予てよりお預かりしておりましたパイオニア4チャンネルセパレートステレオ「F-9000」の修復修理
に取り掛かります。

↑ サイズ W 1610 H740 D430mm
大型3点セパレート+ リアスピーカーですが、全く音が出ません。




↑ スピーカーは25cm大型ウーハーによる珍しい5スピーカー構成です。
凄い音が期待されます。


↑ 高音スピーカーのエッジが破れています。


↑ ウーハーのエッジは大丈夫です。


↑ レコードプレーヤーは順次修復を行います。


↑ シャーシーをキャビネットから取り外します。



↑ スピーカーを接続して電源投入を行いますが、全く音が出ません。

↑ メインアンプ基板は動作していることを確認いたしました。

↑ AM/FMチューナーブロックです。


↑ 基板裏面です。
チューナー基板の動作は完全ではありませんが動作が確認できました。

↑ 中央のTAPE MONITOR 切り替えスイッチ周辺が最も怪しいと考えられます。


↑ 攻略には相当苦戦が予想されます。
1960年代ビクター真空管ステレオHi-Fiオーディオラ「BR-700B」(STL-700B)の修復修理は
キャビネットにシャーシー/レコードプレーヤーの組み込みを行いました。

↑ 完成画像です。

↑ キャビネットの全体清掃を行いました。
この機種の組み込みは簡単ではありません。
大型シャーシー垂直取り付けタイプでしかも、繋がっているコード類が多く.複雑に絡み合っています。

↑ 画像手前の横長の部品は当時のエコー装置のリバーブユニットです。

↑ 小型のシャーシーはFMマルチプレックスアダプターです。当時はFMステレオの受信に
別途必要なものでした。

↑ 組み込みを完了しました。
元々音量調整が絞り切れないで、小音量で鳴り続けていますが、
この種の特殊な2連ボリュームの劣化によりゼロ点での抵抗値が30~40Ωですから
特に感度の良いラジオ受信時に音量が絞り切れない事になります。
この状態は過去にかなりの 事例がありました。
ダイヤル調整と音量調節が同軸になっており、ラウドネス効果付のボリュームですから交換は
不可能です。
今回のこの機種はラジオ出力が大きく、我慢の範囲を超えそうです。
組み込みを完了して、顕著に現れました。
画像
黄〇印がダイヤル調整と音量調節が同軸になっており、ラウドネス効果付のボリューム
急遽対策を行いました。
赤〇印のサブボリュームを増設して微調整を行い固定いたしました。

↑ 絞り切れない主音量調節2連ボリューム

↑ 増設した半固定のサブ2連ボリューム

↑ 新しいLP用ダイヤモンド針に交換を行いました。

↑ SP用針は既設のまゝ



以上 完成いたしました。
1960年代ビクター真空管ステレオHi-Fiオーディオラ「BR-700B」(STL-700B)の修復修理は
終盤を迎えました。
約半世紀の眠りから目覚めて蘇りました。
しかし、「レコードが回転して音が出て、ラジオも鳴った」だけでは喜べません。
通電により電流が隅々まで流れて動作状態になりましたが、「安定に、安全な動作」を維持し
なけ.ればなりません。
耐用年数がとっくに切れた機器です。
全てのパーツが新品になったわけではありません。 何が.起きても不思議ではありません。
エージングテスト中に些細な現象も見逃すことなく、観察を行います。
エージングテスト期間は長い時間程、理想ですが、限度があります。
過去のメーカー・機種ごとの修理経験から弱点を見出して先行対策を講じてまいります。

↑ エージングテスト中の様子です。

↑ 修理後のトラブルで多いのが整流電源回路の不具合です。
画像の黒い碁石のような2個の部品は整流ダイオードです。
普通は整流真空管を使用しますが、当時の最先端は半導体を使用しています。
2個のダイオードと大容量電解コンデンサーを組合わせて、倍電圧整流をにより
AC100VからDC240Vの電圧を得ています。
しかし、50年の経年で信頼性が低下しています。
交換を行います。

↑ シリコンダイオードに交換を行いました。

↑ ノイズを打ち消すコンデンサーを追加いたしました。

↑ 交換したパーツです。

↑ 交換後のエージングテストの様子。


↑ 真空管に触れただけで「ガガーッ」とノイズが出たりします。
全真空管の脚部とソケットの接触不良を修復します。
暫くテスト中に、どこにも触れていない状態でショック性の大きな雑音が発生しました。

↑ 原因は打診の結果ピアノスイッチに連動の電源スイッチの不良を確認しました。
OMRON製のマイクロスイッチの接点不良です。 交換を行います。

↑ 右が新品のマイクロスイッチです。


↑ 交換完了です。

↑ エージングテスト中の様子です。
1960年代ビクター真空管ステレオHi-Fiオーディオラ「BR-700B」(STL-700B)の修復修理
VOL2で突然、右スピーカーからジーッジャーと連続ノイズが出て、「バーン」と破裂音がして
白煙が立ちました。
小型電解コンデンサーのパンクです。
原因は出力真空管6BM8PPのカソードに接続された25μF25WVの劣化した小型電解コン
デンサーが出力真空管6BM8PPカソード抵抗の判断線により過大電圧が掛り耐えきれず
発熱して破裂しました。

↑ コンデンサーパンク前の6BM8PPの出力回路のプリント基板内の画像。

↑ 25μF25WVの劣化した小型電解コンデンサーがパンクした直後の画像。


↑ カソード抵抗とカップリングのチューブラーコンデンサーも同時に交換を行いました。
(L/R共)

↑ パンクした25μF25WVの劣化した小型電解コンデンサーを47μF50WVの小型電解
コンデンサーにL/R共交換いたしました。
プリント基板の裏面のパターン側に
〇印のように半田付けを
行いました。
ここで、電源回路の大容量ブロック型電解コンデンサーの交換を行います。
真空管式のレトロステレオでは電源整流回路に半導体を使用した倍電圧整流回路が
採用されています。
これは小型トランス又はAC100Vを直接倍電圧整流により2倍の200V以上のDC電圧
を得るものです。
交流分を平滑にする為大容量の電解コンデンサーが使用されています。
電解液を封入した電解コンデンサーは永久的なものではありません。
経年劣化により容量減少や発熱、蒸気発生、破裂など危険要素が潜んでいます。
修復修理の途中でも破裂などの事例に遭遇しています。
安全使用の為交換を行います。


↑
〇印の倍電圧整流回路のブロック型大容量電解コンデンサー
の交換を行います。

↑ 画像上が当時のコストダウンの為複数の大容量電解コンデンサーを一つの函体に封入した
ブロック型電解コンデンサ―ですが、現在は殆ど製造をされておりません。
下画像の単体の大容量電解コンデンサーに置き換えます。


↑ ラグ板を使用して配置と配線を行います。

↑ 交換後のシャーシー上面の全体像です。



↑ 交換後のシャーシー内部です。


↑ FMラジオが受信不良の為、「FM MULTIPLEX STEREO ADAPTER」ユニットの
点検調整を行い、FM受信が可能になりました。

↑ 現時点の交換部品です。
エージングテストを続行中。
次はレコードプレーヤーの修復修理を行います。
1960年代ビクター真空管ステレオHi-Fiオーディオラ「BR-700B」(STL-700B)の修復修理は
修理工程に進みます。


↑ 電源投入前に詳細な点検を行います。
不可解な謎の物体の正体が判明しない状態での電源投入は危険です。
電解コンデンサーの破裂による内容物にしては大き過ぎ、きれいすぎます。

↑ シャーシーを下しました。

↑ シャーシー内部です。
電源回路を入念に検査して、電源投入に問題のないことを確認しました。
この状態で電源投入の結果かろうじてAMラジオの受信が確認出来ましたが、
各ボリュームとセレクタースイッチの猛烈な接触不良によりガリノイズや音途切れ、片方音出ず。

↑ ピアノ式のセレクタースイッチは多段スライド式スイッチで構成されていますが、
全てに接点復活剤を噴射注入してすり合わせを行います。



↑ 各ボリューム全てに接点復活剤を噴射注入してすり合わせを行います。

↑ レコードプレーヤーはフォノモーターがロックして回転不良です。
急遽、仮修理を行い、接続してテストを行いました。
クリスタルカートリッジは生きていますのでレコード演奏はOKです。



↑ 全体的にかなり改善されました。
劣化した接触面は徐々に修復されていきます。
暫く機嫌よく鳴っておりましたが、突然、右スピーカーからジーッジャーと連続ノイズが出て、
「バーン」と破裂音がして白煙が立ちました。
明らかに電解コンデンサーのパンクです。




↑ 出力真空管6BM8PPのカソードに接続されている小型の電解コンデンサーのパンクです。


↑ 原因は出力真空管6BM8PPのカソード抵抗の判断線により過大電圧が掛り耐えきれず、
発熱して破裂したようです。
次工程へ進みます。
予てよりお預かりしておりました、
1960年代ビクター真空管ステレオHi-Fiオーディオラ「BR-700B」(STL-700B)の修復修理を
開始させていただきます。

↑ 1960年代の真空管式高級アンサンブルステレオの洗練されたデザインと性能で人気の高い
製品でした。
サイズ W1200 H530(丸脚別) D410mm



↑ 上面操作の扱い易い構造。

↑ 後部の様子です。

↑ 修理のやりにくい大型の垂直シャーシー。

↑ 30×20cmの大口径楕円スピーカーが採用されています。


↑ 謎の幅広テープ状の物体が散乱しています。

このまま電源投入は躊躇します。
次工程へ進みます。
SONY業務用カセットテープレコーダー「TCM-1390」は、業務/教育、などでの使用を
前提に頑丈に作られた優秀な製品です。
今回2台同時に修理のご依頼を請けました。

↑ 2台の「TCM-1390」の修理を行います。

↑ 1台目は「再生・巻き戻し・早送り共不可」の状態です。

↑ 分解の結果ドライブベルトが破断していました。
溶解、粘着がなく新しいベルト架け替え、組み立てして完了です。

↑ 2台目は再生はなんとかできるが「巻き戻し・早送り共不可」の状態です。

↑ 分解してみます。

↑ ベルトは伸び伸びで溶解しています。
かろうじて原型をとどめています。

↑ 新しいベルトを装着します。

↑ 組み立てを行いテストを致します。

↑ 動作は良好です。

↑ 下が1台目の破断したベルト。 上が2台目の伸び伸びで溶解しかけたベルトです。
PIONEER マルチアンプ搭載セパレートステレオ「S-70/IS」の修復修理は
エージングテストを終えまして、キャビネットに組み込みを行いました。

↑ センターキャビネットの清掃を行いまして、アンプシャーシーとレコードプレーヤーの組み込み
を行いました。

↑ いたみの酷かったハカマの部分の修復を終えた跡を保護する意味で段ボールで枠を作り
養生を行いました。

↑ 後面の全体像です。

↑元のFM受信用簡易アンテナ線は使いにくい為、新しくキャビネットに装着いたしました。
これでアンテナに気を遣う事がなく便利になりました。

↑ 特にこのPIONEER マルチアンプ搭載セパレートステレオ「S-70/IS」の修復修理は
非常に難易度が高く、過去に数台の同機種の修理経験が役立ちました。
"今も美しさ輝く"ナショナルパナソニック3バンドパーソナルラジオ「EF-740」の修理の
珍しい記録です。

↑ 約60年前のラジオと思えない美しさです。
綺麗にクリーニングがなされて使用感が見当たりません。
変色のないプラスチック製クリーム色のW420mmの.キャビネットは大きく見えます。

↑ 内部の様子です。
症状は電源投入直後は正常に動作します。
暫くすると音量が下がりはじめ徐々に.歪んで更に小さくなります。
電源再投入しても同様です。
似た症状は「レトロな真空管式で良く起きる症状です」

↑ 出力真空管30A5は正常です。

↑ シャーシー内部を診断します。
各部の動作電圧をチェックします。
もっとも確度の高いバイアス電圧に影響の出やすい出力管のカップリングコンデンサー
0.05μFチューブラーコンデンサーの絶縁低下による漏洩電流を危惧していましたが、
まんまと外れました。

↑ 出力管30A5のカソード抵抗150Ωの電圧変化を突き止めました。
電源投入直後は正常ですが。
暫くすると電圧が上がり始めると、音量が下がりはじめ徐々に歪んで更に小さくなります。

↑ 150オームのカソード抵抗は温度上昇に伴い抵抗値が大きくなります。
逆に温度が低下すると抵抗値が小さくなります。 異常です。
単なる抵抗器がサーミスタ/ポジスタ化しています。

↑ 交換後の様子です。 左カップリングコンデンサーは念のため交換しておきました。

↑ 修理後は安定して良好に動作を続けています。
PIONEER マルチアンプ搭載セパレートステレオ「S-70/IS」の修復修理は工程が進み
キャビネットなどの部分補修を行います。
センターキャビネットとスピーカーの底部が床に接触する、
つまり「ハカマ」の部分が、かなり荒れています。
[センターキャビネット]


↑ 1か所のみ白のボール紙を接着したものを取り外します。



↑ 先ずセンターキャビネットを横倒しにして「ハカマ」の部分を詳しく見ていきますと、
4隅の3角形の薄いベニヤの補強材のような木片が外れて無くなり錆びたホッチキス
の針の残骸が露出しています。
「ハカマ」を形成している4辺のベニヤの劣化で表面が各所で剥がれています。
木工ボンドで接着を行います。 (作業の様子を撮り忘れました)

↑ センターキャビネット下扉のマグネットラッチが壊れています。
マグネットがベースから外れて無くなっています。


↑ 新しいマグネットラッチを取り付けます。
[マルチスピーカー]




↑ スピーカー2台も同様の作業になります。
4隅の3角形の薄いベニヤの補強材のような木片は一応4か所とも付いておりますが、
信頼性が乏しく外しておきます。
外した跡をきれいにします。
やはり、「ハカマ」を形成している4辺のベニヤの劣化で表面が各所で剥がれています。
センターより酷いです。木工ボンドで接着を行います。


↑ もう1台の方は状態が少し良いようですが同様の処置を行いました。
PIONEER マルチアンプ搭載セパレートステレオ「S-70/IS」の修復修理のエージングテスト中に
ラジオ受信テストで「AMラジオの低い周波数帯の感度が悪い」事が確認できました。
この機種のAM受信周波数帯は535KHz~1605KHz です。
当エリアでは「558KHzラジオ関西」と「666KHz NHK第1」です。
原因を調べて修理を行います。


↑ 受信基板の赤丸しるし内の2個の少容量のコンデンサーの劣化を発見いたしました。

↑ 劣化の少容量のコンデンサーを2個を取り外しました。

↑ 取り外したポリエステルコンデンサーです。
画像左390PF 右5000PF です。

↑ 交換に使用したコンデンサーです
画像左400PF 右10000PF です。

↑ 基板裏側に取り付けを変更いたしました。
テストの結果、補助アンテナなしで安定した十分な感度を得られました。
PIONEER マルチアンプ搭載セパレートステレオ「S-70/IS」の修復修理はレコードプレーヤーの
修復を行います。


↑ キャビネットからレコードプレーヤを取り外してクリーニングを行います。

↑ 全体にきれいに清掃を行いながら、メカの点検で不具合個所を探します。

↑ ターンテーブルを外した様子です。

↑ レコードプレーヤーの裏面メカです。
可動部分にへ防錆接点復活剤を噴霧しておきます。

↑ フォノモーターのマウント部分はしっかりしています。

↑ ターンテーブルシャフトに注油とギヤ周辺のメンテナンスを行います。


↑ このステレオの年代以降はターンテーブルの駆動方式はベルトドライブが標準になっていますが、
この機種はリムドライブです。(アイドラーによりターンテーブルの内周を駆動)

↑ アイドラーを外してクリーニングと注油を行いました。

↑ 画像を詳しく見ますとアイドラーに陥没があります。
これはモータースピンドル(プーリー)とアイドラーが密着したままの状態で永年の放置のため
ゴムが陥没変形して弾力を失ったゴムは元に戻らなくなってしまいました。
45/33回転切り替えレバーをニュートラルになっていれば大丈夫だったのですが、・・・・・
このままで回転はいたしますが「コトコト」異音の発生があります。
しかし、アイドラーの交換は不可能ですが、動作時はレコードの音にかき消されますので我慢
の範囲内と思います。

↑ カートリッジは大丈夫です。 針先は折れて無くなっておりました。


↑ 新しいダイヤモンド針「PN-10」を装着してテストを行います。



↑ いつものテストレコードの素晴らしい音質迫力に「至福のひと時」です。
レコード演奏エージングテストを行います。