
希少な1960年代後期 SANSUI AM/FM MPX真空管アンプ「SAX-200」の修復修理を進めます。
ご要望を頂いておりましたシャーシー背面の端子盤の交換前に、取り外しておりました前面の操作パネルを
取り付けておきます。

↑ 調達しておりましたスピーカー接続端子(バナナジャック&プラグ)とRCAピンジャックが近々入荷いたします。
あと一部の電解コンデンサーの交換も行う予定です。

↑ クリーニング済の操作パネルの取り付けを行いました。

↑ 交換したBASSボリュームのシャフト接ぎの止めネジ4本が障害になり操作パネルが収まらなくなりますので
止めネジ4本を切り取りました。
ツマミの取り付けも前後に分かれた後のツマミの内径を大きく研磨が必要でした。
全ての問題を修正してご覧のようにピッタリ収まりました。



↑ マジックアイの取り付け位置が少しずれていましたので修正とクリーニングを行いました。

↑ エージングテストを続行いたします。

希少な1960年代後期 SANSUI AM/FM MPX真空管アンプ「SAX-200」の修復修理を進めます。
真空管レトロオーディオを安心安全にご使用頂くための強化対策を行います。
レトロオーディオは電気で動く文化財です。 半世紀以上前に製造された電気製品です。
無理なく安心安全にご使用いただけますように、修復修理を心掛けております。

↑ 最も大切な電源回路の強化を行います。
シリコンダイオードやブロック型大容量電解コンデンサーの経年劣化は故障率の高い部分です。
サージ電圧でDC300Vの倍電圧整流回路です。
ブロック型大容量電解コンデンサーの破裂は経験しております。 出来る限り新しくいたします。

↑ 赤丸で囲ったブロック型大容量電解コンデンサーと整流用シリコンダイオードを全て交換いたします。
現在はブロック型は製造されておりませんので単品の大容量電解コンデンサーに交換いたします。

↑ ブロック型大容量電解コンデンサーと整流用シリコンダイオードを取り外しました。
倍電圧整流回路は取り付け配線を間違いますと規定の電圧が得られませんので非常に気を使うところです。
そしてブロック型から単品の電解コンデンサーに変更のため複雑になります。

↑ 新しく単品の耐圧400WVの大容量電解コンデンサーを使用いたします。

↑ 薄型シャーシーのため窮屈ですが、2個のラグ板を介して取り付けを完了いたしました。

↑ 交換完了の全体像です。 2個の電解コンデンサーは元の穴に上向きに取り付けました。

↑ シャーシー上面の様子です。 スッキリいたしましたので清掃がスムーズになりました。

↑ テストは良好です。








↑ 次工程でスピーカー接続端子とRCAピンジャックの交換を行う予定です。
エージングテストを続けます。

希少な1960年代後期 SANSUI AM/FM MPX真空管アンプ「SAX-200」の修復修理の記録です。

↑ 現在では非常に珍しいSANSUI の真空管式コンポーネントアンプSAXシリーズの「SAX-200」です。
複合管6BM8 PPの 高性能ステレオアンプです。



↑ 故障して使用中止をして放置した状態で経年劣化で時を経た様子です。
通電OKですが、全く動作は確認できません。

↑ シャーシー内部の様子です。
● アンプ回路は生きているようですが、なんとか音出しを試みます。
各ボリュームとセレクタースイッチの接触不良を接点復活剤の投入により修復作業を行いました。
その結果FMの受信が可能になりました。
AMは動作が難しく受信回路を電圧測定等詳細点検の結果は特に不具合箇所は見当たりません。
色々確認作業の結果中間周波増幅回路の不具合が判明いたしました。
結局、1段目の中間周波トランス455Khzの故障を断定いたしました。

↑ 1段目の不良の中間周波トランスをとり外しました。

↑ 不良の中間周波トランスです。

↑ 中古良品の中間周波トランスを取り付けました。
調整を行いました。


↑ 中間周波トランス交換後のシャーシーの様子です。 結果は良好です。
次は接点復活剤では修復不可能な音質調整「BASSボリューム」の交換を行います。

↑ 1MΩ×2の2連ボリュームです。
高難易度の交換作業になります。
取り外し方法と取り付け配線方法を工夫いたします。
障害物になる「前面操作パネル」と狭い空間の「回路のC/R」があり、難航いたします。
操作パネルの取り外しを行います。

↑ 1MΩ×2の2連ボリュームの上にC/Rが降り重なって半田付されています。
半田鏝も入らない状態です。
ボリュームの取り外しはボリュームの接続端子を切断して取り外します。

↑ 取り外したボリュームは分解してロレットタイプの真鍮製シャフトを切断して使用するため分解いたしました。

↑ 交換用の1MΩ×2の2連ボリュームは取付スペースに合わせて小型のものを使用いたします。
取付前に6か所の接続端子に約6cmのリード線を半田付しておきます。
これは狭い空間に半田鏝が入らないため、隙間からリード線を出してC/Rに直接半田付を行います。



↑ ボリュームをシャーシーに取り付けました。
ツマミに合わせるため切断したロレットシャフトを「シャフト接ぎ」を使用して取付を行いました。


↑ 先付しておいたリード線を所定のC/Rに半田付を行いました。



↑ 前部からは隙間から接続の様子が見えます。

↑ テスト中の様子です。 好調です。 苦労の甲斐があり非常にスッキリいたしました。

↑ 外した操作パネルをきれいにクリーニングをいたしました。

↑ クリーニング前の画像です。

↑ ダイヤルスケールのガラスを外して両面のクリーニングを行いました。

↑ 左のマジックアイも美しく輝いています。
次工程は安心安全対策として電解コンデンサーなどの交換を予定しております。
エーシングテストを続けます。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオOTTO「DC-8600」の修復修理の最終工程を行います。
FM電波を外部アンテナなしで受信できるようにキャビネットにFM簡易アンテナを取り付けます。



↑ FM簡易アンテナはVHF電波受信用の300Ωフィダー線をFM放送周波数帯の平均波長に合わせて、
ダイポールアンテナの基本形に半田付で形を作りキヤビネットの背面に取り付けます。
そして中点の給電部からシャーシーのFMアンテナ端子に接続します。

↑ FM簡易アンテナはFM専用専用アンテナと比較して感度・指向性などに十分とは云えない部分がありますが、
ステレオの設置条件がFM電波の到達方向に合致しますと、結構高感度で受信が出来ます。
画像右端の「受信レベルメーター」の触れも大きくなります。


↑ FMステレオ放送電波が正常に受信しますと、「STEREO」マークが赤色で点灯します。
受信状態が良くないと点滅状態になります。
[ご注意]
●FMモノラル放送とAM放送の場合は点灯しません。
●FM放送の受信帯は76Mhz~90Mhzですので90Mhz以上のワイドFM放送局の電波は受信できません。
●FM放送とAM放送を受信中にプレーヤーを動作させますとインバーターノイズで受信不能になります。
●ビルやマンションの鉄筋コンクリートのお部屋では受信電波が弱くなります。


以上で修復修理を完了いたしました。
エージングテストを続行いたします。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオOTTO「DC-8600」の修復修理は最終段階を迎えました。
キャビネットにシャーシーの組み込みを行いまして、インバーター電源から発生しているノイズの影響を検証いたします。

↑ ストロボ撮影を行ってもバックライトの輝度は負けていません。

↑ シャーシーの上にプレーヤーが位置して、下にスイッチング電電と正弦波インバーター電源に挟まれて
サンドイッチ状態になりますが、ノイズの心配はなさそうです。








↑ 後部の様子です。
エージングテストを行っていますのでシャーシーのビス止めはしておりません。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」の修復修理の記録です。
4CHアンプを常に音出しをしながら、その他の部分の修復修理を行っておりました。
現時点までに確認できました不具合は
① フロント左と右で音量差が極端で出力に差がある
② 出力の弱い方をの音量を上げると、途切れるように歪んでいる
③ 片方が全く音が出ないときもある
④ リアの場合も同じ状態である
VOL6工程はアンプ回路の修復修理を行います。

↑ パワーアンプ基板・プリアンプ基板を点検しますが、改善はしない状態です。

↑ 4CHパワーアンプ基板を詳細点検いたしましたが、問題点は見当たりません。


↑ プリアンプ基板の遮蔽板を外して詳細点検をいたしますが、問題点はありません。
回路基板内に不具合がありませんので、基板につながっているボリュームやセレクタースイッチなどを調べます。

↑ フロントとリアのバランス調整ボリュームを詳細に調べますと片方のボリュームに接触不良が起きることが
判明いたしました。

↑ フロント/リアの合計4個の小形ボリュームに接点復活剤を注入しての入念にすり合わせを行いました。
結果は良好でした。
エージングテスト中は快調でした。
しかし、一旦OFFして再度ONした時にリアだけが不規則な接触不良気味な症状が現れました。
まだほかに不安定要素がある様子です。

↑ スイッチ関係の接触不良を探ってみます。

↑ ファンクションスイッチ(セレクタースイッチ)に不具合がありました。
接点復活剤を噴射してすり合わせを行いました。


↑ 当時のアンプ基板内の低雑音トランジスタの内部ノイズに悩まされます。
しかし、このOTTO「DC-8600」に使用されているトランジスタにはその問題の内部ノイズは今のところありません。

↑ フロントスピーカー端子にR/L両方のスピーカーを接続してテストを行いましたが、良好です。

↑ リアスピーカー端子にR/L両方のスピーカーを接続してテストを行いましたが、良好です。

↑ バックライトをLEDに交換のため電源をAC(交流)6.3VからDC(直流)12Vに変更いたしました。
その電源回路に倍電圧整流回路を組み込みました。
交換したLED素子に万一異常があった時に安全のため電源ヒューズを組み込みました。
次はアンプシャーシーをキャビネットに組み込みを行います。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」の修復修理の記録です。
当時の4CHアンプは回路構成が複雑で部品点数が多く修復範囲も広く潜在的な不具合を抱えています。
常に音出しをしながら、その他の部分の修復修理を行っております。
既に不具合が発生しております。 順次修復修理を行いますが、その前にレコートプレーヤーをキヤビネットに
組み込みとヘルツフリー化の機材の組み込み配線を行います。

↑ 最初のプレーヤーボード裏面の様子です。

↑ 接続配線の改造を行いました。


↑ ヘルツフリー化改造後のフォノモーターの電気配線の様子です。

↑ キャビネットの内部清掃を行いました。


↑ キャビネットにプレーヤーをマウントいたしました。

↑ 「正弦波インバーター電源装置」と「スイッチング電源装置」のマウント位置は配線と誘導ノイズを考慮して
決定いたしました。



↑ 配線接続を行いました。



↑ 背面ボードに取り付けましたので収納部が広く使用できます。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」の修復修理の記録です。
バックライトの交換球をLEDに交換いたします。 電源はDC(直流)12Vです。
現在使用しているパイロット電源はAC(交流)6.3Vです。 LED用電源のDC(直流)12V電源回路を増設いたします。

↑ 上段がフィラメントの寿命で不良のヒューズ型電球です。
下段がLED発光体です。

↑ 完成画像です。
供給電圧DC10.5Vで明るい状態ですが肉眼ではくっきり、はっきりしています。

↑ 自然光による撮影画像

↑ ガラス管ヒューズ型LED素子を取り付けます。


↑ 反射板に映っています。


↑ これは前面の文字板からスポットライトで照らしています。



↑ バックライトケースを文字板の後ろに固定いたします。

↑ ダイヤル指針透過照明の「むぎ球」の配線をAC6.3V電源を延長してラグ板を介して半田付を行います。
次はLED用電源のDC(直流)12V電源回路をシャーシー内に増設いたします。
現在使用しているパイロット電源AC(交流)6.3Vを「倍電圧整流回路」を構築してDC(直流)12Vを生成いたします。

↑ 大容量のシリコンダイオード 2個 大容量電解コンデンサー 2個 ラグ板 1個
これだけで12V LED素子8個を発光させます。

↑ 作業中の様子です。




↑ 受信レベルメーターのバックライトがありますので、合計8個になりました。


↑ ハレーション気味に映っていますが実際はクリアーです。


↑ エージング中ですが発熱は皆無です。 フィラメント電球の場合はかなり高温になります。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」の修復修理の記録です。
VOL3工程ではアンプ回路の点検修復の予定でしたが、難題のバックライト不点灯を先に行うことにいたしました。

↑ マイカーを始動してインパネのサインが不点灯ですと、安心して運転できません。
オーディオの場合は小型のポータブルプレーヤーなどは電源ON/OFFの文字表示はありますが、表示灯は
ありません。
大型オーディオは最低限度の表示灯が必要です。
特にセパレートステレオの場合はステレオの 「顔」になりメーカーや機種により個性があります。
●最初、電源をONしますとラジオダイヤルの指針のみ透過式の明かりが点灯していました。
これはダイヤル指針の上部に「むぎ球」を取り付けて極細の配線でダイヤル面を左右に移動させる構造です。

↑ 画像上部の色つきのカバーを外してバックライトケースを外して調べます。

↑ バックライトケースの中には予想通りヒューズ型電球が5個セットされていましたが、全てフィラメントが蒸発
して真っ黒になり寿命が尽きていました。

↑ 6.3ボルト用のヒューズ型電球は今の時代、入手は不可能です。

↑ 4CHの出力表示の小形の4つのVUメーターのバックライトにも2個セットされています。

↑ これで合計7個になります。
何か代わりに使用できるものがないかを検討いたしました。
最も可能性のあるのは「ヒューズ型LEDランプ」の採用です。
しかし、そのまま差し替えるだけでは使用できません。
LEDの電源はDC(直流)12Vです。
現在使用しているパイロット電源はAC(交流)6.3Vです。
次工程でLED用電源のDC(直流)12V電源回路を増設いたします。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」の修復修理の記録です。

↑ このSANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」に搭載のレコードプレーヤーは50Hz仕様ですが、
ご使用が60Hz地区になりますので、レコードの回転数が約12パーセント早く回転はしてしまいます。
昔はメーカーに50/60Hz交換用のモーターキャプスタンが用意されておりました。
もし、同機種の60Hzの中古プレーヤーが入手できればキャプスタンを取り外して交換すれば良いのですが今回は
不可能です。
機械的に改造するには50Hzから60Hzに変換するにはキャプスタンを既定のサイズに細く研磨することで可能です。
しかし、これは非常に難しく成功率は低くなります。
私の考案した、この「正弦波インバーター電源装置」を組み込む方法は「ヘルツフリー化」になります。
つまり、Hzに関係なく既定の回転数で動作をいたします。そして精度も高く安定いたします。
この機種に採用のレコードプレーヤーのフォノモーターの電気回路に「正弦波インバーター電源装置」で生成され
たAC100V電源をレコードプレーヤーのフォノモーターだけに供給いたします。
配線を合わせるため事前に仮接続を行い動作テストを行います。

↑ テストを始めました。

↑ テストは順調です。

↑ 「正弦波インバーター電源装置」から出力のAC100V電源の周波数は「50Hz」をキープしています。


↑ 良好です。



↑ ストロボスコープと蛍光灯照明で33回転と45回転の精度の確認を行いました。


↑ 電圧のAC106.Vは余裕を指しております。


↑ 次工程でパワーアンプの詳細点検を行います。

珍しい1970年代SANYO 4CHセパレートステレオ「DC-8600」の修復修理の記録です。

↑ センター部のみですが、横幅が59cmでセパレートステレオでは最大です。
まるで新品のようです。




↑ プレーヤーは一応回転しますが、50Hz仕様のため早く回ります。
カートリッジは取り外されておりますので代替えを取付けてテストを行いましたが、音出しOKです。


↑ 別のスピーカーを接続して点検いたしますと、電源は入りますが受信ダイヤル照明が不点灯です。
ダイヤル指針の赤ランプのみ点灯していますが、FMの受信が出来ました。
AMはNGですがセレクタースイッチの接触不良でしたが何とか受信が出来ました。

↑ 背面の様子です。

↑ シャーシーをキャビネットから取り外します。



↑ シャーシーの状態は外観状態とは真逆でホコリの堆積からも約半世紀を経た様子を物語っています。

↑ シャーシー上面の全体像です。

↑ シャーシー裏面の全体像です。

↑ 電源トランスの周辺部に発熱のため起きる対流でホコリが堆積してい様子が窺えます。


↑ レコードプレーヤーをキャビネットから取り外しました。

↑ プレーヤーボード裏面の様子です。

↑ 50Hz仕様のため正弦波インバーター電源装置を導入いたします。


↑ 50Hz仕様から60Hzに変換する正弦波インバーター電源装置はキャビネットの底部に設置いたします。
5年以上前に修復修理をいたしましたビクター大型真空管ステレオ「STL-670M」です。
この度ご愛用者ご自身で移設を終えられて電源を入れた時に白煙が出た為電源を切った。 と云う内容でした。
VOL1工程では「電源シャーシー」と「メインシャーシー」には決定的な原因となる異常は見当たりませんでしたが、
更に安全性を考慮したメンテナンスを行いました。
VOL2工程ではつながっているレコードプレーヤーの電気周りの詳細点検を行います。


↑ プレーヤーボードの表面には電気周りは露出しておりません。

↑ 裏面にはAC100V回路のパーツが存在します。
「3Pプラグ」「3芯配線」「スリーピングスイッチ」「スタート/ストップスイッチ」「コンデンサー」「フォノモーター」
全てにAC100Vが印加されます。

↑ しかし、プレーヤーが停止しているときはフォノモーターの直前で遮断されていますが、スリーピングスイッチ
があるため、一部には通電されています。

↑ 入念に調べましたが異常はありません。

↑ アイドラー軸とフォノモーターベアリングに注油を行いました。

↑ カートリッジと針先の点検清掃を行いました。

↑ フォノモーターのフィールド巻き線にも問題はなさそうです。

↑ 万一フォノモーターのフィールド巻き線がレアショートして過電流が発生した場合、モーター電源が切れる
ようにモーターに1Aのヒューズを取り付けておきました。
以前に修復修理をいたしましたビクター大型真空管ステレオ「STL-670M」ですが、ご愛用者ご自身で設置場所
を2階から4階へ移設の際に横幅140cmの大型重量のアンサンブルステレオの為、螺旋階段を縦移動で無理して
運び終り、設置が終わって電源を入れた時に白煙が出た為電源を切った。 と云う内容です。
異常があった時はすぐに電源を切ることは正しい処置です。
発煙と発火ではかなり緊迫度が異なります。

↑ 5年3ケ月前の2014年10月に修復修理をさせていただきました時の修理前の最初の画像です。

↑ 今回修理前の画像です。
お預かりして、とりあえずそのまま電源投入でテストいたしますと、正常に動作をしています。
長時間テストを行っても異常はありません。
こうなると厄介です。「症状が出ないと出るまで待つ」か、それとも「見込み修理」を行うことになります。
しかし「発煙」となると事情が変わります。 緊急に確実な修理が必要です。
発煙原因を探すことにいたします。

↑ 背面の遮蔽板を外した様子です。

↑ 電源サブシャーシーが左にありますが、最も確率が高いため最初に点検を行います。
参考画像と記事 2014年10月に修復修理を行った時の電源サブシャーシーの様子です。

↑ 最初の電源サブシャーシーの様子です。
ブロック型電解コンデンサーを全て交換いたしました。

↑ 電源サブシャーシー内の小さなペーパーコンデンサーが1個パンクしていました。
大型電解コンデンサーとペーパーコンデンサーを全て交換します。

↑ コンデンサーの内容物の破片が飛んでいました。

↑ コンデンサーの内容物のバラバラになったアルミ箔とバラフィン紙です。
以上が前回に修復修理を行った時の記録を掲載いたしました。
最も確率の高い回路ですので詳細に発煙現象につながる痕跡を調べます。


↑ 3本の金属皮膜抵抗に耐熱スリーブが被さっており一部が変色していますが、これは問題ありません。
現在、異常はありませんが今後の為に倍電圧整流回路の半導体整流素子(ダイオード)を交換いたします。

↑ 画像上が新しいシリコンダイオード 画像下が最初の取り外したダイオード です。

↑ 交換後の様子です。

↑ 次にレコードプレーヤーAC電源コース―ド・プラグ・スイッチ・コンデンサーなどをチェックいたしましたが、
怪しいところは見当たりませんが、スイッチ接点の接触不良の改善を行いました。

↑ 次はメインシャーシーを降ろして総点検を行います。


↑ 発煙が考えられる原因は、
●小型抵抗器に想定外の電流が流れて過熱して外被が焼けて煙が出ることがあります。
この場合は痕跡がはっきり残ります。
●コンデンサー類の場合は焼けることはありませんが、急激な発熱膨張で破裂する場合があります。
この場合は煙ではなく蒸気のような気体を放出いたします。
●配線のショートで被覆のビニールが焼けて溶ける場合は、電源ヒューズが切れます。
あらゆる角度から点検しますが、痕跡が見当たりません。



↑ 元通りメインシャーシーをキヤビネットに戻してテストを繰り返します。


↑ 音質・音量は素晴らしく、ノイズもなく安定しています。

↑ 最後に全真空管を1本づつ取り外して真空管の脚ピン(7本と9本の2種類)接触不良を修復のため
クリーニングを行います。
この作業中に出力真空管30A5-PP計4本のガラスバルブ表面に溶けたビニールがこびりついていましたので
綺麗に削り取りました。
この真空管は発熱が大きく4本が集中しています。
ビニール配線がタッチすると溶けて長時間で煙の出る可能性があるかも知れません。
配線はタッチしないようになっていますが、衝撃で固定部分が外れて接触する場合が考えられます。
断定は出来ませんが、150℃以上に上昇した場合は発煙の可能性は否めません。

↑ FMアンテナ端子の接続端子とシャーシー間のケーブルを交換しておきました。


↑ 結局最後まで症状は再現されずに、あらゆる角度から詳細に点検を行いながら再発防止の可能性を.
追求いたしました。
1979年頃のPIONEER 高性能ステレオカセットテープデッキ「T-3050」の修復修理の記録です。



↑ センダストヘッドを採用した薄型設計の高性能ステレオカセットテープデッキです。
電源は入りますがテープメカが回転いたしません。


↑ 薄型設計の筐体の上下のカバーを外してテープメカの点検を行います。
当時のものつくりは機能美が感じられます。 すばらしい・・・・・

↑ テープメカの修理を始めました。

↑ 予想通りメインベルト(0.5mm角ベルト)が劣化してのびのびになりトルクが伝導していません。
サイズを調べて交換を行いました。


↑ その他のベルトは劣化が少なく正常です。


↑ 動作テストを行います。


↑ オシャレな丸形VUメーターが早速躍動しています。



↑ 早送り、巻き戻し等の一連の動作を確認していますと、巻き戻しの場合のみ、テープエンドまで到達しない
僅か手前で停止してしまいます。
更に巻き戻しを行うとエンドに到達いたします。 その差はわずかですが、・・・・・

↑ 原因はテープ台軸に付いているゴムタイヤ式の極小プーリーのゴム輪の摩耗のようです。
残念ながらこれは対策が出来ません。
致命的な状態ではありませんが・・・・・

↑ しかし、何とかなるのではないか、
「クリーニング」は難しそうですが、やってみましょう。
奥まった狭い隙間から綿棒を差し込んで表面は見えませんが何度も入念に行って、テストを繰り返しました。
改善の気配があります。
更に続けますと、驚くほど効果が現れました。
テープエンドまで到達するとセンサーが働きパチンとスイッチレバーが戻ります。


↑ テープヘッドをクリーニングしておきます。
録音・再生テストを行いました。 正常動作を確認いたしました。

↑ L/Rの録音・再生スイッチに接点復活剤を注入しておきます。

↑ これほど高性能なカセットデッキのアナログステレオの音は素晴らしく、テープの音源にもよりますが
何度聞いても飽きない音でしょう。
昨年末のSANSUI 真空管セパレートステレオ「APS-310」にエラックオートチェンジャープレーヤーを組込セットの
設置画像をお送り頂きましたので、ご紹介をさせていただきます。



↑ 設置画像のご紹介です。
◎お願い
過去に修復修理をさせていただきました機器以外でも結構ですのでご愛用の設置画像をお寄せください。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55TS」の修復修理の記録です。
チューナーアンプは正常とお聞きいたしておりました。
プレーヤーを組み込みましてテストを行います。

↑ スピーカーをお預かりいたしておりませんので、小型スピーカーを接続してテスト中の様子です。


↑ 音量調整のスライドボリュームにガリがありましたので接点復活剤を注入いたしました。

↑ シャーシーは取り外さずにプレーヤーの開口部からホコリの清掃を行っておきます。

↑ シャーシーの背面板はパワートランジスタの取り付けられたアルミ製のヒートシンクを兼ねたものになっています。

↑ このステレオの操作パネルのラジオダイヤルスケールは珍しく横軸がAMラジオ、そして縦軸がFMラジオに
なっています。

↑ チューニングインジケーターの指針はラジオ受信電波の強弱により振れ方が変化いたします。
バーアンテナの指向性によりセットの設置の向きにより感度が極端に低下いたします。
その時はAM補助アンテナ線を取り付ける必要があります。

↑ STEREO RADARの赤ランプはFM STEREO電波を感度良く正常に受信したときのみ点灯いたします。
FM簡易アンテで受信の場合は点灯しない場合があります。



↑ AM/FMジオ受信テスト中の様子です。



↑ レコードプレーヤーの動作テスト中の様子です。 良好です。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55TS」の修復修理の記録です。
SSL-95のプレーヤーと全く同じ形式の.プレーヤーが搭載されていますが、少し変更されている箇所があります。
故障状態も同じでターンテーブルが回転いたしません。


↑ 珍しいダブルアイドラー方式です。 モーターの回転振動を極力押さえるための2重構造です。
ベルトドライブがまだ普及していなかった時代の最良の方法です。


↑ フォノモーターをマウントしている防振ゴムの経年劣化でゴムがのり状に変質してモーターの重さでめり込んで
位置ズレが激しくスピンドルとアイドラーの接触が出来ず、ターンテーブルか回転いたしません。

↑ 劣化した防振ゴムを取り外して、交換を行います。




↑ 新しい防振ゴムに交換を行いました。


↑ 交換後、側面から見た様子です。



↑ モータースピンドルとアイドラーの高さを合わせます。

↑ 回転テストを行います。
フォノモーターの回転トルクが伝導してターンテーブルは回転しますがアームのオート動作が出来ません。
セミオートプレーヤーメカを全て点検を行いながらテストを続けますが不具合箇所が見当たりません。

↑ この画像内には不具合箇所は発見できません。

↑ 原因不明の様相ですが、全てを探究中に一、二度なんとなくオート動作を行いそうになったのを見逃して
おりませんでした。
そこで、再度、アームコントロールの大型ギヤを取り外して詳細に点検をはじめました。


↑ 取り外した大型ギヤの裏側です。 単純構造です、

↑ 取り外した大型ギヤ表側です。 緻密な構造です。 ここしかない予感がします。
最初から、何回もチェックを行っていますが、怪しそうな気配は確認出来ません。
しかし、今はなんとなく怪しそうに感じます。
矢印の箇所が微妙です。この構造はビクターのプレーヤーでは多数遭遇していますので別段珍しんありませんが
今回は違います。
↓ 超拡大画像です
直径約1.5mmほどの超小型スプリングの片方が真っ直ぐに取れつけられず、少し斜めになりスぬ゜リング効果
が失われておりました。(画像は真っ直ぐに嵌め直したものですギヤの歯の.大きさと比較して細さがわかります)




↑ 動作テスト中の様子です。 正常動作を続行中です。

昨年中は一方ならぬご厚情を賜りまして心より感謝申し上げます。
レトロオーディオを愛する方々と共に、いのちの続く限り探究をいたしてまいります。
今後とも、どうぞご支援ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
皆様方のご多幸をお祈り申し上げます。 令和2年元旦
ヨネデンレトロオーディオ再生工房 米川 勇
※ 時代の流れにより年賀状の有り方に変化が顕著になって参りました。
毎年、年末の繁忙期に大量の年賀はがきの自作を続けてまいりました
昨年は遂に時間が取れず、時流に合わせまして「WEB年賀状」となりました。