CRT(ブラウン管)の寿命によりブラウン管が明るくならない」と云う事になり 回復させるには
ブラウン管の交換以外に方法はありません。
CRT(ブラウン管)は陰極線管と云って電子を蛍光体に衝突させて発光させるものです。
真空管と蛍光管を合体させたようなものです。
ヒーターで1100~1400℃に加熱されたカソードから飛び出した電子流(エミッション)と
発光体の双方の劣化により暗くなり色もおかしくなります。
ブラウン管テレビの全盛時代に所謂エミ減による発光不良のブラウン管を回復させる
「裏わざ」がありました。
ブラウン管カソードを加熱させるヒーター電圧は定格では6.3Vです。
アノード電圧は20,000V以上です。
劣化のブラウン管をリフレッシュさせる方法で効果のあるのはヒーター電圧の上昇です。
しかし、過電圧はヒーターに余計な負担がかかるため良くありません。

↑ 完成後の映像です。 (DVDレコーダーからNHK-TVの映像)

↑ 特殊なヒータートランスを調達いたしました。
1次側、2次側共多数のタップのあるトランスで電圧の調整が可能です。
ヒーター電圧は定格では6.3Vです、ブラウン管の劣化の度合いにより使用電圧を決めます。
今回はVOL1工程でテストの結果、安全圏内で実測「7V」に決定しました。


↑ 仮付で映像を確認しながら、テストを行います。




↑ ヒータートランスは内部に収めるスペースがありませんので、外付にします。




↑ 後部カバーのネジ止めはエージングテストを完了後に行います。
65年前のメーカー不明42PP大型真空管電蓄はメーカー製ではなく、
当時のオーダー組み立て電蓄です。
回路構成は高周波増幅短波付スーパーラジオ/出力は42プッシュプルで計9球使用
30センチダイナミックスピーカー/78回転SPレコードプレーヤー搭載の大型電蓄です。
ご依頼者の先代から伝承されたものですが、倉庫に保管したままになっていたそうです。
↑ サイズ W 740 H 1000 D 500mm
非常に丁寧に保管されていましたので、外観は目立つような破損はありません。

↑ 78回転SPレコードプレーヤー/マグネチックカートリッジ

↑ 裏面の様子です。

↑ 真空管9球使用と大型トランス、オイルコンデンサーのシャーシーです。

↑ 30センチ大型フィルドタイプダイナミックスピーカー

↑ レコードプレーヤーフォノモーター



↑ シャーシーはかなり経年劣化が窺えます。


↑ シャーシー内部です。

↑ スピーカーをキャビネットから取り外しました。

↑ 電源コードの激しい劣化は流石に時の流れを感じます。
現時点では電源は入りますが、全く動作をしません。
次工程で先ずスピーカーから何らかの音が発せられるようにします。
WURLITZERジュークボックス「LYRIC 3D」の修復修理は内蔵用のアンプの調達が
できまして、組み込み作業を行いました。



↑ 組み込みに使用するアンプは形状とサイズに適合するものが中々見つからず苦慮
いたしましたが、やっと最適な小型で音質の良いケンウッドの中古のミニコンポアンプ
R-SG7を使用いたします。
サイズ W 200 H77 D278mm
実用最大出力 AB級20W+20(EIAJ 6Ω) A級7.5W+7.5W(EIAJ 6Ω)

↑ 仮付のクリスタルカートリッジの音質補正のイコライザーをラグ板にセットして
ピンジャックに取り付ける入力ピンコードを半田付けします。

↑ その先に入力メスピンコードを増設しておきます。




↑ アンプの向きとマウント位置を決めます。(位置決めは色んな意味を持っています)
この向きと位置が最良と決めました。


↑ 音出しテストを行います。
いい音が出ています。 表現が難しいですが、「疲れない心地よい音・・・」ですね・・・




↑ アンプと本体のアース側を結線します(緑色の配線・ハム防止の為)。
アンプをネジ止め固定しました。



↑ ここで、アンプのリモコン動作が出来るか、テストを行いました。
電源は本体側のスイッチで連動できるように電源を取りました。
まだ前面飾りパネルを取り付けておりませんが、音量のみの調整が出来ればよいのですが
スピカ―バッフルボードの隙間から赤外線が届いています。音量調整OKです。

テスト中の様子です。
当店で9年前に販売した2007年製TOSHIBA REGZA「26C3000」が突然リモコン操作
が出来なくなりました。
当然リモコンの電池切れか、それともリモコン不良になります。
しかし、この場合はリモコン側に異常はありません。 本体側の修理が必要です。


↑ スタンドと後部カバーを外します。

↑ リモコン受光部基板は基板シャーシーの下に隠れていますので、更にビスを外して
リモコン受光部基板を取り出せるようにします。


↑ これで交換が出来ます。

↑ リモコン受光部基板の表と裏です。

↑ 上が交換用の良品基板 下が不良基板です。

↑ 交換完了です。

↑ ON 緑

↑ OFF 赤
WURLITZERジュークボックス「LYRIC 3D」の修復修理は
次週の休日に代替えの中古アンプを持参して再訪問をいたしました。
しかし、僅かにサイズが大きすぎ下部スペースに収まらず、お客様とご相談の結果、
アンプを外付けにすることになりました。
スピーカーリード線を新しく付け替えてテストを行い音出しに成功いたしました。
ここまでは予定通りに進行しました。
スピーカーリード線をキャビネットの後部から出してアンプに接続してテストを行いますと、
予期せぬ事態発生です・・・・・レコード選曲が出来ません・・・・・
お客様と二人であちらこちら触りますが、ダメです。
コインで動作させる機能は使用せずフリーに改造されていますが、別にその辺を触った
わけでもありません。
とりあえず、改めて引き上げて修理工房に於いて修理をする事をご了解いただきました。
以下、修理工房にての作業工程のご紹介になります。

↑ 120kgの巨体を修理工房に持ち帰り、最も気になっていた個所を真っ先に確認しました。

↑ レコードが選曲されて動作しているときは「Credit」の標示が上画像のように点灯しています。
コインなしでフリーに使用できるようになっている筈なのに下画像のように「Credit」の標示ランプ
が消えているのは回路に異常があり証拠です。


↑ 原因が確認できました。
コインメックにより硬貨を認識した信号を送る配線を取り外して両端を結線してあったもの
がシッカリ結線しないでテーピングもしていなかったため、いつの間にか緩んで通電してい
なかったのが原因でした。

↑ 一度に数曲の選曲メモリーが可能で連続演奏が出来ます。







↑ 選曲演奏テスト中の様子です。




↑ 正確に連続選曲演奏が行われています。


↑ 取り付けのアンプはまだ決まらず、テスト的に接続しています。


↑ イコライザーのテスト中の様子です。
コンポーネントアンプライン入力はイコライザーが内蔵されていませんので、
クリスタルカートリッジからの出力をストレートにに入力しますと、
高音部の勝った低音部の不足した音になります。
そこで、補正の為画像のように高抵抗と小容量のコンデンサーをパラレルにしたものを
シリーズに接続します。
適切な数値は実験的に決めます。
500KΩ+680PFでバランスが良いようです。
イコライザーなしより格段にダイナミックな音質になりました。
30cmウーハーは少し固めに設計されています。
以前に奈良県内のお客様からWURLITZERジュークボックス「LYRIC 3D」が
「レコードは回転するが音が出なくて困っている」とご相談を頂いておりました。
非常に大型重量物の為持ち込み又は発送は困難が伴います。
基本的には出張修理はいたしておりませんが、 比較的近距離でもありますので出張修理を
させていただきました。
訪問前に症状を詳しくお聞きした結果、カートリッジが不良の公算が大きく部品を持参して
定休日の日曜日にお伺いいたしました。




↑ 実機を診断判定の結果、内蔵アンプの故障と判定いたしました。
オールトランジスタの内蔵アンプ部分は脱着も困難な構造の為別の適当なアンプを組み込み
する事をご説明いたしました。



↑ 高さ10cm下部空間に中古小型アンプを収納可能と考えて、再度訪問をお約束して帰りました。
この度お預かりしておりました、ソニーのハイエンドレコードプレーヤー「PS-X800」は、
アーム制御にソニー独自の「バイオトレーサー」 をリニアトラッキング方式に採用した
最高度な製品です。
「LPを認識しない」など、その他色々不具合があると云う事ですが・・・・・




↑ 回路は非常に複雑です。
「LPを認識しない」と云う事は、フォトカプラとICから構成された回路の不具合と
想定されますが、何の資料もなく、残念ながら触れることが出来ません。
1970年代ビクター4CHセパレートステレオ「DF-11」の修復修理 は
チューナーアンプシャーシの組み込みを行います。
その前にキャビネット/スピーカーのクリーニングと傷の補修を行っておきます。


↑ 念入りに長年の汚れを落として、僅かな傷も目立たないように補修をしておきます。

↑ 組み込みを行いました。


↑ 素晴らしくきれいになりました。



↑ エージングテストを行っています。

↑ 下扉のストッパーのマグネットが壊れていますので直しておきました。

↑ ビクターDF-11のナンバープレートです。


↑ レコードプレーヤーは絶好調です。
1970年代ビクター4CHセパレートステレオ「DF-11」の修復修理 は
レコードプレーヤーの修復修理を続けます。

↑ 回転の正確さと安定度の良いサーボモーターを使用されています。
モーターをマウントしている防振ゴムが劣化しています。交換をしておかないとトラブルが
起きます。


↑ 画像は劣化してバラバラになったドライブベルトの破片と
劣化したモーター固定用の防振ゴムです。


↑ ベルトと防振ゴムの交換を行いました。

↑ プレーヤーボード全体をクリーニングして回転テストを行いました。


↑ MCカートリッジと針の点検を行いました。
予てより広島県のご依頼者よりお送り頂いておりました、
1970年代ビクター4CHセパレートステレオ「DF-11」の修復修理はお見積もりの為の仮修理
にかからせて頂きました。


↑ リアスピーカーもお送り頂いておりましたが、まだ開梱しておりません。


↑ フロントスピーカーを接続して電源投入しますが、全く音が出ません。
フロントスピーカーを外して、リア端子に接続すると、ノイズはありますが、
FM放送は入りますがAMが全く動作しません。

↑ キャビネットからシャーシーを取り出し点検を行います。
ビクター4CHセパレートステレオ「DF-11」でこれこど使い込まれた製品は少なく
永い間故障のまゝ放置されていたように思います。


↑ 数時間の点検診断の結果、
●フロント側音出ずは、
メインアンプ基板内のヒューズが一瞬に切れます。
パワートランジスタなどの多数のパーツ交換が必要です。
●AMラジオの受信不良は、
最初、セレクタスイッチの接触不良と判定して接点復活剤の注入とすり合わせを
行いましたが改善せず、受信基板の調整を試みますが効果はなく、基板内ICの
不良と判定いたしました。
どちらも基板の経年劣化による動作不良の為基板修理を断念して、
完全な方法として「シャーシー丸ごと交換」を敢行することにいたします。





↑ 手持ち在庫品の中からDF-11整備済みの同型シャーシーを接続しました。
これで、フロントスピーカーR/L・リアスピーカーR/Lの4つのスピーカーが駆動いたしました。
ラジオAM/FM レコードPHONO入力全てOKです。
次にレコードプレーヤーの修復修理を行います。




↑ サーボモーターからターンテーブルを回転させるドライブベルトが経年劣化で、
バラバラにちぎれて飛び散っていましたので、清掃を行い、新しいベルトを交換いたします。

↑ 以上の結果ターンテーブル軸が回転することが可能になりました。
Victor POWER AMPLIFIER 「M-270」の修理の状況ですが、
2016年2月にお預かりしておりまして、4月に点検と仮修理を行いました。
大変特殊なビクター製の超重量の高出力真空管大型モノラルメインアンプです。
製造年は不明でした。
過去に何度か修理や改造が行われております。
4月の仮修理の詳細は下記ブログに掲載いたしております。
◆Victor POWER AMPLIFIER 「M-270」の修理 VOL1今回、ご依頼のお客様とご相談の結果、経年の大容量電解コンデンサー等を交換して
安心安全使用できるように、本修理にかからせていただきました。

↑ 完成画像

↑ 最初の外観の様子です。


↑ 筐体からシャーシ―を抜き出しました。
超大型の電源トランスなどですごい重量です。

↑ B電源整流フィルター電解コンデンサーは交流電源を直流(AC→DC)に変換して
残留の脈流分(リップル)を平滑にする重要な大容量のコンデンサーです。
このアンプのB電源整流回路は電源トランスで発生した340VX2の交流電源を
整流用真空管5AR4を2本使用して両波整流を行っています。
残留のリップルは両波整流の場合 50Hz×2=100Hz
60Hz×2=120Hz と2倍の周波数になり脈流の平滑が
片波整流よりやや容易になります。


↑ 使用されていた電解コンデンサーは 140μF/500WV×6=840μF
交換に使用する電解コンデンサーは
330μF/450WV×2=660μF+ 150μF/450WV×1=810μF
になります。合計で-30μFですが、元々余裕がありすぎて問題ありません。


↑ 330μF/450WV×2は既存の金具を加工して配線も一部改良して取り付けを
行いました。

↑ 150μF/450WV×1はシャーシー内部にラグ板を配置して取り付けを行いました。


↑ 入力調整のボリュームをメーターの下部の穴を利用して500KΩAカーブ
ボリュームの取り付けを行いました。

↑ ボリュームツマミはこのようになりました。




↑ シャーシー内部の様子です。




↑ シャーシー上面の様子です。
冷却ファンの取り付けを行いました。 入力調整ボリュームは快適です。
電源コードが途中で結線されていますので、危険なため交換を行いました。

パワーに余裕があり歪少ない音が出ています。
先日、完成品をお送りしました、ビクター真空管ポータブル電蓄「SPE-8」が輸送中の
落下事故により無残に壊れて帰ってまいりました。

↑ 分厚い木製レザー張りの外観は何ともなく全く痛んでいません。
ご依頼者のメールの一部です。
先ほどレコードプレーヤーが届きました。
早速音を聞いてみようとしたところ、
残念なことに蓋を開けたら中が割れていました。運送屋さんが落としてしまったのかと思います。
運送屋さんには連絡しましたが、せっかくきれいに修理していただいたのに本当に残念で悲しいです。
気になるのは中の真空管等の部品が割れていないかですが、とりあえず取り急ぎ連絡いたしました。




↑ キャビネットに入ったままではこんな状態です。
早く元どおりにしてあげたい一心で修理を行いました。



↑ 「無残!」 キャビネットから取り出すとバラバラです。
先ず、プラスチックの割れを強力な瞬間接着剤で接着して、補強金具を巡らせて、
完璧に強度を持たせて、ご覧のようになりました。
そして、回路の点検修正を行いました。




↑ かなり頑丈になりました。


↑ 綺麗になった上面の様子です。 あの壊れ方がウソのようです。

↑ レコードテストをしています。
音が出ています。 もう少しテストを続行して様子を見て行きます。
結局、外回りは全く無傷で内部の損傷が大きかったようです。
1979年製ヤマハ リニアトラッキングレコードプレーヤー「PX-2」の修理は原因究明の結果
最重要なアームコントロールの超小型マイクロスイッチを調達した5種類の中から最も近い
ものを少し改造して使用いたします。

↑ 左 不良のマイクロスイッチ 右 調達した交換用のマイクロスイッチ

↑ レバーの山形のところは不良のマイクロスイッチから切り取ったレバーを瞬間接着剤で
貼り付けました。 ステンレス製の為半田付けできません。

↑ 組み込みを行いました。 テスト動作を試みます。


↑ 色々の中から大きさと接点構造など吟味して最適とは言えませんが、
基板に半田付けする脚の部分を切り取り0.5mmの短い導線を半田付けしました。
微細な作業です。
1979年製ヤマハ リニアトラッキングレコードプレーヤー「PX-2」の修理は同機種を2年ほど
前に修理を経験しました。
かなり難易度の高いものでした。
今回は手動では動作するがオート動作を出来ないものです。



↑ 分解して原因を調べます。




↑ アーム駆動ユニットの部分を本体から取り外しました。


↑ アーム駆動ユニットの部分と本体との接続ケーブルが短いため工夫して接続しながら
ほぼ原因を突き止めました。


↑ マイクロスイッチの不良と判定いたしました。
しかし、先ずマイクロスイッチを実際に交換して調整が問題です。
お陰さまで、ブログ
「レトロオーディオの奥義」は
100,000アクセス達成をいたしました。
いつも皆様方に閲覧いただきまして、大変励みになっております。
心よりお礼申し上げます。
これからも益々皆様方のご期待に添えますよう精進してまいります。
今後とも、ご指導ご鞭撻をどうぞ宜しくお願い申し上げます。
2016年9月1日 denkiDr
以前に修復修理をさせていただいたパイオニア4チャンネルセパレートステレオ「FD-5」
ですが、今回はプレーヤーの不具合の修理でお預かりしておりました。


↑ 今回はレコードプレーヤーのメカの不調ではなく、レコードを再生しても全く音が出ません。
ボリュームを最大にしてハム音が出ていますので増幅回路は異常ありません。

↑ 原因究明の為に何度も動作テストを繰り返すうちに、時々音が出ることを突き止めました。

↑ [START] [RIPEAT] [STOP]の3つのボタンの [STOP]ボタンでリターンさせた場合は、
その次のレコード再生時は必ず正常に音が出ます。
これは、この一連の操作を司るボタンの下に付いているマイクロスイッチの接触不良に
より発生しています。
↑ プレーヤー裏面の左下の赤いマイクロスイッチです。


↑ 赤いマイクロスイッチの拡大画像です。


↑ 反体側から観た様子です。
2個のマイクロスイッチの交換を行います。


↑ 接点劣化不良のMATSUSHITA製のマイクロスイッチです。


↑ 形状は少し違う新品のOMRONマイクロスイッチに交換を行います。


↑ 交換を完了いたしました。

↑ テスト中の様子です。
その他4CH関連は良好です。