
1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55TS」の修復修理の記録です。SSL-95のプレーヤーと機構部が全く同じ形式のプレーヤーが搭載されていますが、少し変更されている箇所があります。
故障状態は難易度の高いソリッドステートカートリッジの針交換中にトラブルが発生しています。
ダブルアイドラー方式のメカとその他の駆動系メカにも不具合があります。 重症のプレーヤーです。
真空管時代からソリッドステート(半導体トランジスタ)に.移行した初期の製品です。
フルメンテナンの記録です。
チューナーアンプシャーシーとプレーヤーのエージングテスト行なっておりましたが、
愈々シャーシーをキャビネットにマウントしてテストを行います。
これは環境の変化により潜在的な不具合を浮上させるために行うエージングテストにもなります。

↑ シャーシー組み込み前に、電源コードの交換をいたします。
これは、今後の「安全安心」使用の為に行います。
60年前の劣化した電源コードが、将来まで100ボルト電源に接続する時に安全に対して不安があります。


↑ 新しい電源コードに交換を行いました。

↑ キャビネットの内部を清掃してシャーシーを組み込みました。



↑ 次の工程でクリーニングを完了したプレーヤーの組み込みを行います。

↑ 外部FMアンテナ無しでFM放送が受信可能な内蔵簡易FMアンテナを300Ωフィダー線を使用して
手作りを行いキャビネットの背面に取り付けました。


↑ 外部に取り付けの大型FM専用アンテナには敵いませんが、FM電波の波長から計算しています
ので放送電波を効率よく受信いたします。
しかし、指向性があるため、ステレオを設置する向きにより受信感度が変化致しますので、
完全ではありませんが、結構重宝する簡FMアンテナです。
次工程でプレーヤーの組み込みを行います。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55TS」の修復修理の記録です。SSL-95のプレーヤーと機構部が全く同じ形式のプレーヤーが搭載されていますが、少し変更されている箇所があります。
故障状態は難易度の高いソリッドステートカートリッジの針交換中にトラブルが発生しています。
ダブルアイドラー方式のメカとその他の駆動系メカにも不具合があります。
重症のプレーヤーです。フルメンテナンの記録です。
真空管時代からソリッドステート(半導体トランジスタ)に移行した初期の製品です。

↑ センターのみをお送りいただいておりました。
プレーヤーとチューナーアンプシャーシーをキャビネットから取り外しました。


↑ 先ず気になるところですが、プレーヤーから詳細点検を行います。
難易度の高いソリッドステートカートリッジの針交換中にトラブルが発生しています。
この当時の最先端のソリッドステートカートリッジですが、カートリッジシェルの脱着不可能の為
針交換は難しく、メーカーSSが行うことになっていたようです。
無理にソリッドステートカートリッジを取り外したため極細の出力線が断線したようです。
当時この厄介な「ソリッドステートカートリッジ」は他メーカーも採用されていました。
しかし、一時的で長続きは致しませんでした。
今回、このまま修復を試みましても、今後の寿命と針交換時に同様の問題が発生することは避けられません。
そこで、この際、一部改造に困難は伴いますが、最も信頼性の高い針交換が簡単で音質の良い「MMカートリッジ」に換装
する事にいたします。

↑ 固定式シェルに収まるMMカートリッジを準備いたします。
シェルのカートリッジマウント用の「コの字型金具」の幅10mmに合致するMMカートリッジが必要です。
↓ 持ち合わせ在庫の中から適当なものが見つかりました。

↑ 幅10mmに合致するMMカートリッジが見つかりました。
↓ カートリッジの両サイドの取り付けネジ貫通孔の部分を切り取り、更にヤスリで少し削ります。



↑ ピッタリ収まりました。 軽く接着剤で固定いたします。
↓ 専用ダイヤモンド交換針を挿入いたしました。(この交換針は今後も入手可能です)

↑ MMカートリッジの端子がやゃ太くなりますので合致する接続片4個を付け替えておきました。

↑ R/L出力線を接続してMMカートリッジの換装が完了いたしました。
カートリッジの換装が終わり、音出しテストを行いたいところですが、
レコードプレーヤーのメカに不調がありましてターンテーブルの回転やすべての動作が完全ではありません。
プレーヤー機構部の点検修理を行います。


↑ ターンテーブルを取り外した様子です。
左手前の33/45回転切換えのレバーがロックして全く動きません。

↑ 潤滑剤を注入して擦り合わせを行い、何とか動き切り替え可能になりました。

↑ オートリターンギアの動作もギクシャクして時々誤動作を繰り返します。
潤滑剤を注入して擦り合わせを行いました。

↑ リターンギアの不具合が続きますので、繰り返し根気よく修正を行いました。


↑ 可動部分すべてが、枯渇していますので、潤滑剤や注油を行い、動きを滑らかにしていきます。



↑ ターンテーブルを載せて、レコードの回転と音出しを行っています。

↑ 順調にきれいな音が出ていますが、MMカートリッジは、以前のソリッドステートカートリッジよりも
出力電圧が低いためアンプのボリュームを最高にしないと明らかに音量不足を感じます。




もう既にカートリッジ換装計画の時点で音量不足は分かっており、PHONO増幅回路の強化を考えておりました。
現状での音出しの結果により実施と決めて改造作業を進めておりました。
次工程で公開をさせていただきます。
次工程にご期待を
半世紀前のビクター真空管式ポータブル電蓄「SPE-8200」の修復修理の記録です。


↑ 「正規の回転数にならない、回転が遅い、回転ムラもある」という状態です。
「回転が遅い」と「回転ムラ」は原因が分かれます。
↑ 「回転が遅い」・・・この原因は50Hz圏内なのに60Hz仕様のプレーヤーの為約10%程回転数が
遅くなります。
60Hz仕様のプレーヤーを50Hzに対応させるためには50Hz用モータースピンドルに交換の必要があります。

↑
50Hz用の「SPE-8200」の中古品からモータースピンドルを取り外して使用することにいたしました。

↑ 60Hzのモータースピンドルを取り外します。


↑ 50Hz用モータースピンドルに取り替えました。

↑ アイドラー軸のクリーニングと注油を行い、50Hz用モータースピンドル取り付けを完了いたしました。

↑ 少し太いスピンドルで回転が確実に速くなります。 速度調整レバーで余裕で調整を行います。

↑ 確実に正規の回転数で安定回転を維持しています。

↑ 音質・音量も良好です。

↑ ターンテーブルマットを取り付けておきます。


↑ 部品取りの「SPE-8200」中古品から50Hzモータースピンドルを取り外した様子です。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55T」の修復修理の記録です。

↑ レコードプレーヤーのエージングテストは順調で回転も安定して、ソリッドカートリッジの音質も
良好です。
綺麗にクリーニングを完了してキャビネットに組み込みを行いました。 (完成画像)


↑ どんどん修復が進みますと、益々愛着が深まります。


↑ 希少なソリッドステートカートリッジはいい音がしています。





↑ FM簡易アンテナを取り付けましたのでFMの受信が良くなりました。


↑ このやや小型のSSL-55Tはスピーカーをお預かりしておりませんでしたが、
オリジナルのスピーカーの接続が楽しみになります。
SONY業務用拡声装置付カセットレコーダーTCM-1390の修理のお問い合わせを頂きました。
早速、宅急便でお送り頂きました。

↑ メインベルトの交換で修理完了後のエージングテスト中の様子です。

↑ 分解を行いベルト交換をいたします。


↑ 分解方法の複雑な分解が進み伸びたベルトが発見できました。


↑ 伸び伸びのベルトを取り外しました。

↑ 新しいベルトを取り付けました。

↑ 組み立てを行い完成です。

1970年代TRIO 4チャンネルステレオ「ST-5V」の修復修理の記録です。
予てより兵庫県より直接お持ち込みを頂いておりました。
大変お待たせいたしておりましたが、やっと完全修復作業の開始となりました。

↑ 1970年代TRIO 4チャンネルステレオは4チャンネル時代の製品です。
「ST-5V」 「ST-7VD」 「ST-8VD」等が ありました。
ラジオは何とか入りますが、レコードプレーヤーは動作を致しません。
全体的に完全動作を目指してメンテナンスを行います。


↑ 電源が入り、AM/FMラジオが受信できます。
セレクタースイッチやボリュームなどにレトロオーディオ特有の劣化ノイズ(ガリガリ音)が発生しています。
これらはシャーシーを取り外して修復を行っていきます。


↑ レコードプレーヤーが動作不全の状態です。

↑ ターンテーブルも普通は手で軽く回して空回りをしますが、動きません。
無理やり力いっぱい回しますと回転軸が回らずターンテーブルだけがずれ動きます。
これは明らかに回転軸がロックしています。

↑ 潤滑剤を注入して回そうとしますが、効果がありません。

↑ ターンテーブルボードから回転軸を取り外して、処置を行います。

↑ ターンテーブルボードから回転軸を取り外しました。

↑ 最後の手段として「加熱処理」を行い軸受けから回転軸を抜き取りました。
回転軸と軸受けを清掃いたしました。

↑ 軸の最下部のベアリングボール球が油切れもあり摩耗して、経年劣化で破片がさび付いて固着して
びくとも動かない状態になっていました。

↑ 最下部のベアリングボール球が無い状態でも低速回転で影響はありません。
注油して組み立てを行いました。


↑ 動作テストは良好です。





↑ カートリッジは問題なく動作をしております。


↑ スピーカーを接続しての点検テスト中の様子です。


以上が初期点検の結果です。
次工程はシャーシーを取り外して詳細な点検作業を続けます。
1970年代PIONEERマルチアンプセパレートステレオ「S-77」の修復修理の記録です。
このPIONEER「S-77」の修復修理は少々複雑な経緯があります。
最初はレコードプレーヤーのみの修理依頼がありましたが、修理不能の結果、センター部本体をお送り頂き
別の稼働品のプレーヤーを載せ替えることになりました。

↑ PIONEER S-77 センター部です。
S-80isやS-88などSシリーズは4CH前のマルチアンプ 構成で音のいいステレオでした。

↑ 修理不能のレコードプレーヤーです。
修理不能のに至るまでの修復修理の作業内容はカメラ撮りの余裕もない状態で集中致しました。
① ピックアップアームが支点ジャイロ部分から取り外されています。ウエイトも脱落。
② アーム内部を通っているカートリッジから極細出力ケーブルがパイプアーム出口で断線修理形跡あり。
③ カートリッジシェルのマウント部分が欠損しています。シェル支持金具も欠損。
④ フルオートメカ部分の不具合多数。
⑤ 1~5のすべてを仮修復を行い、テストの結果、どうしても片方の音が出ません。
⑥ 動作テストを繰り返す内にリターン用コントロール部に致命的な不具合が発生いたしました。
◎ この時点で修復を断念いたしました。



↑ ご依頼者と相談の結果、同型中古プレーヤー動作品を載せ替えることにいたしました。

↑ シャーシーを取り外しました。 プレーヤーヤー換装前にシャーシーの点検を行っておきます。

↑ ダイヤルバックライト 交換後の画像です。
最初に電源投入した時点でダイヤル面の暗さが気になっていました。
AC8Vのガラス管ヒューズ型の電球2個で左右から透過する方法です。片方が断線しています。
現在、ガラス管ヒューズ型電球は入手が難しくなっています。
自動車用のルームランプなどに使用されているLEDタイプのものを使用いたします。
通常LEDはDC電源の使用ですが、最近はAC/DC両用もあります。

↑ きれいに明るくはっきりいたしました。


↑ 操作パネルを取り付けました。


レコードプレーヤーの組み込みを行います。
プレーヤーは組み込みの場合は同系列のものでないと、開口部の形状により収まりません。



↑ プレーヤーの換装が成功いたしました。

↑ レコード演奏テストを行います。




↑ 全てのオート動作が行われました。


↑ カートリッジの動作も良好で問題ありません。

↑ FM放送が外部アンテナ無しで受信できるようにFM簡易アンテナを取り付けておきます。
この機種以降ではメーカーで取り付け済になっています。

↑ 外部アンテナ無しでFM放送が手軽に聴けることは、レコード以外に楽しみ方が広がります。

↑ FMステレオ放送受信時のチューニングインジケーターとFMST表示ランプです。

↑ 画像右がLEDランプです。
SONY拡声装置付カセットレコーダーTCM-1390の修理のお問い合わせを頂きました。
早速宅急便で送られて来ました。

↑ 完成後のテスト中の様子です。

↑ 点検では症状は時々回転ムラが発生するようです。


↑ 分解を行います。

↑ メインベルトが伸びています。

↑ 新しいベルトに交換を行いました。
交換時は、注意しないと小さなスプリングが外れたりすると、元へ戻すのに苦労する場合があります。

↑ 基板を元へ戻して組み立てを行います。

↑ 完成です。 エージングテストを行います。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55T」の修復修理の記録です。



↑ セパレートステレオでオールトランジスタ 採用初期の製品の為、シャーシーの構造とプリント
基板がかなり古めかしく感じます。
セレクタースイッチや各ボリュームにレトロオーディオにはガリを避けて通れない感がありますが、
その他に目立った不具合はありません。

この機種にはマニアックなスライドボリュームが使用されています。
直線的な調整が流行していました。 全てのスライドボリュームに接点復活剤を噴射して擦り合わ
せを行いました。

↑ 背面の入出力パネルは大型のパワートランジスタの放熱を兼ねたアルミ板です。

↑ 目立ったホコリの清掃を行いました。




↑ テスト中にノイズの発生などの不具合はありません。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55T」の修復修理の記録です。


↑ センターキャビネットが通常よりやや小型の為作業台に乗せて修復修理を行います。


↑ 回転数が速すぎる原因を調べます。
元々の使用状態が不明ですが、シンクロナスフォノモーターの「切り替えタップ」が「50Hz側」にセットされて
いましたので50Hzで使用されていた公算が大きいと思います。

↑ 50Hz用を当地の60Hzで回しますと当然回転数は極端にアップいたします。
そここで、「正弦波インバーター電源」を使用して50Hzで回して見ます。

↑ 50Hzで回しますと回転数は確かに落ちました。
しかし、それでも楽曲を聞いてはっきりわかるほど回転数が速すぎます。
33回転で45回転EPが少し遅い程度です。
この時点で原因がはっきり致しました。
これは相当前に誰かがスピンドルを交換するときに偶然誤って違う機種のスピンドルに交換したようです。
分かりやすく言いますとサイズの太いスピンドルを使用したようです。

↑ テスト用の小型スピーカーを接続して修復作業を行っていきます。



今回のターンテーブルの回転数の修復方法は「正弦波インバーター電源」は使用不可のため、
正規のスピンドル交換しかありません。
しかし、これは入手不可能なため、最後に残されたのは「スピンドルの研磨」しかありません。
このスピンドル研磨にはコンピューター化された高価な精密旋盤が必要です。
そこで、以前から実験的に研磨方法を試した結果、最善の方法を会得致しました。
今回はその方法で研磨を行い最適値に近い状態にもっていきます。
(:研磨時の様子の公開は控えさせていただきます)

↑ 研磨の最初は45回転の太い方から研磨して少しずつ変化を確認しながら削っていきます。
アイドラーとスピンドルの接触面は平坦で段差があってはならない為、直径が1.5~3mmの真鍮製
スピンドルの研磨はコツがいります。 削りすぎると失敗します。
45回転スピンドル下側の部分が上部の33回転部分とほぼ同じ太さまで細く削り込みました。

↑ 続いて上側の33回転部分を細く研磨して削っていきます。

↑ 削りすぎや偏りや僅かな凹凸の無いように少しずつ目視で変化が分からない為、ターンテーブルを
回転させて、その都度ストロボスコープによりチェックをしながら、根気よく続けていきます。

↑ 正確に33回転を目指して根気よく研磨して細くしていきます。 45回転部分と差がついてきました。

↑ 更に注意しながら削っていきます。

↑ ストロボスコープの変化がはっきりしてきました。削りすぎを警戒しながら、根気よく続けていきます。

↑ ここまで来ると削り過ぎが心配で、チェック回数が増えます。

↑ あと僅かになってきました。

↑ もうこの当たりで研磨を停止します。


↑ アップ画像です。
アイドラーとスピンドルの接触面は平坦で段差があってはならない為直径が1.5~3mmの真鍮製スピンドル
の研磨を慎重に行います。 上々の仕上がりになりました。

↑ シンクロナスモーターの周波数切り替えタップを60Hzに切り替えました。


↑ このプレーヤーはアイドラーがダブルについています。
ゴロ音が少なく当時高級プレーヤーに採用されていました。



↑ 45回転EPレコードのテスト中の様子です。





↑ 33回転のテストも良好でした。

↑ 当時のVictor Stereoに採用されたマニアックなラジオダイヤルです。


↑ シンクロナス フォノモーターはアメリカ GE社製です。
次工程はチューナーアンプのメンテナンスを行います。

1960年代後期のビクターオールトランジスタセパレートステレオ「SSL-55T」の修復修理の記録です。

↑ センター部のみお預かりいたしました。 スピーカーなしの為、ヘッドホンで初期点検を始めます。
チューナーアンプは通電テストで動作を確認いたしましたが、レトロオーディオ特有の経年劣化による
「ガリや特有のノイズ」があります。
プレーヤーは全く動きませんがめかのロックの為で、修復を進めていきます。

↑ 一応ターンテーブルが回転するようになりました。

↑ 真空管アンプからトランジスタアンプに変わりつつある初期の製品です。


↑ プレーヤーの分解点検を行います。

↑ 回転しない根本原因はセミオートプレーヤーのカムスイッチのロックの為連動不能になっていました。

↑ しかし、.回転が非常に早すぎます。 33回転で45回転EPレコードが聴けます。


↑ アームリフターが上下しません。



↑ 次工程でチューナーアンプシャーシーのクリーニング点検等を行います。