見えます。
別れがつらいのは私の方でした。

↑ SAGAWA SGムービングのトラックが迎えに来てくれました。
150kgのデリケートな巨体を手慣れた二人の作業員が丁寧に積み込んでくれました。

↑ 無事にご依頼者さまへ設置が終わり、レコードを3枚ほど装填してテスト演奏を
行いました。
絶好調です・・・しかし・・・・・
操作説明を軽く終え、レコードの装填について説明の途中で、
選曲操作ができなくなりました。
何が起きたのか、少々慌てましたが、自分に「落ち着け、落ち着け」と言い聞かせながら、
「丸腰」ながら「小型ニッパーと小型マイナスドライバー」が頼りの原因追及をはじめました。
徐々に頭が冴えてきて、「回転しない選曲ドラムのモーター関連」を調べ、
コントロールボックス内の電源ヒューズの断線を突き止め、
即席の代用ヒューズを挿入、動作を再開しました。
急遽、近くのホームセンターでガラス管ヒューズを購入して、事なきを得ました。
とんだハプニングでしたが、電気で動く複雑な製品は環境が変わると、
人間さまと同じで、体調を崩すようです。
正確には、1954年製ですから60年前の製品が
現代のハイテク時代に堂々と通用して人々に感動を
与えて、存在感を発揮している不思議な魅力を感じます。
1960年代ビクターHiFiAudiola真空管ステレオ「BR-450」の修復修理で、
お見積もり金額の算出のための修理作業に入ります。
長い間の経年劣化で、避けられないことですが、かなりのダメージが出ています。

↑ 電源投入しますが、瞬時に電源ヒューズが飛びます。色々な原因が考えられます。

↑ 色々検査の結果、プレーヤー部をシャーシーから外すとヒューズは飛びません。
全てのチェックの結果モーターが怪しいように見えました。

↑ 正確な導通テストの結果は、抵抗値がふらついていますが、
計器の接触が悪い?・・・全くのショート状態でないので、
とりあえずプレーヤーに直接電源を入れるためクリップコードで接続したとたんに
派手にスパークしました・・・考えられないことです。
ベークライト製のプラグにホコリ等が付着して湿気などにより絶縁低下を起こしていました。
明らかに今で言う「トラッキング現象」です。
とりあえず、プラグを切断して平形キャップを付けて、電源投入しました。
フォノモーターは元気よく回っています。プレーヤーの修理は次に行います。
これで安心して作業を進めます。

↑ 一応MW(AM)ラジオは受信出来ますが、ボリューム、セレクトスイッチ、トーンスイッチ等の
接触不良がひどくて安定しません。
全てに「接点洗浄剤」「接点復活剤」を噴射注入して、すりあわせを行います。

↑ 電源→FM→SW→MW→PHONOセレクトスイッチ

↑ トーン切り替えスイッチ

↑ ステレオ調整ボリューム
全ての可動部はその結果動作が確実に安定しました。
しかし、時々バリバリ、ジャリジャリとノイズが出ます。

↑ 真空管の脚と真空管ソケットの接触不良を完全に修復しました。
直ったと、安心していると又同じノイズが不規則に出ます。
何度も接触不良の修復を繰り返しました。しかし、全く関係の無い場所を触れただけでも
ノイズが出ます。

↑ この部分です。シールド板の内部です。

↑ 徹底的に発生源を調べ抜き、見つけました。
ヘッドアンプ用真空管「12AX7」のカップリングコンデンサーの不良でした。


↑ 部品が密集しています。コンデンサーを交換して、ピタッと止まりました。

↑ プレーヤーのボード上を清掃します。

↑ アイドラー、モータープーリーをクリーニングします。

↑ コンデンサーの交換、注油等を行います。


↑ ターンテーブルの共振防止用のスプリング4箇所の調整を行います。

↑ ターンテーブルの共振防止用のゴムブッシュ4箇所の調整を行います。

↑ プレーヤーをキャビネットにセットしてテストを行いました。いい音が出ています。
動作的には順調です。綿密にチューンアップしていきます。

↑ 気になっていた選局ダイヤル関連ですが、選局バリコンがダイヤルロープに
引っ張られて劣化した固定用のゴムブッシュが崩れて位置が傾いています。



↑ 取り外して付け替えることにしました。
ゴムブッシュの必要は無いため直付けにしました。傾きはきれいに直りました。
ダイヤルロープは交換の必要はありません。

↑ ダイヤルのバックライトの豆球の光を和らげるために「和紙」を貼り付けています。
しかし、破れたり、色あせしたり、惨めですので、張り替えます。

↑ きれいになりました。
1960年代ビクターHiFiAudiola真空管ステレオ「BR-450」の修復修理ですが、
ご依頼者様が名古屋から直接持ち込んでいただきました。
長い間故障したまま保管されていたそうです。



↑ このタイプの真空管ステレオ ハイファイ ビクターオーディオラは機種が
多くありました。
上開きのトップ操作の流行のスタイルです。
サイズは W980 H470 D390mm(脚360mm)

↑ トップ操作スタイルの構造上、シャーシーは縦置きになっています。
スピーカーは20cmパーマネントダイナミックスピーカーと高音専用のツイーターのような
ものが付いています。

↑ 手前のスプリングでエコーを発生させる装置は完全に壊れていますので修復不能です。
これは「実際の音に少し遅らせた余韻をかぶせてエコーにする遅延素子」です。
現在では「無用の長物」になっています。

↑ 問題のレコードプレーヤーを下から見た状態です。

↑ 縦桟にシャーシーがネジ止めされていますが、外して下ろすのはほねが折れます。

↑ シャーシーを外して下に下ろしました。

↑ ラジオの選局ダイヤルロープは新しいものに交換します。

↑ アンプチューナー部のシャーシー内部の様子です。
殆どのペーパーコンデンサーは劣化していますので新品と交換します。
電源ヒューズを交換してから通電して故障箇所の診断を行いました。
①ファンクションスイッチ(電源スイッチ・MWラジオ・短波ラジオ・PHONOの切替え)
の接触不良。
②音量ボリュームの接触不良
③音質切り替えスイッチ等の接触不良
これらの修理に接点復活剤を噴射注入致します。

↑ 次にレコードプレーヤーをキャビネットから外してオーバーホールを行います。

↑ レコードプレーヤーの上面です。

↑ レコードプレーヤーの裏側です。

↑ アイドラーとモータープーリーです。クリーニングを行います。

↑ カートリッジとレコード針です。


↑ フォノモーターの防振ゴムが劣化変形しています。交換します。

↑ 雑音防止用のコンデンサーも劣化していますので交換します。


↑ メカのクリーニングと注油を行います。
修復修理の全体像をご覧いただきました。
次の工程はお見積もりの為の仮修理を行います。
50数年以上前の珍しい50Hz仕様のビクター真空管式ポータブルステレオ電蓄が
持ち込まれました。
問題は「間違って50Hz仕様のプレーヤーを購入したため、スピードが速すぎて
なんとかならないか」・・・と言う事です。
いつも50Hz/60Hz問題には悩まされています。
非常に興味深く、決定的な対策を模索しながら作業を行っております。
今回、丁度、同じタイプのインダクションモーターを使用した真空管ステレオ
もヘルツ関連の修理を進行中ですので、データ収集を行い、普段から考えている
解決策を確立したいと思います。

↑ 先ずテストで鳴らして見るとかなり速くて耐えられません。

↑ 何も対策を施していない内部です。年月を感じさせない非常にきれいな製品です。


↑ 小型のインダクションモーターの回転数を落とすために、供給電圧を100V以下に
下げる為にモーター回路に直列に抵抗を挿入します。
抵抗の代わりに特殊な電球を使用します。
電球を抵抗代わりに使用するメリットは次回に説明致します。しかし、70V位までは回転数の変化が僅かです。
そこで、もう少し更に落とすとモーターのトルクが極端に弱くなり起動しなくなります。
限界点が60Vであることが掴めました。

↑ ワット数の選定が微妙です。

↑ 写真で見ると、明るく見えますが、フイラメントが確認できるほど暗く点灯しています。
僅かな電流値ですから発熱も大してありません。

↑ 真空管の方はかなり発熱しています。


↑ 双方のレコードの回転数は規定に近づきました。
ストロボではやや「右より」ですからごく僅か速いようです。
まだ修正可能な範囲ですから自信を得ました。
深夜になりましたので、今日はここまで・・・・・・