ビクター真空管ステレオHiFi AUDIOLA「BR-33」の修復修理は終盤を迎えました。
スピーカーサランネットの張替とキャビネットの塗装工程に進みます。

↑ 先ずスピーカーのサランネット交換の為バッフルボードごと取り外します。

↑ スピーカーをバッフルボードごと取り外したキャビネット前面全体像です。

↑ キャビネットからセンター部の操作パネルを取り外しておきます。

↑ キャビネット背面の状態です。

↑ キャビネット上面の様子です。





↑ サランネットを貼り付けているホッチキスを丁寧に取り外してサランネットを取り外します。

↑ サランネットの織り目の位置決めのため両面テープを取り付けます。


↑ タッカーを用いて工作用ホッチキスで固定します。


↑ サランネットの交換完了です。

↑ とりあえずキャビネット当てがって見ます。

↑ キャビネットのセンター部分の木部パネルが気になります。
一面の模様らしき目立ち過ぎる、木目のように勘違いしますが、・・・・・

↑ あまりおかしいので、ルーペで数倍に拡大しますと、かなり以前にこの部分の再塗装が
行われて、そこが経年劣化で各所があたかも木肌のくぼみのように、下地が剥がれて木部
が露出しているのでした。
修復の方法を色々考えましたが、このままで上塗りは不適当ですので、サンドペーパーを
かけてこの部分の塗装を剥がして木地肌から塗り直しを行うことにいたします。
↑ 早速サンドペーパーで劣化した塗装面を丹念に摺って地肌を出しました。
予想通りでした。

↑ この部分は最初はダークな色でした。 ステレオの顔と言うべき中心になります。
スピーカーとレコードプレーヤーを載せてイメージして見ました。
やはり「しまった色、ベタではなく木地の濃淡が分かる黒系がよさそうに感じますが・・・・・
ブラックのウレタンニスなら木目が浮きますので良さそうです。
ビクター真空管ステレオHiFi AUDIOLA「BR-33」の修復修理は全ての問題点を解決して後は
各部のクリーニングとキャビネットまわりを修復して最終工程で組み込みを行うまでの状態に
到達いたしました。



サランネットをカメラ撮りしてwebデータにしますとそのままでは、正しい色合いが出ませんので
修正を行いかなり近いものにいたしました。
スピーカーグリルに貼り付けますとお部屋の照明の具合と見る角度により印象が変化いたします。

↑ ジャージーの織り目の細かいダークベージュ

↑ ジャージーの織りの少し織り目の荒いブラウン
キャビネットのスピーカーグリルのサランネットの張替に使用する素材についてオリジナルの
60年前の素材同様もしくは最も近いものは現在では見当たりませんが、
キャビネットに対しての調和と昭和モダンのイメージを損なわないものとして用意できますのが
この2種類になります。
前工程でレコードプレーヤーのオーバーホールを行いました。
テストの結果、各ポジションのレコードの回転は安定をとり戻しました。
セラミックカートリッジの交換で音量も3倍程アップしました。
しかし、回転切り替えメカのOFFの位置でフォノモーターの電源が時々切れない不具合があり、
色々改善策を試みましたが構造物の劣化による不具は改善されませでした。

↑ このステレオはレコードプレーヤーが独立しておりますのでプレーヤー専用の電源スイッチを
取り付けることにいたしました。
プレーヤーの右に小型のスイッチを取り付けました。

↑ PHONOボリュームの斜め右上に小型のスナップスイッチを取り付けました。

↑ 画像上部のスイッチ配線の様子です。 茶色の2個のコンデンサーは交換したアームレストと
連動のモータースイッチの接点から発生するスパークノイズ消去用のコンデンサーですが劣化して
短絡の恐れがあるため新しく交換いたしました。

↑ 完成したレコードプレーヤーに底板をとりつけますが、しばらくの間このままでエージングテスト
を続けます。
次の工程はレトロオーディオの修復修理で今後の大切な「安心安全」のためにコンデンサー類の交換
を行います。

↑ ①コンデンサー類交換前のシャーシー内部の様子です。

↑ ②コンデンサー類交換途中のシャーシー内部の様子です。

↑ ③コンデンサー類交換完了のシャーシー内部の様子です。

↑ 交換の為取り外したパーツです。
画像上段の左端はブロック型電解コンデンサー 40μF150WV×3個内蔵
右端は中間周波トランスです。

↑ 画像左はチューブラー電解コンデンサー内部の電解液が漏洩して風化した様子です。



↑ チューブラー型ペーパーコンデンサーをメタライズド ポリエステル フイルムコンデンサーに
ブロック型電解コンデンサーを単体の電解コンデンサーに交換を行いました。

↑ ブロック型電解コンデンサーを単体の電解コンデンサーに交換した部分です。
3個の47μF400WVの電解コンデンサー3個がその部分です。


↑ ブロック型電解コンデンサーを取り外して単体の電解コンデンサーに交換した為開いた穴です。
=====原因不明のノイズについて=====
日立Hi-Fiステレオシンフォニカ「DPF-6200」のスピーカーを駆動している出力真空管は「25MP20」です。
R-AMPとL-AMPの真空管を差し替えて結果を確認して下さい。


↑ 2方向からの画像です。

↑ 出力真空管「25MP20」はこのような形で7本足です。
抜き取る前に脱落防止のバネを外して下さい。
差込み方向を間違えないように1箇所が脚の間隔が広くなっています。
入れ替え後の変化を観察して下さい。
ビクター真空管ステレオHiFi AUDIOLA「BR-33」の修復修理中の別置きのレコードプレーヤーは
前工程により一応回転音出しはできましたが、満足できる状態ではありません。
「回転ムラ」と「曖昧動作」そして「音質/音量」に問題を抱えております。
レコードが快適なコンディションで楽しめる状態に修復修理を進めてまいります。

↑ 素晴らしい音で蘇ったれコートプレーヤー部のテスト中の様子です。

↑ オーバーホールを行います。 フォノモーターと駆動メカを取り外しました。


↑ 駆動メカを取り外して、隠れた部分のいたみ具合が明らかになりました。


↑ この機種はプレーヤーが別置きのため、分解前まではフォノモーターのマウントに防振
ゴムが使用されていないと思っておりました。
しかし、分解してその判断が間違っていました。
最初はやはり防振ゴムが付いている構造でしたが、過去に修理した時に痛んだ防振ゴムを
撤去したままで新しい防振ゴムを取り付けないでフォノモーターを直接固定していることが分
かりました。

↑ 中央の円板はモータースピンドルと速度調用円板です。

↑ モータースピンドルと速度調整用円板を取り外します。


↑ フォノモーター取付金具をクリーニングします。


↑ 取り外したフォノモーターのシャフトに注油を行います。

↑ 駆動メカに付随している小物パーツ。


↑
〇印に防振ゴムをはめ込みました。


↑ フォノもーターと付随のパーツの取り付けが完了した状態です。

↑ プレーヤーケースのクリーニングを行い、駆動メカをセットします。

↑ 78/45/33/16回転のセレクターの微調整を行っておきます。

↑ 気になるクリスタルカートリッジですが、新品のセラミックカートリッジにテスト交換を
行います。

↑ 左 劣化のクリスタルカートリッジ 右 新品のセラミックカートリッジ

↑ 新品のセラミックカートリッジを仮付けしてテストを行います。
↑ セラミックカートリッジでテスト中の様子です。
俄然良くなりました。 音量も3倍程アップしました。
ビクター真空管ステレオHiFi AUDIOLA「BR-33」の修復修理はレコードプレーヤーの修復修理を
行います。


↑ 樹脂製ケースごと取り外しのできるレコードプレーヤーの修復修理を行います。

↑ 底部の遮蔽板を外します。


↑ 比較的大きなフォノモーターが搭載されています。
別置きのため、 防振ゴムを使用しない構造です。

↑ ターンテーブルを外します。 ケース一体構造ですから非常にシンプルです。

↑ 最も重要な動力伝動部分です。
フォノモーターは回転しますが構造部品の劣化などでスリップしてターンテーブルまで回転が
届きません。

↑ アイドラーを取り外しますと回転軸の油が枯渇してギシギシになっています。


↑ 取り外したアイドラーの修復は後にしてとりあえず、注油を行い回転テストに進みます。

↑ アイドラーを元の位置に取り付けてテストを行います。

↑ フォノモーターのコイルのタップは50Hzになっています。


↑ テスト前にクリスタルカートリッジを点検しておきます。
シャーシーの入力端子に接続してクリック反応がありますから大丈夫なようですが、音質/音量は
レコードを鳴らして判定いたします。

↑ 33回LPレコードでテストを行っています。
現時点では回転ムラが多少ありますがアイドラーの手入れにより解消される予定です。
音質はいまいち明瞭度に欠けますが、クリスタル圧電素子の経年劣化によるものです。
音量はやや低め・・・・・やはり音源のカートリッジは重要ですので交換が必要でしょう。

↑ 45回EPレコードでテストを行っています。


↑ 78回SPレコードでテストを行っています。
やはり回転が速いほど回転ムラは目立ちません。

↑ クリスタルカートリッジは素材がロッシェル塩で出来た圧電素子を使用したものです。
経年劣化で化学製品の還元作用で異質のものに変化して性能に衰えが現れ、
音質/音量が悪くなります。 全く音が出ない場合もあります。
寿命が約30年~40年ほどです。
使用しているクリスタルカートリッジはターンオーバー式で先端の小さなツマミで180度回転さ
せるとLP針からSP針に変わります。
現在でクリスタルカートリッジに代わるものはセラミックカートリッジになります。
しかし、殆ど製造はしておりません。
セラミックカートリッジはLP専用ですのでターンオーバーはできませんが、SPレコードも共用で
使用て゜きます。
ビクター真空管ステレオHiFi AUDIOLA「BR-33」の修復修理は次工程に進みます。
右側ラジオのスーパーヘテロダイン回路内の故障のためMW/SWラジオが受信不能になって
おります。


↑ R-RADIOのスーパーヘテロダイン回路の動作停止により音声が出ないことが判明したしました。
打診とかシャーシーの角度を変えると一瞬音が出たり消えたりします。
〇印の455kcの中間周波トランスの不良と判定いたしました。

↑ 裏面の様子です。



↑ 不良の中間周波トランスを取り外して分解しました。
周波数調整用のダストコアが脱落していました。

↑↓ 画像左 取替用良品の中間周波トランス中古パーツ 右 不良の中間周波トランス


↑ 良品の中間周波トランスの取り付けを行いました。

↑ 裏面の配線を行いました。

↑↓上下のダストコアの周波数調整で最適な感度に仕上げました。

ラジオ受信は両チャンネル共、快適になりました。
次工程はレコードプレーヤーの修復修理に進みます。
予てよりご相談を頂いておりました、ビクター真空管ステレオHiFi AUDIOLA「BR-33」の修復修理の
お見積もりから完成までの記録です。



↑ チョッと傍に置きたくなる昭和モダンのコンパクトなデザインです。
長脚を付けないで撮影は残念です。
サイズ W990 H260(中央部320) D240mm

↑ 背面の様子です。


↑ 中央部の上部のレコードプレーヤーはケースごと取り外しができます。
昔はレコードプレーヤーが内蔵固定になりますと「電蓄」とみなされて物品税が高額になりました
ので本体ラジオアンプ部と、レコードプレーヤーを別々に販売されておりました。

↑↓ シミのあるスピーカーサランネットは両方交換の予定です。


続いてお見積もりのための仮修理を行います。


↑ キャビネットからシャーシーを取り外します。

↑ 2つの選局バリコンが有ります。 2チューナーです。
ステレオというのは左右分離して立体的に聞こえるものです。
しかし当時はAMラジオ(昔は中波MWラジオ)でステレオ放送はまだ技術的に無理でした。
そこで2つの電波を使って試験的にステレオラジオ放送がありました。
例えば左チャンネルをNHK第1放送、右チャンネルをNHK第2放送、と言うように同時に放送しました。
しかし、これを受信するには2台のラジオなどが必要でした。
このステレオは2チューナー2アンプのつまり2台のラジオが内蔵されていますので、
これ1台でステレオ放送受信を可能にしたものなのです。


↑ 先ずラジオの受信を確認します。
レトロオーディオは各ボリュームやロータリーセレクタースイッチの接触不良により全体の機能が
失われます。
修復には「接点クリーナー/接点復活剤」を小さな隙間から噴射注入を行い、丹念に摺り合わせ
をしながら、根気よく徐々に接触面を活性化して行きます。
結果は、左MWラジオはOKですが、右MW/SWラジオが受信NGです。
原因は次工程で診断を致します。 PHONO回路はOKです。

↑↓ スピーカーは円形と楕円形の中間と言った珍しい変わった形状です。


右側ラジオのスーパーヘテロダイン回路内の故障のためMW/SWラジオが受信不能になって
おります。
次工程に進みます。
日立HiFiオールトランジスタステレオ"シンフォニカ"「DPK-7200」の修復修理はつづいて
レコードプレーヤーの修復修理を行います。

↑ レコードプレーヤーはかなりの修復が必要です。

↑ 裏面内部のフォノモーターです。

↑ ピックアップアームの先端に付いているのはMMカートリッジ(ムービングマグネット方式)です。
当時の真空管式の安差なぶるステレオは「クリスタルカートリッジが主流でした。
クリスタルカートリッジは出力電圧が大きくアンプの増幅度が低い場合に適しています。
弱点は音域が少し狭く、針圧がやや重く設定されます。
マグネチックーカートリッジは音域が広くHiFi音ですが、出力電圧が低く増幅殿高いプリアンプが必要。



↑ ダイヤモンド交換針が折れてなくなっています。



↑ フォノモーターをマウントしている防振ゴムが経年劣化でモーター全体が重さで下がり過ぎて
モーターの回転がターンテーブルに伝動しません。

↑ モーターを取り外して防振ゴムの交換をしてモーターを所定の位置へマウントを行います。




↑ 劣化した防振ゴムを取り外しました。

↑ きれいになったモーター取り付け金具です。




↑ 黒色の新しい防振ゴムの高さを組み合わせを調整して最適な位置にモーターを
「取り付け金具」にセットします。


↑ 外しておいたアイドラーをクリーニングして硬化して一部の段差を修正しておきます。

↑ アイドラムーを所定の位置にセットを行います。 45回転の位置です。

↑ 33回転の位置も合致しています。

↑ フォノモーターをターンテーブルボードの所定の位置へネジ止めします。

↑ オート機構部の動作の点検調整を行い、正常動作状態にもっていきます。
交換針を注文中の為音出しはできませんが、回転動作、リターン動作のテストを行います。

ここで、全体のクリーニングを行います。





↑ フォノモーターと各可動部の注油を行いました。


↑ 針が付いていませんので音は出ませんが、回転関連のテスト中です。
日立HiFiオールトランジスタステレオ"シンフォニカ"「DPK-7200」は、
真空管式のアンサンブルステレオが主流の時代に一歩先を行く珍しいオールトランジスタでした。

↑ シャーシーの状態は深刻な不具合箇所は現在のところ見当たりません。
しかし、レトロオーディオ特有のパーツ劣化による各接触部分の接触不良による不具合の
修復を行います.。
各部のクリーニングは後で行います。




↑ プリント基板裏面の様子です。


↑ アルミ放熱板で四角に囲った部分がパワーアンプ回路です。
外側に大型パワートランジスタ「2SB361B」が4個取り付けられています。
総合無歪出力 30W
総合最大出力 40W
真空管よりもかなりの大出力になります。

↑ 各ボリュームやピアノ式セレクタースイッチの接触不良の修復を行います。


↑ 各ボリュームやピアノ式セレクタースイッチの接触不良の修復には
「接点クリーナー/接点復活剤」を小さな隙間から噴射注入を行いながら、丹念に摺りあわせを
しながら、根気よく徐々に接触面を活性化して行きます。

↑ 通電してテストの様子です。
次はレコードプレーヤーの修復を行います。
希少な1960年後期の日立HiFiオールトランジスタステレオ"シンフォニカ"「DPK-7200」は、
当時の真空管式のアンサンブルステレオ主流の中では珍しい先進のオールトランジスタ(半導体)
を使用した製品でした。


↑ サイズ W1100 H570 (脚含まず) D415mm とかなりのボリューム感があります。



↑ キャビネットの天板と底板の前面や角は滑らかなアール状に仕上げ優雅なシルエットを
かもし出しています。

↑ レコードプレーヤーは音質重視のMMカートリッジが採用されています。


豪華なエンブレム




↑ 背面の全体像です。


↑ 真空管シャーシーの名残が見られますか゜・・・・・

↑↓ スピーカーは30×20cm大口径ウーハーと8.5cmツイーターです。


↑ 電源は入りますが、レトロオーディオ特有の不具合のオンパレードですが、
すべの動作の致命的な箇所は見られず修復の可能性が確認出来ました。
電源回路の誤配線の修復により、真空管に+60Vの直流電圧が供給でき増幅回路/出力回路が
稼働して音出しが可能になりましたが、まだ各部に色々な不具合があります。


↑ 画像は潜在的な不具合の修復が完了してエージングテストの様子です。

↑ B電源回路の電解コンデンサーなどの取り付けに無理がありますので修正を行います。



ラグ板のアース部分が固定されていないためブラブラしていますので工夫してボディに固定
いたします。


↑ テスト前の状態です。

〇印の3箇所のスイッチ接点の接触不良を修復しておきます。



↑ 左ボリュームに接点復活剤の注入とすりあわせを行います。
VOL1工程で行っておりますがまだ少しガリが残っていました。

↑ 右ボリュームも再度接点復活剤の注入とすりあわせを行います。



↑ クリスタルカートリッジの不具合が見つかりました。
針の両サイドの突起物が針の高さと同じになっていましたのでレコードの溝から飛び出して
音飛びが発生しました。
突起物を取り除く処置により解決したしました。



↑ テスト中の様子です。
変わったスピーカーはこのままでもいい音がしています。
予てより、お客様がご自分で自作のスピカ―を取り付け配線をされましたが、「音が出ず困っている」
とご相談がありました。

↑ ナショナル 真空管式ステレオレコードプレーヤー「STEREO phonograph」に自作スピーカーを
接続改造がなされています。

↑ 動作させてみますが、レコードは回転しますが、「音出ず」

↑ 早速点検を行います。 スピーカー配線をR/L単線4本使用で行っているため乱雑になります。

↑ 配線接続には問題なさそうでが・・・・・
真空管回路B電源が供給されていません。

↑ B電源の整流回路はダイオード/電解コンデンサー/抵抗から構成されています。

↑ 配線の不手際を発見手直しを行い、+60Vの直流電圧が供給できました。

↑ R/Lの2本の真空管に、+60Vの直流電圧が供給でき増幅回路/出力回路が稼働しました。
R/Lの音量ボリュームのガリ音を接点復活剤により接触不良を修復したしました。

↑ カートリッジの動作も問題無く音量/音質とも良好です。
ターンテーブルの回転も正常です。


↑ 変わった構造のスピーカーは多分筒型のホーンに取り付けるものでしょうが、
良い音が出ています。


↑ 裏面のカバーを取り付けました。

↑ この状態でエージングテストを行い潜在的な不具合を浮上させます。
↑ 長い間の修復修理が終わり、一日千秋の思いでお待ちくださっておられるお手元へ
お届けできる日が近づいてまいりました。
大切な製品を安全にお届けできますように厳重な梱包を行いました。



最後に「梱包」と云う大事な作業の重要性について。
この修復修理の仕事を始めました当初は「輸送事故」によりお届けした製品のレコード
プレーヤー部分が不具合になる事例がありました。
厳重な梱包を施しているにもかかわらず、何故不具合があるのか、レコードプレーヤー
に起きるのか原因を究明して分かって事は、「製品の縦積み」である事実でした。
元々レコードプレーヤーは精密な機器ですから細心の注意で梱包しております。
しかし、不具合が起きておりました。
実際にそのプレーヤーを点検してみますと、プレーヤーが所定の位置から脱落している
事が判明しました。
相当なショックがあったと云う事になります。

運送の実態を調べました。
「集荷」→「発センター」→→→→→「拠点ベース」→→→→→「着センター」→「お届け」
集荷して「発センター」で「カゴ台車」に積み替えされて長距離トラックてで運ばれます。
この「カゴ台車」の許容サイズは W1100 D800 H1700mm
アンサンブルステレオの梱包サイズは W1150 D410 H510mm
当然縦積みでないと収まりません。
当初の梱包では長距離の縦積みには耐えられませんでしたので、プレーヤーの脱落
が起きました。
現在は過去の経験を反映された結果、逆さまでも耐えられる梱包を行っております。
また、開梱も簡単に短時間で楽に行えるようにいたしました。
再修理時には梱包材の再利用も出来ます。
(カゴ台車の画像はホームページからお借りいたしました)
1960年代真空管式ナショナルHiFiステレオ「RA-2400」の修復修理は
シャーシーの組み込みが終わってから通常使用と同じくランダムなテストを行いながらのエージ
ングテストが終わりました。
ラジオのMW/SW/FM/受信は感度良好、CD等の外部入力もOK、
レコード演奏の場合はかなり出力レベルが小さく音量ボリュームを3倍程上げる必要があります。
あまりにも入力差が大きすぎて違和感があります。
気にすればするほど何とかしたくなります。

↑ 完成画像

↑ 修復修理前のカートリッジの状態です。
クリスタルカートリッジは素材がロッシェル塩で出来た圧電素子を使用したものです。
経年劣化で化学製品の還元作用で異質のものに変化して性能に衰えが現れ、
音質/音量が悪くなります。 全く音が出ない場合もあります。
寿命が約30年~40年ほどです。
現在でクリスタルカートリッジに代わるものはセラミックカートリッジになります。
しかし、殆ど製造はしておりません。
↑ 左 経年劣化のクリスタルカートリッジ(くるりと回してLPとSPの切り替え)
右 セラミックカートリッジ(LP/SP兼用)



↑ セラミックカートリッジに交換を行いました。 音量/音質改善効果が十分認められました。


↑ フォノモーターのスタート/ストップのスイッチ接点から発生するスパークノイズを吸収して
ノイズを減少させるコンデンサーの交換を行いました。


↑ キャビネットに組み込みを行う前にターンテーブルの外周辺部の錆を除去して磨いておきます。



↑ テスト中の様子です。
色々の音源を鳴らしてみて聴きこんで、いい音なのですが、・・・・・
少しでも更に良くしてあげたい気持ちが残ります。

↑ 今回気になった僅かな歪について出力トランスから信号の取り出し口にコンデンサーを挿入
して負帰還領域を調整しました。 効果が確認できました。
出力真空管は5極管の30A5シングルですが、効率は良いのですが5極管独特の硬さがあります。
メーカーもこの諸々の音質改善の為当時の「天下の宝刀」NFB回路(ネガティブ フィード バック)
を採用しています。
当時の高級ステレオ電蓄に採用された歪みの改善対策に負帰還回路=NFB回路
(ネガティブ フィード バック)は使い方を誤ると良い効果が得られない場合があります。
※ 負帰還回路とは出力音信号の一部を位相を反転してアンプの前段に戻してノイズ
や歪み信号を打ち消し合って音質改善を行うものです。
しかし、使用条件を誤ると逆効果になる恐れがあります。
私も昔、自作の電蓄にこの回路を採用してその効果に一喜一憂したものでした。





↑ 外部入力ケーブルの接続口です。

コロムビア真空管ポータブル電蓄「形式名不詳」の修復修理は次に不規則な音切れや
ハム、ガリノイズなどの原因を調べます。

↑ ケースに載せますと俄然音が良くなります。
最初からケースはスピーカーボックスとして設計されています。



↑ 最初のターンオーバー式のクリスタルカートリッジが不良の為、交換で使用した
セラミックカートリッジは固定式ですのでターンオーバーの小さなツマミが付いていません。
SP/LP兼用になります。
テストの為仮付しておりましたので接着取り付けを行いました。
最初から気になっていたハム音の原因を調べました。
ヘッドアンプの真空管ソケットの接触不良が判明いたしました。

↑ 真空管ソケットに洗浄剤を噴霧します。


↑ 9ピンのミニチュア真空管のピン(脚)を磨きます。

↑ 真空管を装着して解決いたしました。



↑ 快調です。
エージングテスト中の様子です。

↑ 昔の製品は凄いと思います。 外観は衰えても、奏でる音は元のまゝです。
真空管自体は多分100年後でも生きています。
皆様方のご支援に感謝申し上げます。
ブログ「レトロオーディオの奥義」は140,000アクセス突破をいたしました。
今後とも よろしくお願い申し上げます。 2017年10月2日 レトロオーディオの奥義 米川 勇
珍しい初期のコロムビア真空管ポータブル電蓄「形式名不詳」の修復修理は
続いて「音画が出ない」の修復修理を行います。

↑ アンプ回路に問題がないようですので、クリスタルカートリッジ不良の可能性があります。

↑ R/Lのシールドワイヤーの断線はありません。

↑ クリスタルカートリッジの端子部分でクリック反応がありますので、
明らかにカートリッジの不良です。

↑ 新しいセラミックカートリッジを仮付しますと、明らかに反応があります。

↑ 左 不良のクリスタルカートリッジ 右 新品のセラミックカートリッジ

↑ LPレコードの演奏テストを行います。 良好です。

↑ EP レコードの演奏テストを行います。 速度微調整も良好です。


↑ ピックアップアームの支持部の修理を行いました。

↑ スビーカーの振動がアームに共振してカートリッジの出力とのハウリングを防止の為
スポンジで防振構造になっています。


↑ 処置を行い大丈夫です。


↑ 修復後の内部の全体像です。



↑ テスト中の様子です。
予てよりお預かりしておりましたコロムビア真空管ポータブル電蓄「形式名不詳」の修復修理の
記録です。

↑ プレス鋼板製のトランク型の丈夫なケースに収められています。

↑ 緑のターンテーブルマットは手製のものでしょう。
通電OKですが、ブーンとハム音のみで動作はしません。
小さくても侮れないのがこの種のポータブル電蓄や卓上電蓄です。
基本的に大型も小型も原理、構造は全て同じです。

↑ ターンテーブルを外します。 プラスチックボード全体は、
やや材質が薄く華奢な感じで心配です。

↑ やはり予想通りプラスチックボードの破片が内部に散らばっています。


↑ 外したプラスチックボードの裏側です。
R/L 2つのスピーカーと3球真空管アンプそしてフォノモーターなど全体の機材を支えるには
不安があります。

↑ アームの付け根の陥没。

↑ アンプは動作しています。
60年前のプラスチック製品は経年劣化で脆くなっています。
以前にケース全体がプラスチック製のもので同様のダメージがありました。
レコードが安定に回転して音が正常に出るように修復を行っていきます。

↑ 先ずターンテーブルを回転させないと音源が得られません。

↑ 「いろいろ手を尽くしたが叶わず」だったのでしょうか。

↑ 基本的にターンテーブルを既定の速度で回転させるメカは、
例えばLPは毎分33回転(精密には33/3分の1)ですからモーターの高速回転をモーター
キャプスタンとアイドラーで減速してターンテーブルに伝動しています。
そしてその間に速度微調整があります。 更に78/45/33回転の切り替えがあります。
その一連の機構のいずれかに不具合があると正常に安定回転を続けることが出来ません。


↑ アイドラー/キャプスタン+微調整円板/微調整マグネットが見えています。

↑ 先ずプラスチックのネジ穴の欠けによりフォノモーターの固定部分が外れて斜めになり
速度切り替えツマの位置が陥没してツマミの取り付けが出来ない状態を修復いたします。
また微調整マグネットと微調整円板の接触により動きません。
画像のように金具を取り付けて高さの水平を保ちます。
しかし、モーターのマウント防振ゴムが劣化して痩せているため位置が合いませんので
防振ゴムの交換を行います。


↑ モーター駆動ユニットを外して下します。


↑ 左 不良の防振ゴム 右 交換用の防振ゴム


↑ 左 交換の終わった黒い防振ゴム


↑ 交換の終わった黒い防振ゴム もう1箇所はモーターに隠れて写っていません。

↑ 回転OK! 78/45/33セレクトOK! 速度微調整OK! 音出しNG
次工程に進みます。