
↑ 予てよりお預りしておりました1940年代ゼネラル真空管式5球スーパーラジオです。

↑ 通電可能ですが、ボリュームの猛烈な接触不良です。
接触面を見つけ、かすかに電波の受信を確認できます。



↑ シャーシー内部からボリュームを点検いたしますが、当時のボリュームは密閉式で接点復活剤の注入孔が
ありません。
仕方なく、金属カバーの一部に孔を開けて、そこから接点復活剤を注入して、すり合わせを行い復活いたしました。
劣化した電源コードを交換いたしました。

↑ ラジオのダイヤル調整がスムーズにできない原因が素人修理の木綿糸使用で掛け方不備の為
ダイヤル専用ナイロンロープで掛け替えを行いました。

↑ 使用不能の木綿糸です。

↑手前のダイヤルバックボードを取り付けます。

↑ ダイヤル指針を取り付けます。

↑ キャビネットに組み込みます。

↑ テストの様子です。

↑ アンテナ線が50cmしかなく感度不足の為2.6mに付け替えました。

↑ バックガードが不在の為、丈夫な樹脂製ネットを貼り付けました。
完成です。

予てよりお預かりいたしておりました1960年代前期「SG-640」の日立真空管式ステレオ修復修理の記録です。
今回は最終工程になります。
仮組み込みのキャビネットからチューナーアンプシャーシーとレコードプレーヤーを再度取り外しまして残りの作業
を行います。

↑ 今は何とか大丈夫でも、これから5年先、10年先のことを考えた対策をいたしておきます。
電源一次側は常時AC100Vのコンセントに繋がっております。
60年前のコードがそのままでは不安ですのて前工程で交換を行いました。
最終工程では万一の時に電源を遮断する電源ヒューズの取付部の「ヒューズホルダー」を交換いたします。

↑ 電源ヒューズホルダーの接触片が経年劣化で腐食があり金属疲労でゆるみも出そうです。
普通は片側(1P)ですがこの機種は両側(2P)です。3Pを使用していますのは、110V切り替用タップが付いて
いるためですが、日本国内では100Vで使用しますので2PでOKです。

↑ 取付ネジ穴の位置が変わりますので穴あけを行い取り付けをいたします。

↑ 新しい電源ヒューズホルダーを取り付けて配線を行いました。

↑ 2Aのガラス管ヒューズを取り付けました。..


↑ 赤◯印のスピーカーを駆動させる出力トランスの一次側のコンデンサーの劣化があります。

↑ 赤◯印の出力トランスの一次側のコンデンサーを交換いたしました。

↑ 今後使用中にレコードプレーヤーのフォノモーターのスタート/ストップのスイッチから発生するスパーク
によるノイズを防止するコンデンサーのショートが起きる確率が非常に高いため交換を行っています。
ショートした場合は停止しなくなります。

は

↑ 後部カバーの一部が折損していましたので金具で補修をいたしました。




↑ 最終エージングテスト中の様子です。

↑ AUX端子に接続したCDプレーヤーからエージングテスト中の様子です。


廃棄か存続か危ぶまれた状態から見事に復活を遂げました。
製品の材質が良く家電文化財的な価値だけではなく実用的に耐える家電品として存続ご愛用できるように
蘇りました。
当時は現在の貨幣価値で高級車1台分に匹敵する贅沢品として高額な物品税が課せられておりました。
生きた家電文化財として後世に伝わればと思います。

予てよりお預かりいたしておりました1960年代前期日立真空管式ステレオ「SG-640」の修復修理の記録です。

↑ 脚部の修復塗装を行いました。
脚部の先端部の金メッキの金具は真っ黒に酸化していました。
金色の塗料を塗布しましたが、地色が黒いため4回重ね塗りを行いました。画像では黄色に見えますが、
もう少し金色に近くなります。 キヤビネット関連はここで一旦中断いたします。
続いてアンプ部の強化に関連した修復を行います。

↑ レトロオーディオの電源回路の故障率が最も高くなります。
特に交流電源から直流電源を生成する「整流回路」関連の故障です。
整流真空管又は整流半導体(ダイオード)と大容量電解コンデンサーの組み合わせになります。
電圧も高く200V~300Vになります。
半世紀の間に劣化したまま、通電して直ぐに弱点が出て故障になる場合と使用後に起きる場合があります。
最も多いのが大容量電解コンデンサーの破裂と、次に整流ダイオードの短絡です。
修復修理でテスト中に起きる場合もあります。
電源トランスの左に整流タイオードとブロック型大容量電解コンデンサーです。
ブロック型大容量電解コンデンサーは 100μF300WV×1 20μF300WV×3の4個の電解コンデンサーか
1つのアルミニウムの缶体に収められています。しかし現在は生産していません。



↑ ブロック型大容量電解コンデンサーは、
単体の大容量電解コンデンサー 100μF400WV×1 47μF400WV×3の4個の電解コンデンサーを使用して
回路配線を改造して交換を行いました。

↑ 一部の不良チューブラーコンデンサーの交換を行いました。


↑ 交換後の様子です。

↑ 交換したパーツです。 劣化のAC100V電源コードも交換を行いました。
全て「安全安心」の対策です。

予てよりお預かりいたしておりました1960年代前期日立真空管式ステレオ「SG-640」の修復修理の記録です。
経年劣化したキャビネットの修復で再塗装とスピーカーサランネットの交換を開始いたします。
このステレオは側面にスピーカーが組み込まれて更に調整用の扉があります。
分解してサランネットの交換から始めます。

↑ 左スピーカー

↑ 右スピーカー

↑ スピーカーを付けたままL型構造のスピーカーボードを取り外します。


↑ スピーカーボードはネジ止めにラッカーなどを塗布して固めてあります。
そのため取り外す場合にネジが緩まないため止めネジを切断しなければならない箇所もあります。






↑ キャビネットから取り外したスピーカーボードです。


↑ スピーカーボードから劣化したサランネットを剥ぎ取ります。
周囲のホッチキス止めを外しながら丁寧にはずしていきます。
交換用のサランネットは「ベージュ」 「ブラウン」 「ブラック」などから適当なものを使用いたします。

↑ 「ブラウン」にいたします。 ↑ 「濃いベージュ」は伸縮性が少ないためパス



↑ サランネットの張替え完了です。
光の具合により実際の色彩風合いが画像と少し違いますが、非常にマッチングしています。

↑ キャビネットの修復塗装が終わってから取り付けを行います。

予てよりお預かりいたしておりました1960年代前期日立真空管式ステレオ「SG-640」の修復修理の記録です。

↑ レコードプレーヤーも露出度が高く相当劣化が進んでいます。
特に金属精密部分とゴム素材の箇所とクリスタルカートリッジなどを修復いたします。

↑ ターンテーブルを取り外した状態です。

↑ プレーヤーボード裏面のメカ部の状態です。

↑ フォノモーターとマウント部分の劣化の状態ですが、
この種のプレーヤーでは珍しく2重防振構造のマウント方法を採用しています。
これはフォノモーターの回転振動を極力少なくするための入念な方法です。
劣化した防振ゴム交換の難易度は高くなります。



↑ フォノモーターの取付板に3箇所とプレーヤーボードに3箇所で合計6箇所の防振ゴムの交換を行います。
先ずフォノモーターの取付板にモーターが付いたままプレーヤーボードから取り外します。

↑ そして、劣化している3箇所の防振ゴムを取り外して新しい防振ゴムに交換を行います。




↑ 新しい防振ゴムに交換を終わった7.5cm×12cmのフォノモーター取付板をプレーヤーボードに
3箇所の防振ゴムを新しい防振ゴムに交換を行いながら取り付けます。

↑ レコードプレーヤー全体のクリーニングを行います。




↑ 速度調整円板の付いたスピンドルの位置調整を行います。

↑ 最初のテストでクリスタルカートリッジの劣化を確認しておりましたので、
新しいセラミックカートリッジに交換を行います。


↑ 画像左 劣化のクリスタルカートリッジ 画像右 交換用の新しいセラミックカートリッジ

↑ セラミックカートリッジはLP/SP兼用ですので、
旧式クリスタルカートリッジのようにターンオーバー式ではありません固定式です。

↑ テスト中の様子です。 良好です。 エージングテストを続けます。

予てよりお預かりいたしておりました1960年代前期日立真空管式ステレオ「SG-640」の修復修理の記録です。

↑ サイズ W1140 H400 D360mm (別途340mm脚があります)
4本脚で左右両スピーカーのステレオタイプの電蓄は珍しい時代の製品です。
正しくは「初期のアンサンブルステレオ」です。
当時はまだFM放送もありません。
この時代にMW(AM)放送の2波(2つの放送局の電波)を使用してステレオ(立体)放送を実験放送として行われ
ていました。
当時、私達は2台のラジオを左と右に置き左をNHK第1放送こ合わせ右をNHK第2放送に合わせて実験放送の
電波を受信してステレオ感を体験したのです。
この日立「SG-640」は2台の電蓄を組み込んだ製品として当時の一歩先を行っていました。.
MW(AM)放送の2波(2つの放送局の電波)を使用したステレオ(立体)放送は立ち消えになりました。
その後まもなくFMステレオ放送が実用化されました。







↑ 60年以上経っていますので経年劣化が進んでおります>

↑ 電源プラグの状態を見てこの機器の過去がある程度の判別できます。

↑ 背面から見た様子です。

↑ 通電して点検の為シャーシーを取り外します。

↑ 長年堆積したホコリを取り除きました。

↑ 点検の為、通電いたしましたが、パイロットランプは点灯しますが動作はいたしません。
そして、しばらくすると、なんとなく熱気が感じられます。
急遽電源を切り、点検しますと、電源トランスが異常に熱くなっています。
原因は電源ヒューズの入れ違いです。
画像右下のヒューズホルダーに3本のヒューズが取り付けてあります。
これは、間違いです。 2本で良いのです。 110V用のタップは電圧の高い時などに使用いたします。
通常電源ヒューズは1.5A又は2Aです。 使用されていたのは自動車用の10Aを2本と20Aを1本でした。
仮に間違って3本使用しても1.5A又は2Aでしたら、即断しますから事故にはなりませんが、
電気知識のない方が切れない大きなものを入れたものと思います。

↑ 通電して点検を開始いたします。
回路電圧チェックを行い2つのラジオ受信回路をテストしますが、動作をいたしません。
先ず、全体的にセレクタースイッチと各ボリューム類の接触不良が激しいため、接点復活剤を噴射注入
して擦り合わせを行いました。
その結果、かすかに電波の受信が確認できますが、スーパーヘテロダイン回路が正しく動作をしていません。

↑ シャーシー内部の様子です。




↑ スーパーヘテロダイン回路内の局部発信回路のコンデンサーの不良交換を発見して交換を行いました。
画像 左 不良の400PF小容量コンデンサー 画像 右 良品の400PF小容量コンデンサー






↑ 2A電源ヒューズに交換いたしました。
次工程に進みます。

1960年代初期のビクター真空管式セパレートステレオ「SSL-95」の修復修理は2019年12月に完成いたしましてお届けいたしておりましたが、この度、突然の予期せぬトラブルが発生いたしました。
トラブルの原因は1本の真空管の不良でした。

↑ 当時の完成画像です。
↑ 自分の記憶では手持ち在庫の中に6BM8が有ったような気がします。
探して見ましたら東芝真空管で8B8が見つかりました。
この東芝真空管8B8は6BM8と同規格の高性能3極5極複合真空管ですが、ヒーター電圧が8Vです。
6BM8はヒーター電圧が6.3Vです。 しかし、この差は心配いりません。
省エネと寿命の点では有利になります。
これを使用いたします。

↑ 画像右が東芝製8B8です。

↑ 画像右奥に使用いたしました。 動作は良好です。


↑ シャーシーをキャビネットにセッティングして梱包を行います。


↑ 梱包を完了いたしました。

1960年代初期のビクター真空管式セパレートステレオ「SSL-95」の修復修理は2019年12月に完成いたしましてお届けいたしておりましたが、この度、突然の予期せぬトラブルが発生いたしました。

↑ 当時の完成画像です。

↑ 修理の為、センター部分のみお送りいただきました。
幸い万一の為、梱包資材を保管いただいておりましたので、少しはお役に立ったと思います。

↑ 早速シャーシーを取り外して点検を行います。


↑ いつもの120%の修復作業にも落ち度があったのか? 緊張の一瞬です。
シャーシーの底部にはボードがあります。
ボードを外さなくても予想通り小型電解コンデンサーのパンクでした。

↑ 飛び散ったコンデンサーの内容物がそれを物語っています。


↑ パンクした電解コンデンサーを取り除いて、R/L共新しい電解コンデンサーを交換取り付けを行いました。

↑ 出力真空管6BM8 PPのカソードのバイパスコンデンサー30μF25Vには通常約15Vの電圧がかかっています。
しかし、何かの異常によりその数倍の電圧がかかりパンクしたものと推察されます。

↑ L側スピーカーからバリバリと猛烈なショック音が出ておりましたので、電源即断を行いました。
スピーカーのボイスコイルを飛ばすほどの強烈なショック音です。

↑ 原因は出力真空管6BM8 PPの1本の真空管の内部電極タッチスパークによるバリバリ音です。

↑ 画像の黄色◯印の部分が黒く焦げているのが内部電極の管内放電によるものです。

↑ 画像下は正常な状態です。

↑ 出力真空管6BM8 の調達を待ちます。

↑ 片チャンネルにてテストを続けます。

エージングテスト中にプレーヤーが始動時に回転が遅く立ち上がりが不安定な状態が見つかりました。
プレーヤーの修復を行います。

↑ プレーヤーに関しましては殆ど問題は発生していなかったのですが、
33回転スタートの始動時にスロー過ぎる状態が見つかりました。
ベルトのスリップの様子でした。
ターンテーブルを外して見ましてもその気配はありません。

↑ ベルトの劣化はありません。

↑ プレーヤーボードの裏面の様子は・・・・・と見ますと、フォノモーターの様子がおかしいです。

↑ 取り付けが、不自然に傾いています。

↑ 防振ゴムが1箇所陥没しています。

↑ 防振ゴムが経年劣化でもろくなり、脱落していました。

↑ 3箇所の防振ゴムを取り外して、新しく交換を行います。
1箇所の防振ゴムが陥没したためモータースピンドルが傾いてスリップの原因になりました。


↑ 3箇所の防振ゴムの交換を完了いたしました。

↑ 劣化した防振ゴムです。


↑ テスト中の様子です。



↑ フルオートメカの様子です。



↑ 確実な動作を確認いたしました。

原因不明の4CHトランジスタアンプの厄介なノイズでしたが予想通りの展開で修復に成功いたしました。
その他の点検とプレーヤーの状態を確認しながらテストを行ってまいります。

↑ ノイズ発生予備群の同じトランジスタを交換しておきます。
黄色の◯印はプリアンプ「フロント右」 「リア左」 「リア右」 を2SC1815Yに交換を行いました。

↑ プリアンプ基板全体には多数のトランジスタが存在しますが、すべての交換は必要ないと思います。




↑ プレーヤーには現在問題点は出ておりません。

↑ エージングを続けます。

昨年にアンプシャーシーとプレーヤーをお預かりしておりましたが、大変お待たせをいたしました。
原因不明の4CHアンプの内部ノイズの修復を進めてまいります。

↑ アンプシャーシーは増幅トランジスタの内部ノイズの発生の原因究明と修復修理を行います。
プレーヤーは全体的なメンテナンスを行います。


↑ 別途スピーカーを接続して回路点検を行いました。
フロント左からメインボリュームをゼロ状態で「ゴソゴソ、ジリジリ」と 常時TRの内部ノイズを確認
できました。

↑ 発生源がパワーアンプ基板内かプリアンプ基板内かに切り分けを行いながら究明を進めます。

↑ 点検テスト中に一瞬左アンプの音量が低下する現象がありました。
しかし、その後は異状は認められませんでした。


↑ フロント左に不具合が確認されましたので、コンプリメンタリー 回路構成のパワートランジスタ
に問題がありそのまま、増幅部ノイズの究明に進む前に正常な状態に整えておきます。

↑ コンプリメンタリー接続のパワートランジスタHITACHI 2SC1061/2SA755は現在入手不能の為
同規格の代替えとしてTOSHIBA 2SD234/2SB434に置き換えて交換を行っておきます。

↑ 取り外したトランジスタです。


↑ 交換後テストを続けますと、確かに時間が経つとノイズが質が変わりましたが、ノイズが残っています。


↑ このノイズはプリアンプ基板内にあることを断定いたしました。
赤◯印のHITACHI 2SC1345がノイズ源です。

↑ HITACHI 2SC1345の代替としてTOSHIBA 2SC1815Yを使用して交換を行いました。
長時間の動作テストでいかなるノイズの発生もなく好調に動作を続けております。