非常に珍しいプリアンプです。1960年初期のハイアマチュアが手作りのイコライザー付
真空管プリアンプの修復修理のご依頼を請けました。


↑ 双3極管12AX7を2球使用した、電源外付のプリアンプです。


↑ このブリアンプは昔の78回転SPレコードの録音特性補正用のイコライザーが組み込まれ
ています。
RIAA/LON/COL/SP のセレクターツマミで切り替えます。

↑ 電源部は外部からの供給になっていますが、電源部がありません。
動作するかの判定もできません。


↑ 先ず、急遽ヒーター電源とB電源を構築しました。

↑ この厚さ、50mmの狭い空間に収納がギリギリの勝負です。

↑ 前もって、「電源トランス」と「B電源整流回路ブロック」と「電源スイッチ」をそれぞれ
配線しておきましたので、すんなりと収まりました。
↑ 電源スナップスイッチを取り付けました。


↑ B電源ブロックを仮付して動作テストを行いました。
成功です。 真空管ソケット又は真空管から接触不良のノイズがありますが、修復して行きます。
今夜はここまで・・・・・
先日ヤフーニュースで見たのですが、ある大手の100円ショップで販売した延長コードに
リコールが発生して、約244万個の回収返金に応じるとなっています。
これは「プラグとコードの接続部が裂ける恐れがある」という事で発煙発火に至ります。
電気の便利さ、ありがたさに反して、ひとたび使い方を誤れば牙をむきます。
電気は2本の銅線を伝わって流れます。
たとえば100ボルトのコンセントにプラグを差し込んで電気製品を使ったとします。
分かりやすいよう1KW(1000ワット)の電気ストーブの場合はコードに10A(アンペア)の
大電流が流れます。
この場合、壁のコンセントの配線は15アンペアが安全に流れる太い配線になっています。
しかし、電気ストーブのコードが正常でないと、プラグやコードが熱くなります。
15アンペアに対応しない「延長コード」や接触が緩く、傷や切れかかったものを使用して
いる場合は発熱が酷く発煙発火至る場合があります。
メーカーは製造コストダウンのため、海外製の安価なパーツを使用します。
品質を見極めずに使用して信頼を失墜する結果になります。
しかし、大切なのは「安価」より「安心・安全」を望んでいます。
「プラグとコードの接続部が裂ける恐れがある」と云う現象を画像で説明が出来ればと思い
まして、ACアダプター(電源アダプター)のコードに裂け目が発生しているものが手元にあり
ましたのでご紹介いたします。 
↑ これは、国内の一流メーカー製小型ラジオの電源アダプターです。
普通に使っていて一年以内でこのように付け根で裂けてしまいました。
電圧DC5V 電流0.22Aの小電力ですから、何事もなく発見できました。
しかし、AC100V側だったら大変な事になっているところでした。
純国産のビニールコードだったらこんなに簡単に裂けることはありません。



↑ 何故こうなったかと云いますと、「素材品質」に問題があるのです。
ビニル被覆や導線の銅の素材などが日本の品質管理でいけば規格外でしょう。
柔軟性がありません。 日本メーカーの品質検査によく通ったものと思います。
今後、オール日本製にもっていかないと、安心して電気製品を使えなくなります。
ナショナル真空管ステレオ「SE-2300」の修復修理は最終工程に入りました。
最終工程で、予期せぬトラブルが発生しました。
レトロオーディオは何が起きても不思議はないのですが・・・・・
エコーマシが突然不具合を起こしました。
少し効き方が弱いようでしたが動作はしておりましたのが突然エコーが掛らなくなりました。

↑ 全ての修復作業が終りキャビネットに組み込み、エージングテスト中の様子です。

↑ できる限り安全安心使用のためコンデンサー等の交換を行います。
先ず、電源回路のブロック型の電解コンデンサーを交換します。
50数年前のケミカルコンデンサーには機種により異なりますが200V~400Vの直流電圧が
掛っています。
内部の電解液などの変質劣化により高温破裂することもあります。
防爆構造になっていますが、蒸気状の気体を噴出します。

↑ ブロック型の電解コンデンサーの端子部分の配線を切り取り、シャーシーから取り外し
ます。

↑ 現在はブロック型の電解コンデンサーの製造はしておりませんので単体の電解コンデ
ンサーをこの場合は4個使用します。

↑ 狭いスペースにラグ板を介して要領よく取り付けて配線を行います。

↑ その他の音質に関係する低周波増幅回路のコンデンサー(茶色)を交換しました。

↑ 後方から見た様子です。 ブロック型の電解コンデンサーがなくなり、単体の電解コンデ
ンサーがシャーシー内側に取り付けてあります。

↑ 現時点で交換したパーツです。

↑ テスト中の画像です。 明らかに音質が良くなりました。 活力、余裕と言った表現は
適切でないかもしれませんが、ボリュームを上げるとスーッと付いてくにるように感じます。
ここで問題のトラブルに気付きました。 このステレオの魅力の一つの「エコーマシン」が
動作しなくなったのです。

↑ 色々調べた結果、リバーブユニットの故障と判断しました。
詳しく原因を調査してミニ基板内のトランジスターの不良が見つかりました。
しかし、トランジスタは型名の判別が出来ないほど劣化しています。
何とか「2SB」だけが読み取れました。

↑ 持ち合わせの超年代物の半導体の中から使えそうなものを仮付してみました。

2個目の「2SB54」で適合しました。 バッチリとエコーが復活しました。

↑ 組み込んで、テストしました。 前より強力に反応しています。



↑ エージングテスト中の様子です。
一個の古い年代の旧式の半導体が役に立ってくれました。
古いものを大切に保管しておいて役に立ってくれて良かったと感謝の気持ちです。
ナショナル真空管ステレオ「SE-2300」の修復修理は次の工程に進む前に、
レコードプレーヤーの「フリーヘルツ化を行いました。
↑ プレーヤーは元々50Hz仕様でしたので、レコード再生テストで回転が速すぎて
不自然なため先に対策を行いました。

↑ 折り紙つきの「スイッチング電源」と「正弦波インバーター電源」の組み合わせです。


↑ インバーター電源のノイズも軽微で、非常に安定した回転が得られました。

↑ 後部の様子です。
ナショナル真空管ステレオ「SE-2300」の修復修理はラジオは何とか受信できます。
長年大切に保管されていました。
半世紀以上の経年劣化はありますが、全体的にきれいに見えます。

↑ 当時の製品はシャーシー内部の修理の煩雑さは考慮されていませんでした。
故障と云えば真空管の交換で直っていました。
垂直マウントのシャーシーを取り外して修理をしようとすると、シャーシーに直結されている
スピーカー/エコーマシン/パイロットランプ等の配線は長さに余裕がなくシャーシーだけを
引き出すのに限界があります。
↑ 一番最初に通電して内部を目視で確認時に真空管6AQ8のヒーター(6.3V)が不点灯の為
ヒーター電圧の違う12AT7(12.6V)を差してチェックをしていました。
12AT7は真空管ソケットの配線を変えれば6.3Vで使用できます。
画像右の6AQ8はクラックにより真空が低下してゲッターが飛んで先が白くなっています。


↑ パーツの陰にかくれている、9ピンの真空管ソケットのヒーター配線を変更しました。

↑ 6.3ボルトの規定ヒーター電圧で使用可能になりました。

↑ レコードプレーヤーをキャビネットから取り外してシャーシーに接続して修理をはじめます。

↑ ターンテーブルを外した様子です。

↑ センターシャフトのロックはありません。
モータープーリー(キャプスタン)は異常なしです。
アイドラーは問題を抱えています。 ゴムの劣化による弾性と変形によるスリップです。

↑ 回転時のガタツキ、不安定などは長年停止時にキャプスタンとアイドラーが密着して
いたためアイドラーのゴムが3か所陥没していて、ガタツキが出ています。

↑ プレーヤー裏面のアームのオート機構です。
かなりの修復が必要ですが、ターンテーブルの駆動力が乏しいため動作が途中で停止します。
↑ クリスタルカートリッジは経年劣化のため変質しています。
音質、音量が極端に低下しています。針の不良と針取り付け部分のゴムの劣化などで
使用不可です。

↑ 交換します。
ここまでで、プレーヤーは手動で動作音出し、全ラジオ受信OKとなりました。
次は詳細なメンテナンスと安全対策を行います。
ナショナル真空管ステレオ1960年前期製「SE-2300」の修復修理ですが、
真空管式レトロオーディオの定番、アンサンブルタイプの修復修理はここしばらく遠ざかって
いました。

↑ 今回のこのナショナル真空管ステレオ「SE-2300」は希少な製品です。
この「SE-2300」は二つのMWラジオによるステレオ受信/SW短波ラジオ/FMラジオ/
PHONOと云った当時の最先端の構成になっています。

↑ サイズ W 930 H 780(525脚を除く) D 370mm
アンサンブルタイプのステレオでは扱い易い中程度の大きさです。
ラジオは何とか受信できます。 プレーヤーはフォノモーターは回転しますがターンテーブル
は回転不能です。
今回は全てのクリーニングから始めました。
↑ きれいになった操作部分です。 ターンテーブルマットは新しく載せ替えました。



↑ 左右2つのラジオダイヤルが並んでいます。

↑ 後部から内部の様子です。 当時有名だったナショナルの20センチダイナミックスピーカー
8PW1のシリーズと思われるDUコーンの8PW3が搭載されています。

↑ 垂直マウントシャーシーです。 2ラジオチューナーで10球構成です。

↑ 当時流行のエコーマシンが搭載されています。

↑ ステレオエキスパンダーとエコー(リバーブ)調整です。

↑ ナショナルステレオの「SUPER PHONIC STEREO SYSTEM」のエンブレムです。

↑ 修復修理を順次進めていきます。
今では珍しいVU出力メーターの付いた1970年代のビクタープリメインアンプ「JA-S15」の
修復修理を行いました。


↑ 大型の「VU出力メーター」の搭載されたアンプは最近では殆ど見かけなくなりました。
スピーカーをどのくらいのパワーで駆動しているかが目視できます。
針の動きが「音を目で追う」何とも言えない感覚が味わえます。

↑ 特別に故障個所はありません。 アンプは全体的なメンテナンスになります。
各ボリュームのガリΩ、セレクトスイッチの接触不良、全体のクリーニング等です。
接点クリーナー/接点復活剤を噴射注入してすり合わせを行いスムーズな動作に
もっていきます。
回路構成は当時の最先端の大型パワーICを採用されています。

↑ 後面ピンジャック部分とスピーカー接続端子です。
接触部分をきれいにします。

↑ メンテナンス修復修理が終り、動作テストを行います。

↑ エージングテスト中の様子です。 全てに満足な結果が得られました。
サンスイ真空管セパレートステレオ「APS-530」チューナーアンプの修復修理は
最終工程に近づきました。
非常に良い状態に仕上って来ております。
「出力管6AQ8」が4本の内の3本が過大電流でプレート電極が赤熱したため若干
バランスが崩れました。
しかし、このNECオリジナルの6AQ8の入手は絶望的です。
何とかバイアス電圧を調整して一番良い状態に近づけるように奮闘中です。
今の6AQ8がダメージを受けながら生き残ってくれたことに感謝しています。

↑ 交換した全てのパーツです。

↑ 6個のブルーの抵抗の値によりカット&トライで調整しました。
、

↑ 外部入力端子は初期の旧式のRCAジャックです。
少し太めになっていますから現在のピンコードは少し窮屈ですが、かなり強く押し込めば
使用できます。

↑ 私が40歳代の頃カーステレオで聞いていた「竹内まりや September」です。

↑ AUX端子にCDプレーヤーを接続して音出しをいたしました。
PHONO端子もレコードプレーヤーを接続して音出しをいたしました。 絶好調です。
PIONEER 4chセパレートステレオ「FD-5」の修復修理VOL4の工程後エージングテスト中に
レトロオーディオにありがちなトラブルが浮上しますが、その都度チューニングを繰り返し解決し
ながら安定動作に持っていきます。
いよいよキャビネットに組み込みを行いました。

↑ シャーシーにFD-5独特の頑丈な遮蔽板を取り付けました。
普通は開放型になっていますが、贅沢な設計です。

↑きっちりマウント出来ました。
プレーヤーを載せて、電源コードと、カートリッジからの出力ピンコードの接続が非常に
やりにくい構造になっています。


↑ 常備していますFD-5の専用フロントスピーカーを接続して鳴らしています。

↑ 後部の様子です。 リアスピーカーの赤と黒の増設のフリー端子の部分は、
後部のカバーの部分が当たりますので後部カバーを少し切り抜きました。

↑ 増設リアスピーカー端子に別の小型スピーカーを仮接続してみました。
極性を間違わないように接続します。

↑ 中々都合よくどんなスピーカーでも接続できて便利です。
レトロオーディオの修復修理で重要な事は「動作機能の復元」のほかに大切なことは、
「安全問題」です。
数十年の経年劣化で部品の安全度は低下しています。
特に「コンデンサー類」は注意を要します。
低電圧よりも高電圧の場合は「破裂」を伴う場合があります。
今回は修復修理の途中で「破裂」がありました。 小型のチューブラコンデンサーですが、
バーンと大きな音がします。この場合は発煙、発火はありません。
その他コンデンサーの劣化は音質、音量などに影響があります。
↑ 各種コンデンサー交換後のエージングテスト中です。

↑ 今回は電源回路の「ブロック型電解コンデンサー」3個を交換します。

↑ シャーシー内部から見た電源回路の「ブロック型電解コンデンサーの端子部分です。

↑ 取り外した3個の大容量ブロック型電解コンデンサーは単体の電解コンデンサーに
置き換えます。(現在は大容量ブロック型電解コンデンサーは製造されていません)

↑ 取り外した跡のスペースに多数の単体の電解コンデンサーを取り付けて配線を行います。

↑ 空きスペースを有効に使って6Pのラグ板3個を取り付けて単体の電解コンデンサーを配置
して、.配線を行い作業が終りました。

↑ 配線に間違いがないか点検します。

↑ 次に音質、音量などに影響のあるチューブラコンデンサーの交換を行いました。

↑ やはり、音が変わりました。
予てよりご相談いただいておりました、2014年3月に修理をさせていただきました
ビクターセパレート4CHステレオ「DF-11」のプレーヤーに不具合が発生して、
修理で送られて来ました。
症状はターンテーブルの起動が遅く、スタートして5秒後→30秒後→3分後とひどくなっています。
そして現在は回転不能になっています。

↑ 確かにまったく起動しません。
何度も、何度も繰り返していると。何度かかなり待ってから回ることが確認できました。
トラブルが発生しています。

↑ 重いターンテーブルを取り外しました。

↑ 起動スイッチが怪しそうです。

↑ 小さなマイクロスイッチを分解して接点の動作を確認しますと、起動のタイミングの
時に接点が閉じません。
接点クリーナー液を注入して動きを良くします。
同等構造のマイクロスイッチがあれば交換したいところですが、入手不能です。

↑ 慎重にマイクロスイッチを元通りに組み立てて取り付けました。

↑ アームのカムとスイッチレバーのタイミグを合わせます。

↑ プレーヤー裏面の全体像です。
起動してしまえば、回転数は安定しているそうですから、サーボ回路基板は大丈夫です。

↑ 何故か? ベルトにオイルが付着しています。 プーリーとベルトの油分を拭きとりましたが
念のためヘルトを交換いたしました。


↑ 完全動作を回復しました。 レコード再生テストを繰り返し中です。
1960年前期サンスイセパレートステレオ「APS-530」チューナーアンプの修復修理で
難関突破を強行いたします。
先ず、出力真空管は6RA8を4本をプッシュプル接続で使用されています。
左アンプ2本のプレート電極が赤熱してカソード抵抗と電解コンデンサーが破裂して
います。
詳細に調べますと右の出力管の片方のカソード抵抗も焼けています。
このまま通電するとやがて抵抗が断線してその間に高電圧が掛り電解コンデンサー
の耐電圧を超えて発熱破裂するのは明らかです。


↑ 左アンプ6RA8PPのカソード抵抗とバイパスコンデンサーが焼損と破裂の様子です。
原因は画像の左右の太めのチューブラオイルコンデンサーの絶縁低下より直流電圧が
リークして6RA8のバイアス電圧がオーバーして異常なプレート電流により真空管のフレ
ートが真っ赤に焼けて大電流によりカソード抵抗が焼損断線して並列に接続している耐
電圧の小さいバイパスの電解コンデンサーにDC350Vが印加されて破裂しています。

↑ 右アンプ6RA8PPのカソード抵抗とバイパスコンデンサーが焼損と破裂の寸前の様子
です。
画像右の50μF電解コンデンサーはテスト中に破裂しました。
↑ 経年劣化による絶縁不良のチューブラコンデンサーです。

↑ 破裂した15V/50μFの小型電解コンデンサーです。

↑ 高電圧により焼損断線したカソード抵抗です。




↑ 黄色の交換したコンデンサーなどです。



↑ AM/FMラジオを受信して音出しテスト中の様子です。
小型SPが飛びそうな、流石SANSUIを彷彿させる音です。
次工程で大型SPを接続したテストと詳細な各部の修復作業を行います。
1960年中頃の真空管ステレオが一体型(アンサンブル)時代からセパレートタイプに変わり始
めた頃の非常に珍しい、サンスイが最初に製造した真空管セパレートステレオ「APS-530」
チューナーアンプの修復修理のご依頼がありました。
故障状態は突然コンデンサーが破裂してパワーの真空管2本が赤熱したそうです。

↑ セパレートですがチューナーアンプは独立したコンポスタイルです。
チューナーアンプのみが届きました。
↑ これは以前に修復修理した姉妹機のAPS-310です。 (参考画像)
チューナーアンプ部以外はほとんど似たデザインです。


↑ 前後の画像です。


↑ 筐体カバーを外した様子です。
流石、トランスの専門メーカーです。
左・音声出力トランス2個 右・電源トランス 大型で重い余裕の造りです。
使用真空管は合計19球です。


↑ シャーシー内部の様子です。

↑ 破裂したコンデンサーの周辺です。 何が起きたのでしょうか、
R/L出力回路6AR8PPのカソード抵抗も焼損しています。
原因究明の作業に入ります。