BRAUNシェーバーでおなじみのドイツメーカーの50年以上前の珍しいオールトランジスタの
モジュラーステレオです。
いよいよレコードプレーヤーの修復に取り掛かります。
元々ドイツの電源周波数が50Hzのため関西地区の60Hzに対応しておりません。
このままでは回転数が約12%速くなって使用できません。
ヘルツフリー化の為「正弦波インバーター電源装置」を組み込む予定でした。
しかし・・・「正弦波インバーター電源装置」を使用しないで正常回転数を維持する方法が閃きました。
是非、成功させたいと思います。
ドイツ製モジュラーステレオBRAUN「250 SK」の修復修理 VOL5


↑ プレーヤー部の完成画像です。

↑ このプレーヤーは特殊なベルトドライブ方式です。
構造はシンプルで堅牢に作られています。
回転数を変更するには、フォノモーターのキャプスタンプーリーの径の太さにより変化します。
径を細くするとターンテーブルの回転が遅くなり、太くすると速くなります。
しかし、真鍮製の精密な特殊な形状のキャプスタンプーリーを加工することは不可能です。
そこで、目をつけたのが、大プーリーの方です。
こちらを大きくすれば回転数が確実に遅くなります。
しかし、正確にLP/33回転3分の一が得られるかは、cut-and-tryで実験的に決めます。


↑ 先ず、2~5mm厚の平ゴムを約1.7cm幅に切断してプーリー(ホイール)の周辺に貼り付けます。

↑ ストロボ.スコープを載せて回転数を観察します。

↑ 蛍光灯は60ヘルツに反応して1秒間に60回明るさが変化(フリッカー)していますので、
ストロボ.スコープのパターンが静止するまでゴムシートを貼り替え、重ね貼りをしていきます。

↑ 色々な.厚さのゴムシートで最も.適当なものを使用します。



↑ 5mm厚を2枚重ね貼りにして10mm厚にして最適になりました。

↑ ターンテーブルを載せてレコードテストを行います。



↑ LPレコード演奏中のストロボスコープの観察はごく僅か右(速い)に移動しています。
これは許容範囲内です。



↑ LPレコードのテスト中の様子です。 良好です。

↑ EPレコード(45回転)に切り替えますと回転が猛烈に速くなります。
原因はベルトがゴムシートから外れてシートの貼れていない箇所にかかっていました。
少し幅を広くしたゴムシート20mmに貼り替え正常になりました。
BRAUNシェーバーでおなじみのドイツメーカーの50年以上前の珍しいオールトランジスタの
モジュラーステレオです。
FM受信が正常になりましたが、ダイヤル照明が点灯いたしません。
修理を行います。
ドイツ製モジュラーステレオBRAUN「250 SK」の修復修理 VOL4

↑ ダイヤル照明ランプを取り付け完了の様子です。

↑ ダイヤルスケール 赤字がFM 白字がAM(MW)/SW(KW)使用不可)


↑ 交換に使用したダイヤルランプです。
画像の手前中央が断線のランプです。
点灯電圧がDC16Vですので寿命を考慮して12Vの「ムギ球」2個を直列に使用いたしました。
1個当たり8Vになります。
※片方が切れますと両方が消えます。
アクリル板を縦方向に光を透過させるため超小型電球が効率的です。
麦の一粒の大きさに似ていますので昔から「麦球」と言っています。



↑ チューナーアンプ部の基板フレームをベースフレームに合体させました。
次はレコードプレーヤーの修復に進みます。
BRAUNシェーバーでおなじみのドイツメーカーの50年以上前の珍しいオールトランジスタの
モジュラーステレオです。
ラジオの受信回路はFM/AMどちらもバリコンシャフトがロックして動きません。
そして他にも不具合があります。
FM/AM/SW受信回路の基板内が過去に何度も修理の形跡が見られます。
FM受信回路は修復の見込みがありますが、AM/SW受信回路は修復の見込みが立ちません。
関西エリアFM電波のワイド化により民放3社はFM放送を行っております。
この機器のFMの受信範囲は88MHz~108MHzですから関西エリアの殆どの主要FM放送が
カバーできます。
ドイツ製モジュラーステレオBRAUN「250 SK」の修復修理 VOL3

↑ 受信基板です。 上部分FM 下部分MW/SW
FM受信時に基板にショックを与えると音切れなどがあり不安定です。

↑ プリント基板の配線パターンの半田付け劣化を目視で確認しながら再半田付け強化を
行います。

↑ 選局バリコンのシャフトロックを防錆接点復活材を注入して時間を掛けて徐々に硬く
こびりついた油分を溶かして回転を取り戻します。
バリコンがスムーズな動きをとり戻しましたのでダイヤルスケールの修復とダイヤルの
糸かけを行います。

↑FMのダイヤルスケールは
「左側が周波数が低い方の88MHzからで、右側が高い方で108MHz」までになっています。
これはほぼ標準です。
最初の糸かけの通りにかけました。
ツマミを右回しにするとバリコンは左回りになり周波数の低い方に移動します。
滑車の位置などで判断して他に方法はありません。
しかし、これは使用できません。










↑ 結局、中間滑車を無視して標準的な糸かけに改良いたしました。
これでダイヤルツマミ右回しで「バリコン右回り」 「ダイヤル指針右へ移動(周波数高く)」で
正常になりました。
以下の最初の画像で検証してみますと、バリコンプーリーへの糸かけで糸がクロスしています。
ここで既に逆転になります。








↑ テスト中の様子です。


↑ FM簡易アンテナの組み込みを行っています。
BRAUNシェーバーでおなじみのドイツメーカーの50年以上前の珍しいオールトランジスタの
モジュラーステレオです。
ラジオの受信回路に問題が潜んでいます。
VOL1の工程ではFM波一波のみかろうじて受信しますがAM/SWが全く動作しません。
FM/AMどちらもバリコンシャフトがロックして動きません。
AM/SW受信回路の基板内がダウンしています。
ドイツ製モジュラーステレオBRAUN「250 SK」の修復修理 VOL2




↑ この機器の構造がレコードプレーヤー部・基板部・ベースシャーシーの3層構造になっています
ので分解点検修理が大変複雑になっています。

↑ 受信基板です。 上部分FM 下部分MW/SW

↑ 受信基板裏側のプリント配線のパターン。

↑ FMチューナーです。 選局バリコンの軸がロックして動きません。


↑ AM/SW選局バリコンの軸がロックして動きません。
ここまで分解しましたが、まだ道半ばで、結果が出ていません。




↑ カートリッジはMM式ですが、合致するダイヤモンド交換針を探します。


↑ レコードプレーヤーの修復修理の下準備が出来ました。
BRAUNシェーバーでおなじみのドイツメーカーの50年以上前の珍しいオールトランジスタの
モジュラーステレオです。
電圧・ヘルツの異なる機器のため日本の環境に合わせます。
そして各部の不具合の修復を行います。
ドイツ製モジュラーステレオBRAUN「250 SK」の修復修理 VOL1



↑ 電圧は240V~110Vまで4段階に切り替えタップが付いていますが、Hzは50ですから60Hz地区
では回転が速くなります。
重要課題ですので、対策は最終に行います。
特殊な形状のスピーカー端子は汎用の接続端子に交換を行います。





↑ 半世紀以上前のもの作りの凄さに感銘を覚えます。
元々部品メーカーのBRAUNですから使用されているパーツの精度が高く堅牢に出来ています。
素材もよく重量が物語っています。
触って安心感があります。

↑ 先ず、汎用のスピーカー端子の取り付けを行います。



↑ 出力基板にリード線を半田付けし汎用スピーカー端子を取り付けます。




↑ プラスチックキャビネットの通気口を利用して取り付けます。

↑ こんな感じになります。
テストスピーカーを接続してテストをはじめます。

ラジオはFMポジションでノイズだけ確認できました。
ダイヤルつまみがスリップしてバリコンが動いていません。バリコンのシャフトがロックして硬くて
素手でやっと少し動きました。一波だけ受信できます。
次に進みます。
"ふりだし"に戻ってきたラッキーなレトロステレオは、
ビクター真空管ステレオHiFi Stereo Audiola 「STL-550」60Hz専用機です。
これは3年前に50Hz地区のお客様から間違いなく当方にて修復修理を承った時に
「ヘルツフリー化」のため「正弦波インバーター電源装置」を組み込んだものでした。
しかし現在の持ち主は変わっておられます。
そして、ヘルツの異なる60Hzの地域でのご使用で回転が速くて正常使用ができずお困りの状態です。
「ヘルツフリー化」を実施済みなのに謎めいた部分があります。 解明してまいります。


↑ 「ヘルツフリー化」のための「正弦波インバーター電源装置」が既に取り外されてありません。
しかし、益々謎が深まります。
元々60Hz専用機ですから、「正弦波インバーター電源装置」を外して元に戻せば60Hzになる筈です。
以下は、3年前に「正弦波インバーター電源装置」を組み込んだ時の様子です。

↑ シャーシーとヘルツフリー電源の組み込み完成画像です。

↑ ヘルツフリー電源の組み込みは大型キャビネットで空間が十分ありノイズの少ない
最適位置へ離して置くことができます。

↑ それでも、インバーター電源から出るパルス性ノイズをゼロにする事は不可能です。
許容範囲内の最もノイズの影響の少ない位置へ取りつけました。
ここまで当ブログ3年前の記事を引用いたしました。
プレーヤーの点検を行いました。



↑ 確かに元々60Hz専用機です。

↑ 詳細点検の結果、モータースピンドルが50Hzに交換されていました。
滅多に入手できないモータースピンドルです。
謎は解けましたが、この状態を60Hzに変更するには、
モータースピンドルを60Hz用に交換するか、
「正弦波インバーター電源装置」を組み込みしか方法はありません。


↑ しかし、またもや問題が持ち上がりました。
このプレーヤーはオート機構です。
レコードプレイ時は手動ですが、アームリターンとフォノモーター停止は自動になっています。
プレーヤーには M=手動 A=自動 の切り替えツマミがありますが、Mになっていましたので
Aに切り替えてもオートリターンをいたしません。
オート機構部を修復します。
あらゆる対策を試み機能を修復しますが一進一退で完全な状態に直りません。


↑ メカにかなり劣化があり修復不可能と判定いたしました。
手動なら使用できますが、「正弦波インバーター電源装置」を組み込み等の費用を考慮して
あまり得策ではないと判断いたしました。

↑ 色々考えた結果、手持在庫の中から同系の60Hzプレーヤーを再メンテナンスして載せ替え
をすることになりました。



↑ プレーヤーのテスト中の様子です。 オート動作は良好です。

↑ 画像の右は付いていたターンオーバーのクリスタルカートリッジは出力電圧が弱いため
左のセラミックカートリッジ(SP/LP兼用)に交換いたしました。

↑ ブールーとイエローのコンデンサーは途中で交換されたようです。
次は電源スイッチの交換を行います、


↑ 手前の電源スイッチつきボリュームの交換を行いました。



↑ 画像左端の新しい電源スイッチつきボリュームはシャフトが短いためシャフト継ぎを使用します。
つまみがシャフトがギザギザのあるロレットタイプの為不良のボリュームから切り取って使用しました。
右は応急的に取り付けてありましたペンダントスイッチです。



↑ キャビネットの側板の剥がれを補修いたしておきます。
1970年代日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]は、
非常に珍しい大型モジュラーステレオ調の初期のオールトランジスタのビンテージステレオです。
いよいよ最終工程を迎えました。
日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]修復修理VOL5(完成)
![HITACHI--[DPK-405]_550x354](https://blog-imgs-116.fc2.com/y/o/n/yonedenblog/20171201222344554.jpg)
1970年代日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]は、最初の印象は外観も比較的綺麗
に保管されていた様子でしたが、やはり半世紀の経年劣化には勝てず、
不具合やキャビネットの突き板の剥がれなどで補修を行いました。

↑ プリメインアンプの完成画像です。

↑ レコードプレーヤーの完成画像です。

↑ プリメインアンプのキャビネットの右側板の突き板の剥がれです。

↑ 補修を行いましたが、光の具合でムラが見えたり見えなかったりしますが、
貼り付けた突き板が剥がれてなくなっていますが、範囲も広く難しいところです。

↑ レコードプレーヤーのキャビネットも所々突き板の剥がれがあり補修を行いました。

↑ レコードプレーヤーをキャビネットに組み込みを行います。
電源コードが経年劣化で硬くなってポキッと折れそうで危険なため交換を行いました。



↑ レコードプレーヤーの組み込みの完了です。

↑ 電源オフ時のプリメインアンプの様子ですが補修後の右側板が肉眼で見た場合はこんなに
色むらはないと思います。
日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]の音は素晴らしく、オリジナルのスピーカーで
も聴いてみたいところです。
予てよりお預かりしておりました、1970年代日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]は
非常に珍しい大型モジュラーステレオ調の初期のオールトランジスタのビンテージステレオです。
日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]修復修理VOL4
![HITACHI--[DPK-405]_550x354](https://blog-imgs-116.fc2.com/y/o/n/yonedenblog/20171201222344554.jpg)
修復修理工程VOL4はレコードプレーヤーの修復修理です。
↑ 経年劣化のフォノモーターの防振ゴムを取り外して交換を行います。

↑ 劣化の防振ゴムを取り外しました。

↑ 硬化して砕けています。

↑ 新しい防振ゴムに付け替えます。

↑ 新しい防振ゴムに付け替えを完了です。


↑ キャプスタンベルトを装着します。

↑ 中継用の小ターンテーブルを装着して平ベルトを.かけます。

↑ メインターンテーブルとゴムマットを載せて完了です。

↑ レコード盤を載せてテストを行います。

↑ アームがリターンしてアームレストに着座してもターンテーブルが回転したままてした。
動作の不具合を修理しておきます。 タイミングスイッチの調整で直りました。





↑ 回転も安定してフォノモーターの回転振動もカットされて快適です。
修復の済んだアンプの音質も良好です。

↑ 経年劣化のプレーヤーの電源コードの交換を行いました。




↑ メカの可動部に潤滑剤の塗布と注油を行います。
プレーヤーのエージングテストを充分行ってからプレーヤーキャビネットに取り付けを行います。
予てよりお預かりしておりました、1970年代日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]は
非常に珍しい大型モジュラーステレオ調の初期のオールトランジスタのビンテージステレオです。
日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]修復修理VOL3
![HITACHI--[DPK-405]_550x354](https://blog-imgs-116.fc2.com/y/o/n/yonedenblog/20171201222344554.jpg)
修復修理工程VOL3はレコードプレーヤーです。

↑ レコードプレーヤーは他のメーカーでは、あまり見かけないものです。
普通のターンテーブルの駆動方式は「アイドラードライブ」 「ベルトドライブ」 「ダイレクトドライブ」等
ですが、Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]のプレーヤーはそのいずれにも属しません。





↑ メインターンテーブルの直径の半分のセカンドターンテーブルにモーターキャプスタンからの
動力をベルトで伝え減速してメインターンテーブルを上に被せています。
ベルトドライブに近いものですが、安定した回転が得られます。
多分これがベルトドライブに進化したのでしょう。


↑ ターンテーブル上面の全体像




↑ シンプルな駆動機構 各部のメンテナンスを行います。



↑ 重いフォノモーターを懸架している防振ゴムが経年劣化で崩れています。
4箇所の防振ゴムの交換を行います。

↑ アームの支点
針圧調整ウエイト 調整

↑ 「カートリッジシェル」 異常なし
「カートリッジ」 異常なし
「ダイヤモンド針」 交換の必要がある




↑ プレーヤーオート機構の動作に不具合があります。
オートリターンしてアームレストに着座してもターンテーブルの回転が停止しない。
VOL4工程でレコードプレーヤーの全体修復修理を行います。
予てよりお預かりしておりました、1970年代日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]は
非常に珍しい大型モジュラーステレオ調の初期のオールトランジスタのビンテージステレオです。
昨年12月にVOL1工程で全体像を把握しておりましたが、事情により中断いたしておりました。
今回VOL2より再開させて頂きました。
日立 "Lo-D" SOLID STATE STEREO [DPK-405]修復修理 VOL2
![HITACHI--[DPK-405]_550x354](https://blog-imgs-116.fc2.com/y/o/n/yonedenblog/20171201222344554.jpg)
↑ 今回スピーカーはお預かりしておりませんが、下の画像は、WEB上からお借りしたものですが、
この様なレイアウトになるようです。

↑ 修復修理のテスト用スピーカーにSONY 「SS-S440」を使用いたします。

↑ 長期の放置の為経年劣化などで、何とかラジオが受信できる状態です。

↑ レコードプレーヤー

↑ プリメインアンプ

↑ プリメインアンプ後面

↑ プリメインアンプから修復修理にかかります。
全ツマミを外して、前面パネルを取り外します。

↑ 各セレクターロータリースイッチと各ボリュームの劣化による接触不良(ガリ)を修復のため
「接点クリーナー/接点復活剤」の噴射注入により丹念に摺り合わせを行います。

↑ 左と右のどちらかのスピーカーの音が出たり出なかったり不安定な状態は、
「SPセレクタースイッチ」の不良と判定いたしました。


↑ 画像上側のロータリースイッチの接点が折れ曲がっています。
下側はヘッドホンジャックです。

↑ シャーシーから取り外しました。


↑ 名門アルプスのロータリースイッチを調達いたしました。

↑ 形が違いますが、動作的に問題の無いように配線を行います。


↑ 最終的には若干配線に改良を加えてOKです。

↑ ツマミの位置もピッタリです。

↑ 劣化の電源コードを新しく付け替えを行いました。


↑ 前面パネルを取り外した時にダイヤル面と共にクリーニングを行いました。

↑ ダイヤル照明の6.3ボルトの豆電球が2個切れているのを交換いたしました。



↑ ダイヤルが明るく見やすくなりました。

次はレコードプレーヤーの修復修理へ進みます。
VOL2工程では2つのピックアップアームを両方とも使用出来るようにプレーヤーボード上に取り付け
を行いました。VOL1工程で「コブラ型マグネチックピックアッブアーム」の修復修理を完了いたしました。
ビクター真空管電蓄RadioElectrola「RE-30」Wアーム改造VOL3
VOL3工程では「コブラ型マグネチックピックアッブアーム」の座高が8cmと高いため、
深さが実測6.5cmのプレーヤーブースに取り付けた場合、上扉を閉じた場合当たってしまいます。
最初から分かっていたことですが、プレーヤーボードを2cm程下げれば解決出切ると思っていました。
しかし、実際はフォノモーターが大きく真空管との隙間も僅かなため、断念いたしました。

↑ 上扉を約15mm持ち上げた完成画像

↑ 実測して見てフォノモーターが大きく真空管との隙間も僅かなため、断念いたしました。

↑ 下がダメなら上に広げよう、と云うことになりますが、上扉を約15mm弱持ち上げるのも簡単
ではありません。 ヒンジとドアストッパーがあります。

↑ 先づ重い扉を支える割れたりしない丈夫な添え木を取り付けておきます。





↑ ヒンジの取り付け時に扉の重さに耐えられる強度を確認致しました。

↑ 扉を約15mm程浮かせるために扉の内側に貼り付ける適当な材料をHCで見つけました。
画像のコの字型の樹脂製の「深口カブセ」という部材です。

↑ 早速、採寸して画像のものを作りました。

↑ 扉の内側にビス止めして、 こんな具合になりました。
扉の取り付けはプレーヤー関連の終わった後で行います。

↑ フォーノモータースイッチ接点のスパーク軽減コンデンサーの交換を行っておきました。



↑ プレーヤーボード裏面のスイッチ周りの様子です。



↑ 今回の改造で増設したピックアップ切り替えとフォノモーターON/OFFのプッシュスイッチです。


↑ 後部の扉ヒンジの取り付け部のかさ上げの添え木にブラックの着色をしておきます。




↑ 後部の様子です。
VOL1工程で「コブラ型マグネチックピックアッブアーム」の修復修理を完了いたしました。
VOL2工程では2つのピックアップアームを両方とも使用出来るようにプレーヤーボード上に取り付け
を行います。
ビクター真空管電蓄RadioElectrola「RE-30」Wアーム改造VOL2
限られたスペースに大型の「コブラ型マグネチックピックアッブアーム」の取り付けは色々問題点が
あります。
アナログレコードの外周と内周をトレースする場合にどうしても差が出ます。
「オーバーハング」や「トラッキング」等の問題はアームの支点から針先までの距離が一定のピック
アップがレコード面の外周間と内周に均一にトレースするのが理想です。
しかし、ピックアッブアームの取り付け位置が極端にずれた位置では無理があります。
通常、SPレコードではそんなに深刻な問題はありません。

↑ プレーヤーボードの奥行きが足りないので、「コブラアーム」の位置決めを慎重に行います。

↑ 穴あけ位置が決まりましたので穴あけ決行します。

↑ 「エアコン穴あけ用ホルソー」で60φの穴を開けました。

↑ 大きな頑丈な「コブラアーム」の約75φのベースには3箇所の補強板が付いていますので大きな
開口部が必要になります。








↑ 配置のみでまだ固定はしておりませんが、この位置関係は問題ありません。
次も問題点があります。
①2つのピックアップの切り替えスイッチを取り付け
②フォノモーターの手動スイッチを取り付け
ご依頼者様から「コブラ型マグネチックピックアッブ」に交換して欲しい」とご連絡をいただいておりました。
両方とも使用出来るように2つのピックアップアームをプレーヤーボード上に取り付けを行います。
ビクター真空管電蓄RadioElectrola「RE-30」Wアーム改造VOL1

↑ 現在では殆ど見ることができない「コブラアーム」です。
大きく重く鉛のウエイトでバランスをとっています。

↑ 先端の鉄針用のマグネチックカートリッジは分解して修理の必要があります。

↑ 先端部(カートリッジ)上面

↑ 先端部(カートリッジ)裏面

↑ アーム側面

↑ 重いアームの支点部は頑丈に作られています。

↑ マグネチックカートリッジを分解します。

↑ U字型の馬蹄形磁石を外した様子です。

↑ 発電コイルと端子の接続部分ですが、目視では断線はありません。
実測のコイルの直流抵抗は6.7Ωですからかなりのローインピーダンスです。
U字型の馬蹄形磁石の磁力が弱く少々心配があります。
初期のマグネチックカートリッジです。

↑ カンチレバーの緩衝材のゴムは経年劣化で硬化して崩れています。

↑ カンチレバーを外します。

↑ 取り外したカンチレバーです。

↑ ゴムチューブと平ゴムでカンチレバーの緩衝材を作ります。



↑ 平ゴムで緩衝材を作りました。

↑ カンチレバーにゴムチューブを取り付けて組み付けを行いました。


↑ U字型の馬蹄形磁石を取り付けてカバーを付けて完成です。
カンチレバーの可動片がピタリと磁界の中心にあります。

↑ 出力シールドワイヤーの取り付けを行いました。

↑ どんな音が出るかテストしてみます。

↑ かなり全長が大きいので手持ちで鳴らしてみました。
結構音質は良く感じましたが、やはり極端な低インピーダンスの為、出力が小さくなりますが
ボリューム最大まで行かなくても充分です。
これほど重く頑丈なアームのため低域の共振が小さくスッキリした音に感じます。
針圧も鉛のウエイトで固定ですが相当重くなっています。
蓄音機と同じくらいでしょうか・・・




仮テストを終了して次は取り付けを行います。
2017年11月に修復修理をいたしました1960年代ナショナル真空管ステレオ「SE-7500A」の
レコードプレーヤーの不具合で再修理を行いました。

不具合は、「回転が重くリターン動作も途中で止まる」


↑ フォノモーター直結高速回転の直径約1mmのキャプスタンから、直径約40mmのアイドラーに
回転トルクが表面摩擦で伝達されます。
回転が速くなるほどキャプスタンの直径が大きくなりますので摩擦係数も大きくスリップがおきにく
くなります。
やはり、アイドラーのスリップが問題であることが分かります。
アイドラーが新品のゴムのように弾力があれば問題ないのですが、経年劣化で硬化しているもの
をやわらかくすることはできません。
アイドラーの経年劣化による硬化で起きるスリップの解説と画像は、
当ブログ「レトロオーディオの奥義」内のものを引用いたしました。
私は最近、同じ事例で実施した解決策の中で最も効果的な処置は、下記の方法です。
経年年劣化で硬化したアイドラーと金属が接触してスリップの無い回転トルクを維持させるため
アイドラーに「滑り止め剤」を塗布することを考えました。

↑ 経年劣化で硬化したアイドラーと金属が接触してスリップの無い回転トルクを維持させるため
アイドラーに「滑り止め剤」を塗布することが最も効果があることが判明致しました。
↑ スポーツ選手が使用する「滑り止め剤」が使用できないか?、
適当なものの中から「ハンドボール専用滑り止めワックス」を見つけまして実験を行いました。
↑ 指先に付けて摺り込むように薄く塗りこみます。塗り過ぎは禁物です。

↑ アイドラーの外周の接触面に「ハンドボール専用滑り止めワックス」を少量を指に付けて
均一にすり込むように薄く塗布しました。 他の部分には塗らないほうが良いと思います。
結果は非常に効果があり安定しています。
ここまでが解説になります。

↑ アイドラーを取り外します。

↑ ターンテーブルにこのように接触して減速しながら安定したフォノモーターのトルクを伝えます。


↑ アイドラーの接触面に滑り止めワックスを指で均一にすり込みます。

↑ テストを行っています。 アームのリターンも良好です。

↑ アームの後部のプラスチックカバーが欠けていました。 交換不可能ですが金属部分に損傷が
ありませんので機能的には影響ありません。

↑ 箱の中に散らばっていた破片です。

↑ 先ほど大事をとって余裕の梱包を終えました。 明日、発送いたします。