予てよりお預かりしておりました、
アメリカ製AC/DC 2WAY真空管ポータブルラジオ「MITCHELL MODEL1296」の修復修理は
全く動作をいたしません。
修復修理をはじめました。


↑ かなり古い珍しい携帯ラジオです。
電池式のミニチュア真空管4本を使用した交直両用のスーパーヘテロダインポータブル
ラジオです。
サイズ W 252 H172(ハンドルを含む全高200) D 81mm


↑ 裏蓋を開けた様子です。
A電池1.5V B電池67.5V の電池収納スペースがあります。
AC電源コードも付いています。


↑ ベークライト製のキャビネットから内部シャーシー一体をとり出しました。

↑ W 239 H 33 D 60mmの小型シャーシーにパーツがギッシリ詰まっています。
原因究明の電圧測定を行いました。

↑ 100ボルトAC(交流)電源をトランスを介さずに直接DC(直流)に変換するセレン整流器
の不良と判定いたしました。

↑ 非常に狭いシャーシーから不良のセレン整流器を取り外しました。


↑ 念のため現在のシリコンダイオードをつないで確認の結果、規定電圧を確保でき
正常動作をいたしました。

↑ 配線用のラグ板をシャーシーに半田付けをしてシリコンダイオードを取り付けて
配線を行いました。


↑ テストの結果良好です。

↑ 元通りにキャビネットに組み込みを行いました。
エージングテストの様子です。
性能は通常の5球スーパーラジオと同等です。 音質/音量も電池管とも思えない程です。
1920年代頃のポータプル蓄音機Columbia Viva-tonal Grafonola MODEL-NO.212
は、電気式の蓄音機(電蓄)が出る前のゼンマイ式で回り機械式の振 動板で音を出す
ものでした。
経年劣化の激しかった木製レザー貼りのキャビネットが補修により見違えように、
きれいになりました。
来店のお客様は珍しい電気のいらない蓄音機の音に
「生まれて初めて聞いたがいい音ですね」と一様におっしゃっていました。

↑ 3回塗り重ね綺麗になった上蓋の皺のような模様はレザーの浮き出た紋様であることが
分かってきました。

↑ ピックアップが収納時の位置の様子です。

↑ レコード再生時の位置の様子です。

↑ レコード鉄針交換時の位置の様子です。

↑ 針先でレコードの溝の振動でビックアップの振動板で音になり、その音を更に
パイプの中を通りキャビネットの下から上蓋にかけてホーン状になった共鳴装置で
音を大きくして前に出てきます。
良く考えたものです。
レコードの生の音が出てきます。

↑ 多分90~95年程前の製品でしょう。
立派に動いて今だに美しい音を奏でてくれます。
後世に受け継がれるのはうれしいことです。
1920年代頃のポータプル蓄音機Columbia Viva-tonal Grafonola MODEL-NO.212
は、電気式の蓄音機(電蓄)が出る前のゼンマイ式で回り機械式の振動板で音を出す
ものでした。
スタート・ストップのメカを切離して回りました。
コトコト異音がしていまたが、 異音の原因をつきとめ、修理できました。
スタート/停止は別のレバーで可能ですので問題ありません。






↑ ケースの表面化粧のレザー貼りが経年劣化のために、
「大きな皺のような亀裂」「破れて中のクッションの飛出し」「色褪せ」など、
ダメージがあります。
何とか、修復の方法を考えまして、「破れは接着」、「色褪せは塗装」「皺のような亀裂は
対策がない為、皺のような亀裂を模様に利用」することにしました。
ブラックのウレタンニスを3回塗りを行います。


↑ 特に蓋の無数の小さなレザーの剥離部分は細筆で先に塗り込んでおき、
乾いてまた塗り、次に蓋全体を平刷毛で一度塗り、乾いてからもう一度塗ります。
3回目は完全に乾いてから明日に仕上げます。
2回塗りでも結構きれいになりました。
1920年代頃のポータプル蓄音機Columbia Viva-tonal Grafonola MODEL-NO.212
は、電気式の蓄音機(電蓄)が出る前のゼンマイ式で回り機械式の振動板で音を出す
ものでした。
スタート・ストップのメカを切離して回りましたが、 コトコト異音がしています。
異音の原因を探ります。

↑ 原因はターンテーブルの軸に付いているカムが欠けているのがストッパーに連動して
いる金具に当たっていました。

↑ 取り外すことにより異音はピタリと止まりました。
これで完全手動になりますが、気持ちよく使えます。
しかし、昔のもの造りはすばらしい。 うれしくなります。
それに反して現代のものづくりは「価格志向」「大量生産/販売」「使い捨て」「環境破壊」
等で恥ずかしくなります。
1920年代頃のポータプル蓄音機Columbia Viva-tonal Grafonola MODEL-NO.212
は、電気式の蓄音機(電蓄)が出る前のゼンマイ式で回り機械式の振動板で音を出す
ものでした。

↑ 一世紀近くも無事に保管されていたことに驚きます。



↑ 舶来の製品と思われます。

↑ 鉄針を取り付けます。

↑ ハンドルを取り付けてゼンマイを巻きます。

↑ 注油を行いました。 しかし、軸が回りません。

↑ スタート・ストップのメカが壊れています。

↑ スタート・ストップのメカを切離しました。

↑ ターンテーブルを載せて動作を確認します。

↑ 回りました。 コトコト異音がしています。

↑ レコードを載せて鳴らしてみます。
鳴っています。 いい音で鳴っています。
機械式カッティングのレコードは機械式の蓄音機が原音再生に向いている事が
分かります。



↑ 少し様子を見てからコトコト音の処置を考えます。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は
ゴールが見えてきました。
苦しい道中でしたが、遂にゴールします。

↑ 完成画像です。


↑ いよいよ組み込みですが、その前に、錆びていた4本の真空管のシールドケースを塗装
しておきます。
ケースが窮屈に出来ていまして真空管が抜けませんのでそのまま塗りましたが、
不便で仕方ありません。
そこでケースにはさみで切れ目を入れました。
そしてシャーシーに完全にアースが取れるようにリード線をシールドケースに半田付けを
して真空管の高さ分リード線を長くしてシャーシーに半田付けを行いました。
電源トランスのカバーも塗装しておきました。



↑ 上かられこーどプレーヤー、アンプチューナーシャーシー、スピーカーと、それぞれが
接続配線で繋がっていますが、繋がったままでは、作業が出来ませんので、中継の端子板
を使用します。

↑ 大きなキャビネットですがシャーシーの天地の空間が窮屈です。
モーターが障害になっています。 仕方ありません。

↑ シャーシーマウント中にもう一つのダイヤルパイロットランプが点灯しなくなりました。
ソケット不良と豆球不良が重なりました。

↑ 今度はツマミの位置がシャフトの位置が下がったためキャビネットの穴に擦れて
ダイヤル操作がギクシャクしています。
チューナー部分をゴムブッシュで浮かせていますが、劣化で落ち込んでいます。
金具でチューナー部分を5mm持ち上げて決着しました。

↑ レコードプレーヤーをトップにマウントしました。
電蓄らしくなりました。

↑ ヘッドホンジャックを取り付けました。
PHONO/RADIO/AUXのセレクターツマミは壊れていますので新しく交換いたしました。

↑ レコードテストでフォノモーターが停止の時にスイッチの接点ノイズが出ますので
防止用のコンデンサーを取り付けました。




↑ 毎度のことですが組み込み時は気が抜けません。
↑ 裏蓋が欠品と云うより、最初から付いていなかったようです。
ネジ穴やストッパーの痕跡が全くありません。
アメリカ的な合理性がそうさせたのでしょうか、後ろは見えないから・・・
穴あきボードを古美塗装してバランスを考慮して裏蓋を作りました。
取り付けはエージングテストが完了して最後に行います。

↑ 最終直前のシャーシー内部画像です。
電源トランスのカバーはこちら側も塗装しておきました。

↑ ラジオチューナー部分の拡大画像です。
74年前の戦前に輸入されたアメリカ製のオールバンドラジオが搭載された電蓄は
非常に高価で贅沢品として高額の税金がかけられておりました。
また戦時中は情報統制で一切外国放送は聞かせないため軍が厳しく管理しており
ました。
このオールバンドラジオは
MW(AMラジオ国内放送) 535KHz~1700KHz一般的な中波のラジオ放送
SW1(短波ラジオ海外放送) 5MHz~11MHz(主に中国、韓国、東南アジア方面)
SW2(短波ラジオ海外放送) 11MHz~18MHz (VOA放送などアメリカやヨーロッパ)
最初はSW1/SW2とも受信不能でした。
戦時中にSW1/SW2は局部発信回路のコイルを破壊して絶対修理されないように
されています。
意図的に壊された形跡があります。 ダイヤルの周波数まで消されています。
しかし何とかならないかと色々試験的にできることは全て行い奇跡的にSW1だけ
受信に成功いたしました。
画像のブルーのビニール線は今回取り付けたSW1専用のアンテナ線です。
普通はMW/SW兼用です。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は
「ラジオ選局ダイヤル機構部」の修復を行います。
放送電波の受信は
MW(AMラジオ) 535KHz~1700KHz
SW1(短波ラジオ) 5MHz~11MHz
SW2(短波ラジオ) 11MHz~18MHz (受信不能修復の見込みなし)
「ラジオ選局ダイヤル機構部」は当初から問題を抱えて解決は最後に、と考えておりました。
短波放送の選局などを容易に行えるように考えたメカにはPHILCOの技術の高さが窺えます。
しかし、経年で素材の耐久性が付いて行けなく、不具合を起こしています。

↑ 画像は最初に撮影したものです。
厚さ僅か0.3mmのベークライト製の特殊形状ダイヤル標示盤です。
支点の重量バランスが均一でないためブラブラしています。
70数年の経年劣化で変形しています。

↑ 修理当初からMW/SWバンド切り替えスイッチの不具合を感じながら修理をしており
ました。
MW/SWバンド切り替えスイッチとダイヤル調整はこのようになっています。

↑ 画像の現在のレバーの位置はMW/SWバンド切り替えスイッチSWになっています。
このままでは不具合が起きませんが、MWに戻す時に変形して内側に入りすぎている
ダイヤル円盤に6角ナットが衝突してダイヤル円盤を破損してしまいます。

↑ MW/SWバンド切り替えスイッチがSWの場合のレバーの位置です。
6角ナットが奥に向くように反対側に付け替えておきます。
これで万一当たった時でもビスの頭が丸いため衝撃が小さく回避できます。

↑ MW/SWバンド切り替えスイッチがMWの場合のレバーの位置です。

↑ これでも心配ですので、円盤を外して歪の修正方法を考えました。
アクリルの場合は加熱すれば修正は可能ですがベークライトは不可能です。

↑ タイヤル円盤を取り外しました。

↑ ダイヤル指針のバックライトです。
ダイヤル円盤の歪修復と補強を色々考えました。
ある程度強制的に修正をしないとゆうことを聞きませんので、画期的な方法をとりました。
1.6mmの銅線を円盤の外周通りの大きさの正円の輪を作り、円盤を瞬間接着剤で貼り
付けます。完全に接着してから自由に修正します。

↑ 円盤の裏側の周辺部に寸分の狂いもなく、しっかりと瞬間接着剤で貼り付けます。

↑ このようになり、自由に整形が可能になりました。


↑ これで一連の「ラジオ選局ダイヤル機構部」の修復修理は苦労の甲斐があり成功
と思いきや、・・・・・
かなり、文字が薄く見にくかったものが更に消滅部分が広がりました。
仕上った時点で拭いたのが悪かったのか、・・・・・悔やまれます。・・・・・

↑ ダイヤル円盤を取り付けて操作をしますと、引っ掛かりもなく、安心です。
しかし、・・・・・
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理 VOL8で
記載漏れがありました。

↑ ヘッドホンジャックの取り付けを行い、テスト時にヘッドホンで聴くとボリュームを絞り
切ってもハムが目立ちます。
これは、B電源のリップル(脈流)が原因です。
真空管のヒーター電源はA電源と云い低電圧の交流(AC)です。
真空管のプレートなどの電源はB電源と云い高電圧の直流(DC)です。
この直流高電圧は交流300Vを両波整流と云う回路で直流に変換します。
しかし、その直流には交流60Hz×2=120Hzの脈流分(リップル)が含まれています。
この僅かな脈流分(リップル)が増幅されてハム音になります。
この脈流分(リップル)を平滑にするために大容量の電解コンデンサーを使用いたします。

↑ 脈流分(リップル)を平滑にするために大容量の電解コンデンサーと抵抗器により
平滑回路をもう一段増設を行います。
400WV/100μF大容量電解コンデンサーと抵抗器を取り付けました。
電解コンデンサーの下に写っているヒューズホルダー/ガラス管ヒューズは
機器全体のAC100V電源回路に安全の為取り付けました。

↑ 抵抗器はスペースの関係で空いた個所に取り付けました。
これで、ハム音は解消されました。

↑
レコードプレーヤーボードに写っているガラス管ヒューズはフォノモーター電源回路に
安全の為取り付けました。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は
ご要望のヘッドホンジャックの増設を行います。
ヘッドホンジャックは標準的な「ステレオ用6.3φ」といたします。

↑ 当然この電蓄はモノラルですから、普通のモノラルジャックを使用しますと、
ステレオヘッドホンを使用した場合、片方のみしか鳴りません。
ひと工夫を行い、ステレオ用ジャックを使用して、配線も更に工夫を加えて両ユニットを
駆動させる方法をとります。
それと同時に色々な用途に外部入力端子AUXも設けたいと考えました。
↓ 画像左がヘッドホンジャック 画像右がAUX端子のピンジャック

取り付け位置は外観に触れずに、レコードプレーヤーボードの針ケースを取り除き
その穴を利用いたします。




↑ 体裁よく取り付けが出来ました。

↑ レコードプレーヤーの裏面の配線の交換を行いました。


↑ ヘッドホンジャックの配線はかなり複雑です。
ヘッドホンを差込むとスピーカーの音が消えることが必須条件になります。


↑ AUX端子にCDを入力して上々のテスト中です。

↑ スピーカーを仮取り付けをしてテスト中です。
やはり、キャビネットに取り付けますと一段と良くなります。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は、
主要部分の修理理工程をこなしながら、
安全性の向上、安定度、パフォーマンスのアップなど、細部の作業が続きます。
本日、スピーカーグリルネットの交換に使用する生地が届きました。
早速、張り付け作業を行いました。

↑ 完成画像です。


↑ 生地は伸縮性がないため、皺やたるみが目立つため、アイロンがけを行ってから
張り付けを行います。




↑ 完成画像では、正確な風合や色の再現は出来ませんが、非常に良く合っています。

↑ スピーカーのリード線の交換等をおこないます。
ヘッドホンジャックの取り付けがある為、考慮した配線の準備を行います。


↑ シャーシー内がかなりスッキリしてきました。


↑ 25センチフィールドタイプダイナミックスピーカーをキャビネットに組み込みが間近に
なってきました。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は、
前回VOL5でご紹介いたしましたキャビネットの塗装の劣化部分の補修をほゞ完了いたし
ました。
次はコンデンサーの交換と配線の一部交換を行います。

↑ コンデンサーの交換と配線の一部交換途中の画像です。





↑ コンデンサーの交換は完了ですが、配線交換はスピーカー配線とヘッドホンジャックの
取り付け配線がありますが次回に行います。

↑ RADIO/PHONOセレクタースイッチの配線交換を行いました。

↑ ダイヤルライトの配線とパイロット球と豆電球ソケットの交換を行いました。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は、
前回VOL3でレコードプレーヤーの仮修復修理を行い音出しに成功いたしました。
これで機器の仮修復修理により本修理時の工程が確立されました。
次は問題のキャビネットの修復があります。
これは、塗装の劣化部分をどのように補修を行うか、悩ましいところですが、
既にご依頼者とご相談の結果、オリジナル継承を重視の方向で部分補修を決定済みです。
全く塗装が剥離した部分の塗装の方法を別の保管している不用のキャビネットで試験塗装を
行ってから最も適した方法をとる予定です。


↑ レコードプレーヤー/シャーシー/スピーカーなど全てを取り外したキャビネットです。

↑ 内部の様子です。



↑ スピーカーバッフルボードとグリルネットを外します。

↑ スピーカーバッフルボードとグリルネットを外した前面の様子です。


↑ スピーカーバッフルボードとグリルネットを外した内部の様子です。



↑ 上扉の開閉時に手を放すと扉が閉まってしまいます。
ストッパーの修理を行いました。
キャビネットの塗装修復の下準備にかかります。
全く塗装が剥離した部分と現塗装部分との境界部分が自然に見えるように塗装するために
別の保管している不用のキャビネットで試験塗装を行ってから最も適した方法をとる予定です。







↑ レトロ感を残しながら全体のバランスのとれた部分修復塗装の難しさに挑戦します。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は、
前回VOL2でシャーシーラジオアンプの音出しに成功いたしました。
次はレコードプレーヤーの修復修理に取り掛かります。
これは、フォノモーターの正常な回転とカートリッジのレコード面からの音出しが最重要です。








前回VOL2でフォノモーターの一応の回転は確認済みです。
ピックアップカートリッジからの出力はなしで音出しは不可能でした。

↑ 改めて再度テストしますが、やはり音は出ません。

↑ コブラ型シェルに搭載のマグネチックカートリッジを取り外して分解を行います。

↑ 先端のシエルを取り外します。

↑ プラグの接触不良を確認します。


↑ 分解して内部を調べます。

↑ 馬蹄形磁石と発電コイルとカンチレバーで構成されています。
テスターによる導通テストでコイルの断線はありません。

↑ カンチレバーの不具合と思われます。
2か所のネジによりカンチレバーのセンター位置の調整が可能です。

↑ 精密な調整を行いました。
画像中心部にご注目。

↑ 調整完了拡大画像ではっきり確認できます。
カンチレバーの鉄片が磁極の中央に位置しないとならないのですが、
磁極のN/Sどちらかにピタッと吸引されていると発電不可能になります。
そのために極端に出力低下又は不能になります。



↑ 元通りに組み立てます。
プラグ部分もクリーニングしておきます。

↑ ピックアップアームに装着してテストを行いました。
マグネチックカートリッジは蘇りました。 立派に音を奏出ております。

↑ このアームスイッチはレコード盤の終端で手動でアームを戻す時に
フォノモーターの電源が切れてターンテーブの回転が停止するものです。



↑ 動作を確認しながら調整を行いました。


↑ エージングテストの様子です。

↑ 全体のクリーニングを行いました。



↑ エージングテスト中の様子です。
ビンテージ電蓄1940年代MADE IN USA PHILCO MODEL 650の修復修理は、
前回VOL1でご紹介の通り分解して判明したことですが、過去にも何回かの修理が行わ
れている痕跡が窺われます。
そして、電源スイッチ付ボリュームが空回りしてツマミを回してもぐるぐる回って電源が入
らず、配線が中でもつれて断線しています。
ある意味「壮絶」の言葉通り覚悟の修復作業と考えています。
未知との遭遇・・・・・
電気工学の初歩から学び60年以上の、経験、をしても、容易に修復できるとは限りません。
ふと、不安がよぎります。
NHK中継の競泳日本選手権で若きアスリート達が一瞬にかける壮絶な闘いを観て力を
もらいました。

↑ キャビネットからシャーシーを取り外しました。 非常に頑丈に作られています。
シャーシー内部の様子です。
当時の配線銅線の被覆はゴムと繊維が使用されていますので劣化が激しく、
ポキポキと折れてしまいます。

↑ シャーシーの上面です。 円形のダイヤル文字盤です。

↑ 真っ先に、劣化の電源コードを新しく交換を行いました。

↑ すべての真空管の脚とソケットの.接触を改善するためクリーニングを行いました。

↑ 電源スイッチ付ボリュームが不良の為交換を行います。

↑ 電源スイッチ付ボリュームを交換しました。
シャフトが短いため後で延長シャフトを取り付けます。
電源を投入するのは、かなりの不安が伴いますので、事前にボロボロの電源コードを
交換いたしました。
最重要な電源トランスの断線、絶縁状態検査を十二分に行いました。
回路のショート、絶縁の点検も完了して、
いよいよ通電テストを行います。
その前に緊急時の保護の為の仮の電源ヒューズを取り付けておきました。



↑ 無事に電源投入して真空管のヒーターが点灯することが必須条件です。

↑ 電源投入・・・・・取り付けしてない整流管以外の7本の真空管のヒーター電圧の
供給は正常に行われました。
数十年ぶりに真空管が点灯しました。
第一関門を突破いたしました。
ここで広い作業台に移動いたします。

↑ いよいよ8本目の整流管を挿入して全ての真空管にB電源をAC250VをDC250Vに変換
して供給します。


↑ ラジオの受信回路は3バンドになっています。
3連バリコンを取り付けてあり、その裏側にコイル類があります。
複雑な受信回路です。
ラジオとレコードの切り替えのセレクタースイッチはレコードプレーヤーボード上にあり
ますので、キャビネットからプレーヤーを外してシャーシーに一旦切断した部分を仮に
半田付けをして接続します。

↑ 一旦切断したケーブルを再接続しました。
各部を丹念に点検を行います。
劣化したすべてのコンデンサー類の交換が必要ですが、とりあえず、動作を優先して
進めます。

↑ 準備万端電源オン・・・・・AMラジオの受信に成功です。
まだ、色々交換、調整などが必要ですが、鳴っています、 感無量です。
おまけに夜間になって短波帯も受信に成功しました。
現在はハム音がありますが電解コンデンサーの交換により解決の予定です。

↑ ラジオ受信のテスト中の様子です。

↑ レコードプレーヤーはフォノモーターは回転しますが、注油などのメンテナンスと
オートストップスイッチの不具合、マグネチックカートリッジの不良など次回修理の予定です。





↑ お見積もりの仮修理は予想以上に好発進をいたしました。
予てよりお預かりしておりました、Victor POWER AMPLIFIER 「M-270」の修理の状況です。
ビクター製の超重量の真空管大型モノラルメインアンプです。 製造年不明。
過去に何度か修理や改造が行われております。
現在、電源は入りますが、動作はしません。

↑ 重量は推定40Kgはあります。

↑ 100V AC電源用のメーターと出力のピークメーターがあります。

↑ 後部の様子です。

↑ モノラルの入力端子 電源ヒューズホルダー スピーカー接続出力端子

↑ 使用真空管 6AC7×2 EL34×2 不明×2 5AR4×2


↑ 高熱の真空管冷却用のFANです。

↑ スピーカー接続端子は2Ω~16Ωに対応しています。

↑ 大容量電解コンデンサーです。 異常なしです。

↑ 特大の電源トランスです。

↑ スピーカーを接続して入力を接続、電源オンしますが音は出ません。
電圧チェックなどを行いながら詰めていきますが、どうも変です???

↑ 整流管5AR4の1本がガイドピンが折れて差し方が違っていました。
B電源は復旧しますが、やはり音は出ません。

↑ 次に入力前段の2本の無名真空管が逆になっていました。

これで、一応動作を取り戻しました。
1960年代ビクター真空管卓上ステレオ「STL-163FB」の修復修理の次の工程は
レコードプレーヤーの修復修理を行います。
最もシンプルな17cmターンテーブルのプレーヤーですが、色々問題を抱えております。

↑ プレーヤーの全体像です。

↑ ターンテーブルを外した状態です。
(アイドラーシャフトのEリングが欠品しています。)

↑ 50c/s(Hz)の標示があります。
これは、50Hz専用のプレーヤーですからAC100V60Hz管内で使用しますと
回転数が約15%速くなります。
33回転のポジションで45回転EPレコードを再生して少し遅い感じになります。

↑ ターンテーブルを外した時のモータープーリーとアイドラーシャフトの状態です。

↑ アイドラーシャフトのEリングを取り付けて駆動可能な状態になりました。
フォノモーター、アイドラーシャフト、ターンテーブルシャフト/軸受等各可動部分に注油を
行います。

↑ :レコードプレーヤーの裏側の様子です。
フォノモータースイッチ配線の一部が欠落の為修復を行いました。

↑ プレーヤーの回転が可能になり音出しテストの結果、クリスタルカートリッジの出力が
極端に小さく、右側が全く出ません。
クリスタルカートリッジの経年劣化寿命にる不良と判定いたしました。

↑ カートリッジの交換を行います。
画像左 不良のクリスタルカートリッジ 画像右 交換用の新品セラミックカートリッジ

↑ 仮取り付けを行いテストの結果、良好です。
33回転のポジションで45回転EPレコードを再生して少し遅い感じになります。

↑ 33回転のポジションで33回転りLPレコードを再生していますが、回転が速やすぎます。


↑ エージングテストの様子です。
音質、音量は中型機に匹敵する程のパワーがあります。
プレーヤーのヘルツの問題解決は、
「ヘルツフリー化」を行うため「正弦波インバーター電源」と「スイッチング電源」の
組み込みにより解決いたします。
小形でも存在感を放つ珍しいこの1960年代ビクター真空管卓上ステレオ「STL-163FB」
は真空管ステレオの長所を凝縮した魅力の製品です。
しかし、電源が入りますが、プレーヤーもNGで殆ど動作せず、
AMもNGで、FMのみが僅かに入感があるのが、何とも悩ましいところです。


↑ サイズ W790 H320(脚含む) D250mm

↑ レコードプレーヤー 33/45/78回転 クリスタルカートリッジ採用



↑ 後部の様子です。

↑ パワーアンプは別置きシャーシーになっています。
大型ステレオに採用されているハイパワーの「プッシュプル回路」が採用されています。

↑ スピーカーは16cmのシングルコーン パーマネントダイナミックスピーカーです。

↑ 真空管横置きの薄型シャーシーが採用れています。

↑ AMラジオ受信不能の原因を探ります。

↑ 全てのセレクタースイッチとボリュームに接点復活剤を注入してガリΩを直します。


↑ 電圧供給ルートを調べます。

↑ 最も故障率の高いAM/FMのセレクタースイッチに入念に接点復活剤を噴射して
すり合わせを行いますが、直接効果はありません。
原因の切り分けが進み原因特定が迫ってきました。

↑ AM検波回路の配線ショートを発見しました。
画像の「1→」と「2→」間の配線ショートでした。またその原因は「3→」の配線用のラグ板が
無理に押されて倒れこみ「1→」と「2→」がショートの形になっていました。

↑ 「3→」の配線用のラグ板を起こして、「1→」と「2→」間の配線ショートを除き正常に
戻しました。
これでAMラジオが復活いたしました。
次はレコードプレーヤーの修復を行います。