1960年前期真空管ステレオVictor HiFi Steteo Audiola STL-550の修復修理は
以前に同型の修復修理でかなりてこずった経験があります。
それは、キャビネットの補修と真空管ノイズの問題でした。
今回は少し違いますが、キャビネットの補修ではなく、スピーカーグリルサランネットの交換
を行います。
真空管ノイズはありませんが、エコーマシンの不良があります。

↑ スピーカーグリルサランネットの張り替えの終わった画像です。
雰囲気がすっかり変わりました。 (実際の色と写りが変わっています)

↑ 交換前の画像です。

↑ 手持ちの中古のビクター真空管ステレオから取り外したエコーマシンのリバーブユニット
を取り付けてみました。
うまく動作をしますが、回路設計が違いますので、エコー効果が約半分ほどです。
丁度いい加減ですが、強烈にエコーがかかる状態ではありません。

↑ 最初のものは形も大きくスプリングが2連でした。

↑ チューブラー型のペーパーコンデンサーを交換いたしました

↑ ブロック型の電解コンデンサーを単体の電解コンデンサーに交換いたします。

↑ 単体の大容量電解コンデンサーに交換いたしました。

↑ もう一箇所のブロック型の電解コンデンサーを単体の電解コンデンサーに交換いたします。

↑ コンデンサー交換済みのシャーシー上面の様子。

↑ コンデンサー交換済みのシャーシー内部の様子。

↑ スピーカーグリルサランネットの張り替えです。
キャビネットから左と右のスピーカーが付いたままのバッフルボードを取り外します。

↑ 左のバッフルボードを外した跡です。 金具が錆びています、ここまで浸水していた証拠です。

↑ 右のバッフルボードを外した跡です。

↑ 左のスピーカーとバッフルボードです。

↑ 右のスピーカーとバッフルボードです。

↑ バッフルボードから古いサランネットを外します。

↑ 触れるだけで崩れてきます。

↑ いくら掃除しても、とめどなく崩れてきます。

↑ サランネットをめくってみて想像以上のダメージでした。
パーチクルボードは経年劣化が激しく、しかも、水害に遭っているので、・・・・・
後数センチでスピーカーもやられているところでした。

↑ バッフルボードは早速、厚手の合板で作り替えます。

↑ 透けて見えないように黒く着色いたします。

↑ レトロ調のネットは現在ありませんので現代風のものに張り替えました。
(こちらの画像の色が近い感じです)

↑ スピーカーをネジ止めいたしました。

↑ 完成したバッフルボードをキャビネットに固定したしました。

↑ 現在までに交換したパーツです。
音出しをしますと、やはり音の響きが違います。
適度にエコーもかかり、いい感じになりました。
TAMURADIO 2号機アンプ・ラジオ部 」の修復修理は内部の各所の点検修理を行こないました。

↑ シャーシー組み込み完成後の画像です。
シャーシーを取り外して全ての真空管ソケット/ボリューム/セレクトスイッチ/
ヒューズホルダー/電源コード・配線/抵抗器・コンデンサー/パイロットランプなど
の不具合を点検しました。
不良箇所は交換・修理を行こないました。
ラジオ受信、レコード再生などの動作、音質、音量、ノイズなどチェック、調整を行ないました。

↑ 中央の電源スイッチ付きボリュームの「スイッチが入ったままで切れない」・・・・・・・・・・。
本来なら交換したい所ですが、S付き10KΩのボリュームは入手不能です。
しかし、交換又は修理にしても、木製の飾り板を取り除かないとボリュームを外すことが
出来ません。

↑ 木製の飾り板を取りはずしました。

そこで、詳しく調べてみますと、バネの反発力で接点が戻る筈が何かで戻りが弱くなっている
ようです。
とりあえずスイッチ部分のあるヶ所に小さな孔をあけて、そこから接点復活材を注入しました。
これで、スムーズな動作になりました。

↑ 上手くいきました。

↑ スピーカーコード交換前の画像です。

↑ スピーカーコード交換後の画像です。

↑ スピーカーをキャビネとから外してスピーカーコードを交換いたしました。

↑ 4Pの中継コネクターと4芯コードです。 こうしておくと、シャーシーを外したときに便利です。

↑ 組み込み完成後の後部の様子です。
TAMURADIO2号機はフォノモーターは正常でターンテーブルは回転しますが、
ピックアップのマグネチックカートリッジが不具合です。
音質、音量が悪く殆ど音になっていません。

↑ 針圧の重い大型のカートリッジです。

↑ カバーを外し分解します。
初期のマグネチックカートリッジですから、大型の馬蹄形磁石とコイル及び振動片(カンチレバー)
で構成されています。

↑ ヘッドシェルをターンさせて見ますと、カンチレバーの緩衝ゴムが経年劣化で固形化して
レコードの音溝から伝わった振動をマグネットの磁界中のコイルに起電力を発生させるため
の振動が得られません。

↑ 音声信号を発生させるコイルは断線が無く正常ですが、分解時の取扱いにはリード線が
断線しないように細心の注意が必要です。

↑ 分解して、取り外したカンチレバーです。

↑ 固まったゴムを削り落としました。

↑ 極細のゴムチューブを両端にはめ込みました。

↑ カンチレバーをカートリッジに組み込み、組み立てを完了して、レコードの再生テストを
行こないました。
音質、音量とも完全動作しています。
貴重な1950年代に製造された真空管式電蓄「TAMURADIO」の修復修理で、
2台同時に送られてきました2号機は基本的には殆ど1号機と同等のものでした。

↑ 厳重に梱包されています。


↑ 幾何学的な直線を強調したモダンなデザインを取り入れています。

↑ ダイヤル、ツマミなどの操作部を扉の奥に設けています。



↑ レコードプレーヤーも1号機とほぼ同様です。

↑ 裏面の様子です。

↑シャーシーも若干のレイアウトは変わっていますが1号機とほぼ同様です。

↑ スピーカーも1号機とほとんど同じです。
TAMURADIO 1号機アンプ・ラジオ部の修復修理は内部の各所の点検修理を行ないました。

↑ 完成時の画像です。

↑ シャーシーを取り外して全ての真空管ソケット/ボリューム/セレクトスイッチ/
ヒューズホルダー/電源コード・配線/抵抗器・コンデンサー/パイロットランプなど
の不具合を点検しました。
不良箇所は交換・修理を行ないました。
ラジオ受信、レコード再生などの動作、音質、音量、ノイズなどチェック、調整を行ないました。

↑ スピーカーコード交換前の画像です。

↑ スピーカーコード交換接続後の画像です。

↑ スピーカーコード交換接続後の画像です。

↑ スピーカーへの中継コネクターを取り付けました。

↑ 励磁型ダイナミックスピーカーのため4芯コードで接続いたします。

↑ シャーシー組み込み後の完成画像です。
TAMURADIO1号機はフォノモーターは修復修理を完了してでターンテーブルは回転します。
しかし、音が出ません。

↑ ピックアップのマグネチックカートリッジが不具合です。
音質、音量が悪く殆ど音になっていません。

↑ カバーを外し分解します。
初期のマグネチックカートリッジですから、大型の馬蹄形磁石とコイル及び振動片(カンチレバー)
で構成されています。

↑ シェル内のカートリッジを分解して修理をいたします。

↑ ヘッドシェルを詳しく見ますと、カンチレバーの緩衝ゴムが経年劣化で固形化して、
レコードの音溝から伝わった振動をマグネットの磁界中のコイルに起電力を発生させる
ための振動が得られません。

↑ 分解して、取り外したカンチレバーです。

↑ 固まったゴムを削り落としました。

↑ 極細のゴムチューブを両端にはめ込みました。

TAMURADIO 1号機レコードプレーヤーはフォノモーターとカートリッジの両方の修復修理
が必要でした。
↑ 修復修理中の様子です。


↑ フォノモーターは全く回転不能でした。
スイッチまわり、コードの断線、モーターコイルの断線レアーショートはありません。
劣化によるロックでした。
オーバーホールは不可能なため、色々な対策を考えて、
徐々に改善に向かうように時間を掛けながら、修復を行こないました。

↑ その結果、最初は回転が上がらない状態でしたが、最終的には正常回転を確保しました。

↑ 醜い状態ですが、最後にクリーニングをいたします。

↑ モーター回路の配線が劣化しています。

↑ 安全確保のため可能な限り交換いたしました。

↑ スイッチの配線も交換いたしました。


↑ こんな感じになりました。 モーターもクリーニングいたしました。

↑ レコード再生テスト中です。 レコードが回転して10~20秒で回転が安定いたします。
先日来、メールと電話でお問い合わせのありました、貴重なレトロ電蓄の修復修理の件で
2台同時に送られてきました。

↑ ヤマト運輸で大型重量物が2個口で送られてきました。

↑ 当時の最高級の無垢の木材を生かした重厚な作りでかなりの重量があります。
(左) 1号機 (右) 2号機

↑ キャビネットは当時の上質な素材と塗装、そして良好な環境下での丁寧な保管が
なされていたようです。
サイズ W540 H955 D380mm

↑ 建築物のデザインを生かしたような重厚な存在感に圧倒されます。

↑ 左右の円筒形のポールが珍しいデザインです。

↑ 上蓋の開閉もしっかりしています。

↑ 美しい「TAMURADIO」のロゴです。

↑ レコードプレーヤーは良く使い込まれた感があります。

レコードプレーヤーの修復は困難が想像されます。

↑ 裏面の様子です。

↑ シャーシーはラジオ部は当時では珍しい初期のスーパーヘテロダインのようです、
シャーシーを下ろさないと、なんともいえません。
出力管が2A5のブッシュプルですから、パワーは出そうです。

↑ 25センチフィールドタイプのダイナミックスピーカーによる音に期待が持てます。
どんな音が出るか、修復作業が楽しみです。
予てより、お問い合わせのありました、
1960年前期真空管ステレオVictor HiFi Steteo Audiola STL-550の修復修理ですが、
以前別件で2013年8月に同一機種の修復修理を行いました。
大変、苦労いたしまして、記憶に残っております。
当ブログに掲載がございます。

↑ スピーカーグリルのサランネットの染みは水害の時に受けたものだそうです。
全体的には良くお手入れをなされています。

↑ 裏蓋を外しお見積もりの仮修理を行います。


↑ 当時、真空管ステレオのデザインとして上開き天面操作スタイルのため、
シャーシーが垂直に取り付けられています。
そのため、修理には不都合な構造になっています、
しかし、当時は修理は殆ど起きず、故障と言っても真空管の交換程度でしたので、
考える必要がなかったようです。

↑ 左スピーカですが、珍しい大口径の30cm+12cmの2wayです。

↑ 右スピーカですが、珍しい大口径の30cm+12cmの2wayです。

↑ 当時のエコーマシンです。スプリングによる遅延素子によるリバーブユニットです。



↑ エコーマシンの修復修理が可能かを詳細に調べましたが、スプリングの振動を受ける
4ヶ所が腐蝕破断のため、誠に残念ですが、修復不能であることが判明いたしました。
原因は過去に起きた水害で、最下部に取り付けてありますユニットが水にやられました。

↑ シャーシーをキャビネットから取り外します。

↑ 結構大きいシャーシーを取り外し下へおろしました。
2個の同調バリコンが見えますが、このステレオは昔、試験的に行われた、
2波を使ったAMステレオ実験放送を受信できるように、つまり、ラジオが2台付いています。

↑ 3個見えます、大型の円筒形のブロック電解コンデンサーは、安全使用の為交換いたし
ます。

↑ シャーシー内部の全体像ですが。外観の状態と反して経年劣化が進んでいます。
特に電解コンデンサー、チューブラーコンデンサーは殆ど全て交換を行ないます。

↑ 茶色のチューブラーコンデンサーは全て交換いたします。

↑ グレーの抵抗器は交換の必要はありません。

↑ グレーに赤文字のチューブラー型電解コンデンサーも交換いたします。

↑ 先ずセレクタースイッチと各ボリュームの接触不良を修理いたします。
接点クリーナー/接点復活剤を噴射注入して摺り合わせを入念に行ない接触不良を
なくします。
この結果MW/SW/FM/PHとスムーズに切り替わり受信が確認できました。

↑ 次にレコードプレーヤーの点検を行います。

↑ 最初はターンテーブルが回転いたしません。 ターンテーブルを外した様子です。

↑ フォノモータープーリーとアイドラーです。モータープーリーを指でつまみ反動をつけると
回転しましたので、モーター軸受けに注油いたします。

↑ アームのリターンメカです。

↑ プレーヤーの裏面です。 各所のクリーニング、注油を行います。

↑ スイッチ接点から出るノイズ吸収のコンデンサーも交換いたします。

↑ フォノモーターに注油いたします。

↑ フォノモーターをマウントしている防振ゴムの劣化が確認できます。

↑ アームのオートリターンメカにも注油いたします。


↑ アームとカートリッジの点検です。クリスタルカートリッジは生きています。

↑ この段階でターンテーブルが回転してレコード再生テストが出来ました。
まだ、完全ではありませんがレコードも音だしが出来ました。

↑ スピーカーグリルのサランネットも張替えをいたします。
1970年代のパイオニアオールトランジスタセパレートステレオ「S-88」修復修理でアンプ
部の修復修理の音歪みでパワートランジスタ8個を交換しましたが、改善されず頓挫しており
ました。
現在解決の道を探るため、検討中です。
次に気になっていました同機のPIONEER FULL AUTOMATIC PLAYERの修復修理に
取り組みました。

↑ 30cm大型ターンテーブルです。

↑ ターンテーフルを外して、センターシャフトに注油します。

↑ モータ軸受けに注油します。 モータープーリーに異常はありません。

↑ 195φのドライブベルトを新しく用意して取り付けて動作を試みましたが、まともな動きは
いたしません。

↑ プレーヤー裏面の左上のオートメカのプラスチックカバーを取り外して点検をいたします。

↑ アームのリターンは白いドラムの下にあるモータで駆動しています。

↑ 右にタイミングを合わせてモーターをON/OFFさせる赤いマイクロスイッチが2段に付いて
います。
このスイッチの良否の判定の為取り外して点検いたしましたが、大丈夫でした。

↑ オートリターン機構のカムレバーやカムシャフトなど連結/連動部分、そしてスプリング等
すへてがスムーズに.確実に動作するよう、各所に注油して、調整ネジの調節をテストしながら
最良点を見つけて固定しました。

↑ 30/25/17cmの3種類のレコードサイズの切り替えレバーの動作を全て調整、動作確認
をいたしました。

↑ レコードの終端でアームをリターンさせる検知レバーと変った形のカムです。

↑ フォノモーターです。 防振ゴムの劣化は少し硬くなっていますが、先ず大丈夫です。

↑ モータON/OFF時にスイッチから発生するノイズを小さくするためのコンデンサーです。

↑ レコードが停止した時にカートリッジが動作しないようにするためのスイッチです。
すこし、接点の接触不があります。磨いておきます。

↑ メンテナンス完了後の裏面です。

↑ リターン機構部にカバーを取り付けます。
↓ 以下は各レコードの再生テスト中です。








60Hzでテスト中ですが、50Hz仕様ですから回転数が早くなっていますが。
ワウ/フラッターはありません。
MMカートリッジも良好です、いい音が出ています。
AM9:00~PM6:00まで連続9時間エージングテストを行って何の問題もなく絶好調
の動作をしておりました。
PM6:00の時点で一旦電源を切り再度PM6:10頃に電源を入れた時に水平(横方向)
に画面のサイズが僅かに変化しましたが、直ぐに正常に戻ってしまいました。
垂直(縦方向)も振幅が変化しました。
原因追求を行います。

↑ 垂直回路基板内の影響のある電解コンデンサーを全てテスト交換を行います。
表面上に取り付けますと、変更時に不都合があるため基板裏面に仮り付けをいたします。

↑ 交換した電解コンデンサーと垂直振幅調整ボリュームです。

↑ この状態でテストを行います。

↑ 完璧を期すため垂直出力サブ基板をメイン基板から取り外して点検いたします。
3個の垂直出力トランジスタが付いています。
トランジスタの脚部の半田付け強化とサブ基板の脚部の半田付けも全てやり変えます。

↑ サブ基板の裏側は何も付いていません。 脚部が見えています。

↑ サブ基板はしっかりメイン基板に半田付けされました。
↓ 以下はエージングテスト中の映像です。 安定しています。






長年の経年劣化で何が起きても不思議てせはありませんが・・・・・・目が離せません。
1987年製ヤマハデジタルサウンドフィールドプロセッサーDSP-3000の修理をお預かり
いたしました。
詳しい製品名は「NATURAL SOUND DIGITAL SOUND FIELD PROCESSOR」です。
メインの方チャンネル(左)の音が出ない故障です。

↑ このデジタルサウンドフィールドプロセッサーは、
コンサートホールやオペラハウスなどの演奏会場での、ホール特有の響きを再現するために、
開発されたデジタルサウンドフィールドプロセッサーです。
当時280,000円の高級機器です。

↑ 片方の音が出ないと言うことですが、軽く考えてよくある原因は接続コードの不具合です。
この機器ご使用RCAケーブルはやはりハイグレードのものが使用されています。
詳細に点検いたしましたが、接触不良などの問題点は見つかりません。

↑ そこで、次に考えられるのがRCAジャックの接触不良です。
実際に音だしをしてケーブルを揺すって見ても変化がありません。
しかし、RCAジャックの際を強く不規則に揺らすと一瞬音が出そうになります。

↑ やはり、このRCAジャックに問題がありそうです。
基板から取り外さないと判定できません。

↑ さすがに、しっかりしたパーツの使用と作業がなされています。
簡単には外せません。・・・・・・・

↑ 画像右の3系統1ブロックの入力用のRCAジャックを取り外して折れていないかを調べる
ことにいたしました。

↑ 細心の注意をはらって、基板の半田付けを溶かして吸着して取り除き外しました。
RCAジャックはもちろん金メッキ仕上げです。
通常のものですと台座と接触部が別々にプレス形成されていますので、その部分で
接触不良が起きる場合いがあります。
さすがにこのRCAジャックは一体形成のものですから、大丈夫でした。
すると、原因は基板との半田付けの劣化になります。
そこで、直ぐに元通り基板に装着して、しっかりと入念に半田付けを行いました。

↑ 結果、音出しテストをいたしますと、しっかりと両側から音が出ています。
万歳!と言いたい感情におそわれます。
合計22箇のRCAジャックの脚は基盤に半田付け部分は39箇所になります。
この全部の半田付けを強化しておきました。

↑ 揺らしても、引っ張っても、叩いても、ビクともしません。・・・・・完璧です。

↑ 音出してテストを続けます。

↑ かなり昔に初めて買った「竹内まりや」のCDを鳴らします。





↑ アンプDENON/DVDプレーヤーTOSHIBA/小型スピーカーBOZEのラインナップで
エージングテスト中です。
1979年製日立カラーテレビ「キドカラーC14-408」の修復修理で次の問題点が判明致しました。
4つの不具合の難解な原因診断を行ない修理するための3日間でした。
(1)垂直回路→映像下部の他にビリツキなど色々問題が派生してきます。
(2)AGC回路不具合→感度が上がりすぎ入力オーバーによる映像の不安定。
(3)映像回路の不具合→コントラストのハッキリした映像の右がうっすらと尾を引いたように映る。
(4)スイッチオン後暫く不安定(時間が経つと安定する)
36年間使い続けたブラウン管式トランジスタテレビを全ての不具合を解消して正常な映像・
音声を維持するのは、全く油断が出来ません。 何が起きても不思議はないのです。
「完全に直さなければ・・・・・」.と執念の戦いが続きます。
↓
(1)垂直回路→映像下部の他にビリツキなど色々問題が派生してきます。 
これは最終的に全ての回路動作が正常で歪みのない映像信号と同期信号が得られて
必然的に安定動作になりました。
(2)AGC回路不具合→感度が上がりすぎ入力オーバーによる映像の不安定
↑ AGC(中間周波回路の増幅度の自動調整)調整ボリュームの不良により微調整が出来ないため、
交換して過大入力を修正できました。
↓
(3)映像回路の不具合→コントラストのハッキリした映像の右が名が流れ星のように、
尾を引いたように映る。(輝度をあげると目立ちにくくなる)
↑ 今回交換しましたパーツです。

↑ 特にこの不良電解コンデンサーの発見に時間がかかりました。
発見のヒントになったのは、
「映像の右が尾を引いたように映る」 という、あまりお目にかからない症状ですが、
じっくりと考えてみますと、「映像の右側が尾を引いたように映る」・・・・・
つまり「尾を引く」スメア映像です。しかし、通常のスメア映像よりも、その尾の引き方が
半端でなく長いのです。ブラウン管の右端まで延びています。
しかし、輝度を標準値以上に上げると目立ちにくくなります。
それと、気になっていた事が2点あります。
●ブラウン管の輝度が異常に明るく絞りきれない。
●ブラウン管の左三分の一ほどが暗い。
しかし、ブラウン管か、回路故障かの判定は難しいところです。
過去にこのような事例は殆どありません。
どこかの電解コンデンサーの不良が考えられます。
映像回路に不具合が見つからなければ、ブラウン管回路に集中するしかありません。
それと、可能性があるのが、ブラウン管に電圧供給している、フライバックトランスです。
しかし、フライバックトランスは正常と判断いたしました。
すると、次に考えられるのが、フライバックトランスから発生させた電圧の整流回路です。
徹底的に、集中して怪しそうな電解コンデンサーを基板から外してチェックしました。
発見したのが、上の画像の「250V4.7μFの電解コンデンサー」です。
液漏れです、固形化から見てかなり前に電解液の漏洩があったようです。
早速交換しました、完璧です。 映像を見て疲れが吹っ飛びました。
映像品位の問題ですが最も難解な作業になりました。
原因追求に日数を要しました。
↓ 原因の探求は「映像回路」を重点的に調べましたが、映像回路に問題は無いことが
わかりました。






↑ 成功の秘訣は、あきらめずに、あらゆる原因を想定して診断を行いました。
↓ 以下は完全修復後の受像画像です。









↑
(4)スイッチオン後暫く不安定(時間が経つと安定する) これは、地デジチューナーからの映像をRFモジュレーターでVHFの1CH又は2CHに変換後
にテレビのアンテナ接続端子に接続しています。
結局、原因はテレビのロータリーチューナーの接点の接触不良による周波数のずれでした。
接点復活剤の注入摺り合わせで解消いたしました。
充分なエージングテストを進行中です。
ご依頼のお客様からご要望がありました。
①アームに触れると、ハム音が変化します。
②電源ヒューズの取り付けは可能でしょうか?
③安心して使用していく為に電源部の電解コンデンサー交換が必要ではないかと思われます。
必要であればお願いしたいと考えております。
①のハムの問題の点検を行こないましたが、配線、パーツなどに異常はありません。
これは複合管のヒーター回路からACのハムを拾っています。
①「アームに触れると、ハム音が変化します」
トランスレス方式ですから致し方ありません。
誘導ハムを減らすコツは電源コンセントへのACキャップ差し込み方向を逆に差し変えて
少しでもハムの少ない方を選びましょう。 ポータブル電蓄の回路構成と再生音域・出力等ハムの問題では設計段階で許容範囲
と考えます。
レコード再生中ボリュームを中以下では殆ど気にならないかと思います。
出来れノーハムにしたいところですが、対策はありませんので、ご理解をお願い致します。

↑ 電源ヒューズと電解コンデンサーの交換を行います。 使用するパーツです。
下側のグレーのコンデンサーは取り外したブロック型電解コンデンサーですが、
現在は製造しておりませんので、単体の電解コンデンサーを3個使用いたします。
400V100μF×2個 と400V47μF×1個です。

↑ 電源ヒューズホルダーとヒューズを取り付け配線いたしました。

↑ 交換前の電解コンデンサーです。

↑ 電解コンデンサーをラグ板を介して取り付け配線いたしました。

↑ 電源ヒューズ取り付けと電解コンデンサー交換完了です。

↑ フォノモーター巻線に60Hzのタップがありますので、念のため切り替えておきます。

↑ リード線の60Hzに半田付けをいたしました。 少し回転が遅い方に変化しました。
エージングテストを行います。
36年前の1979年製日立カラーテレビ「キドカラーC14-408」ですが、
当時一家に一台のカラーテレビが普及して、次にプライベートな移動の楽な小型テレビが、
各メーカーから発売されました。14インチの定番商品でした。
いつも手元に置き楽しんだものでした。
数々の想い出の詰まったテレビでしょう。
そのためか、かなり使い込まれています。 経年劣化のダメージもあります。
画面下の部分が振幅不足で縮んでいます。
単なる振幅不足と違って異常に縮んでいます、映りも不安定です。

↑ 日立キドカラーはブラウン管の3原色の赤・青・緑の中で一番発色の難しかった赤に
希土類の蛍光体を使用したものでした。

↑ 後部の様子です。

↑ ご依頼者がご自分でこの部分を触られましたが、変化がなかったそうです。

↑ ブラウン管のカラー調整基板です。

↑ ブラウン管の色ズレを調整する部分です。

↑ ブラウン管に高電圧を供給するアノードキャップです。 後で清掃致します。

↑ ブラウン管に映像を映し出す重要な部分です。

↑ ブラウン管の20000ボルトの高電圧を発生させる水平出力トランスです。

↑ 上がVHFチューナーです。 1又は2CHで地デジチューナーからの出力をRFモジュレーター
を介して受信します。

↑ 電源回路の大型電解コンデンサーです。

↑ この右奥が、問題の垂直回路です。 重点的に修理します。

↑ 基板上部の全体像です。 全体に清掃します。

↑ 清掃後の後部の様子です。

↑ プリント基板裏側です。

↑ 点検の結果、問題箇所をほぼ突き止め基板パターンの半田付け強化の仮修理をおこない、
テストを続け様子を監視します。

↑ 仮修理後の現在の映像です。
次の問題点が判明致しました。
●垂直回路→映像下部の他にビリツキなど色々問題が派生してきます。
●AGC回路不具合→感度が上がりすぎ入力オーバーによる映像の不安定。
●映像回路の不具合→コントラストのハッキリした映像の右がうっすらと尾を引いたように映る。
●スイッチオン後暫く不安定(時間が経つと安定する)
お預かりしておりました、1960年後期のビクターポータブル電蓄50Hz仕様の「SPE-8200」の
修復修理をはじめました。
ご依頼のお客様は60Hzでご使用になります。
以前によく似た製品の修復修理を行こないました、ビクターSPE-8100もやはり、50H仕様でした。
ご依頼内容は以下の通りです。
(1) ハム音が大きい状態です。
(2) 回転が安定しない時があり、駆動音が割りとします。
(3) ボリュームのガリが大きいです。
(4) 当方、60Hz地区に住んでおりますが、プレーヤーは50Hz仕様のようです。
その為、スピードを「遅い」方へ調整して使っています。大きな不便はあり
ませんが、プーリー等の交換が可能でしょうか?

↑ 経年劣化を感じさせないきれいな製品です。

↑ ピックアップカートリッジと右ボリュームです。 ガリΩです。

↑ 左ボリュームもガリΩです。
プレーヤーの速度切り替えとF←→Sの微調整です。 これがあるため大助かりです。

↑ 内部の様子です。 真空管は複合管2本使用です。

↑ 右ボリュームのガリΩは接点復活剤の注入で直しました。

↑ 左ボリュームもガリΩは接点復活剤の注入で直しました。
ここでハムの問題の点検を行こないますが、配線、パーツなどに異常はありません。
これは複合管のヒーター回路からACのハムを拾っています。
トランスレス方式ですから致し方ありません。 電源コンセントへのACキャップ差し込み
方向を少しでもハムの少ない方を選びましょう。


↑ 確かにターンテーブルの回転が不安定です。 最初、全く回転不能でした。
これは、詳しく調査をいたしました。
●フォノモーターのトルクの低下→モーターシャフトに注油
●アイドラーシャフトに注油
●アイドラーのゴムのクリーニング(スリップ)
●ターンテーブル軸受けに注油、ターンテーブルの内周のクリーニング
以上で正常動作になりました。

↑ レコードテストの結果確かに60Hz電源では回転が速いですが、・・・・・・・
ここで威力を発揮してくれるのが、この機種に採用されている磁界による微調整です。
調整範囲内ですから大丈夫です。
但しフォノモーターが正常回転とトルクが保たれないと不安定になります。

↑ それと、78回転/33回転/45回転の時に別々に微調整が必要です。

↑ 基本的にはモータープーリーを小さいものに交換すれば良いのですが、
現在では部品の入手が不可能です。
アンサンブルの大型電蓄でしたら「インバーター電源」の組み込みは可能です。
以前に修理させていただいたSPE-8100の場合はこの「F←→Sの微調整」がな
かったため大変苦労を致しました。
1970年代のパイオニアオールトランジスタセパレートステレオ「S-88」修復修は
部品待ちで中断していました。

↑ スピーカーを2階修理工房に運びました。

↑ 8個全部基板から取り外したパワートランジスタです。
出力回路のトランジスタ群の「2SD234」は8個で構成されていますがその内の数個が不良
と思われますが、バランスの関係で全て交換します。

↑ トランジスタの脚を基板に半田付けをして放熱板に固定するには絶縁のために
プラスチックネジを使用いたします。
通常の金属のネジですと、ショートしてしまいます。プラスチックネジは金属ネジの数倍の価格
です。
左: 最初のプラスチックネジは劣化で脆く再使用できません。締め付けるとポキッと折れます。
中: 新しいプラスチックネジです。
右: 金属ネジです。 ショートして使用できません。

↑ R回路の4個を交換済み

↑ L回路の4個を交換済み

↑ 交換を完了して通電テストしましたが、劇的な改善は見られません。
少々力抜けしましたが、8個の内の数個は計測では劣化が見られ、1個はショート状態でした。
この状況で、「出力回路での歪み」か「入力信号が既に歪んでいる」のかの判断に誤りがある
のかを再度検証いたしました。
その結果、間違いなく出力回路での歪みである確証を得ました。
それは最初確認した通りヘッドホンでは全く歪みの無いきれいな音が出ています。
つまり、このステレオのヘッドホンジャックに出ている音声信号はパワーアンプの
入力から分岐して取り出しています。
確かに基板とパーツの経年劣化の損傷は激しく各所に綠錆が見られます。
増幅前段のトランジスターも全て交換の必要があります。
電解コンデンサーの劣化も調べる必要があります。 まだまだ奥が深く探究が続きます。

↑ レコードプレーヤーはベルトドライブ フルオートプレーヤーですが、
フォノモーターは大丈夫のようですが、フルオートのメカは調整が必要です。
ドライブベルトは新しく取り付けをします。
カートリッジも大丈夫のようです。 針は用意いたします。

↑ ターンテーブルを外した様子です。

↑ プレーヤーの裏面です。

↑ アームオートメカに保護カバーが装着されています。 丁寧な造りになっています。


↑ フォノモーターは健在です。
フォノモーターをマウントしている防振ゴムも全く劣化がありません。

↑ モータープーリーの摩耗は認められません。 ドライブベルトは新しく取り付けます。

↑ レコードサイズ/スタート/カット/リピートの操作レバーです。
カートリッジの良否はテスト出来ない状態です。

↑ 操作レバーの裏側です。
アンプを先ず復活させないとプレーヤーの修復を進めにくいのが現状です。
今までこの機器と向き合って、アンプ部は最初見たときよりもかなり経年劣化の激しさが
実感出来ました。
時間が掛かりそうです。
セパレートステレオ「SANSUI APS-1200M 」の修復修理 は仕上げ工程に入りました。

↑ プレーヤーを組み込みテスト中です。

↑ アンプシャーシーをキャビネットに組み込みました。
サンスイは変わった組み込み方法をとっています。

↑ プレーヤーを組み込む前に使用不能のオートリターンメカが手動に対して不具合を
与えないように、対策を考えまして、使用不能のオートリターンメカの一部を撤去しました。

↑ 外した後の上面です。

↑ 裏面の様子です。 この後プレーヤーを奇麗にクリーニングいたしました。

↑ オールインワンの完成画像です。
この状態で組み込みテストを行ないました。 ほぼ完成です。
1960年後期の全半導体仕様のセパレートステレオ「SANSUI APS-1200M 」の修復修理
で一緒に送られてきました。
非常に珍しい1960年後期のトリオカセットデッキ「KX-7010A」の修復修理のお見積もりの
為の仮修理を行ないました。

↑ こじんまりカッチリとまとまった、使いやすそうなカセットデッキです。

↑ DINケーブル1本の接続で録音/再生が出来ます。

↑ 上面です。 カセットデッキのメカを調べました。
テープスピードが若干遅いですが再生はOKです。
早送り/巻き戻しが不具合です。
少し回って停止します。全く動かない時もあります。
テープカウンターが動作しません。

↑ 裏側です。

↑ 点検の結果3種類のベルトが経年劣化で伸びてスリップしていました。
上のベルトは伸びて変形したベルトです。
下のベルトは交換用の新しいベルトです。

↑ ドライブベルトの交換です。

↑ 狭いヶ所のベルト交換は工夫とコツがいります。

↑ カウンターベルトの交換です。


↑ テープカウンタは動きました。


↑ アナログ式は風情があります。
昨年12月に修復修理でお預かりしました、1960年代後半の全半導体仕様のセパレート
ステレオ「SANSUI APS-1200M 」ですが、故障状況の確認を済ませていましたが、
お待ち頂いておりました、やっと正月早々取り掛かることが出来ました。
お見積もりの為の仮修理の全貌です。

↑ 片方音出ず、ガリ、ベルトドライブターンテーブル回転せず、上開きドア不具合、
カセットテープデッキ点検等でセンター部をお送りいただいておりました。


↑ レコードプレーヤー部分の様子


↑ 非常に珍しいトリオのカセットテープデッキKX-7010Aも一緒に送られてきました。

↑ シャーシーを取り外しました。 シャーシー上面です。

↑ シャーシー裏面です。

↑ 先ずセレクタースイッチや各種ボリュームの経年劣化による致命的な電気的接触不良
による不快なガリガリ、バリバリと不安定な動作を払拭しなければなりません。
接点接触面に付着した汚れを除去して接点の復活をしてスムーズな動作を取り戻します。

↑ 入念に噴射注入をして接触面の摺り合わせを行なって、見違えるようにスムーズな
動作を取り戻しました。





↑ 前面のツマミの奥にはにボリュームやスイッチ群がありまかすが、全ての処置が完了して
スムーズな動作が復活いたしました。
しかし、左スピーカーから音が出ません。

↑ 回路の電圧測定などの診断で出力回路の保護ヒューズのホルダーの不良を
発見致しました。

↑ 金属疲労(劣化)で触るだけでポキッと折れる状態でした。

↑ 4個共新しく交換をいたしました。 ラジオ受信の結果、正常動作を確認いたしました。
ここまでは、アンプ・チューナー部の仮修理が完了いたしました。
続いてレコードプレーヤーの修復作業を行ないます。

↑ フォノモーターは正常です。

↑ モータープーリー、ドライブベルトにも異常はありません。

↑ ターンテーブルが軽く回転しません・・・・・・・・・
センターシャフトがロック(固着)しています。
その為モーターが始動してもベルトが外れてしまいます。

↑ 裏から見たところです。
センターシャフトのストッパーネジを外して、シャフト周辺に
潤滑剤を注入して工具で抜き取り、クリーニングしました。
結果、ターテーブルは正常回転をいたしました。

↑ 上面から見たところです。
しかし、オートリターンなどの一連の動作が出来ません。
全てのリターン機構を調べ修正を試みますが、改善は致しません。
ギヤのかみ合わせが上手くいきません。

↑ ・・・・・・・・・・・・原因が発見できました。
これは、非常にわかりにくいですが、
画像の下側の黒く映っているアルミダイキャスト製のカムギヤの周辺に亀裂があります。
当時のアルミダイキャスト製のパーツの経年劣化による金属疲労は深刻です。
アルミダイキャストはアルミニュームの合金を比較的低温で鋳造出来て形成が楽なもの
ですが、50年以上昔のものは、耐久性には悩まされます。
しかし、このギヤがリターンメカの役目を担っていまかすが、部品の入手が不可能なため
オートリターンを諦めて手動で完全動作を考える方が得策と考えます。
これが唯一の復活への道と思います。
その為にはアームをレコード面にもっていけば、フォノモーターが回転して、アームを戻せば
モーターが停止する正確な基本動作は確保する必要があります。



↑ オートリターンメカが手動に対してダメージの無いように修正いたしました。

↑ 正規の針は手元にありませんので、類似の針を装着してレコード再生テストです。
・・・・・・・・・・・・好調です。



↑ 33回転OKです。 回転ムラなどもなく素晴らしい音です。

↑ 45回転もOKです。


↑ トリオのカセットデッキをそのままDINケーブルで接続しました。
各所に不具合がありますが、一応音は出ています。
新年あけましておめでとうございます。
当ブログは皆様の温かいご支持を頂きまして
お陰さまで三年目を迎えます。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。