
予てよりお預かりしておりました1950年代ナショナルオールウエーブスーパーヘテロダイン真空管ラジオ「QA-700」の修復修理の記録です。

↑ 約60年前の終戦後に製造された高性能ナショナルオールウエーブ真空管ラジオです。
まとまったデザインと高感度高音質で好感度のよいラジオです。
全体的な修復を行います。

↑ 5球スーパーヘテロダイン回路の2バンドラジオは高感度で海外の短波放送ラジオを受信いたします。
16cmのパーマネントダイナミックスピーカーと出力真空管UZ42は小型電蓄並みの音が出ます。

↑ キャビネットの部分補修も必要のようです。



↑ 底部の固定ビスを取り外してシャーシーを取り出します。


↑ 見た感じは、保存状態が良く60年以上の経年を感じません。

↑ ヒューズホルダーの劣化や電源スイッチの不良で通電しにくい状態ですが、何とか動作させて点検
テストを行いました。
ボリュームやスイッチ等の劣化で猛烈な接触不良があります。

↑ 接点復活剤を投入して入念なすり合わせを行い、ラジオの仮動作をさせました。
12個のペーパーコンデンサーとブロック型電解コンデンサーの交換を次工程で行います。


↑ 電源コードも途中でつながれています。 交換が必要です。



↑ ラジオの選局同調標示真空管のUZ6E5が劣化していますのて交換の必要があります。
次工程へ続きます。
2016年10月に修復修理をさせていただきました1970年代トリオ4チャンネルステレオ「ST-6VD」が今回修理で
お預かりしておりました。
今回、先月にTRIO 4チャンネルステレオ「ST-7VD」シャーシーを「ST-6VD」の代替として組み込みました。
しかし
症状は「フロント右スピーカーの音が出ない」故障です。
しかし、テストでは、直ぐには症状が出ません。 こういう事はよくあります。
輸送中の強力な振動などで変化が起きます厄介な状況です。
色々点検している内に必ず不具合が出るまで待ちます・・・・・予想通り案外早く出てきました。
症状が一定ではなく変化します。 音が絞れ切れなくなったりもします。
ここで、初回の修理時のメインボリュームの4連ボリュームの不具合の修復が鮮明に蘇りました。
リンクではなく当時の修復の様子を貼り付けます。
以下2016年10月11日全文
1970年代トリオ 4チャンネルステレオ「ST-6VD」の修復修理は
「特殊なタップ付4連ボリューム100kΩ」で入手は不可能なため、
昨日、基板取り付け用の小形特殊ボリュームの端子片の接触不良の修理は
困難を極めましたが、一応直っておりました。
本日朝からエージングテスト中にボリュームツマミに触れると、なんとなく違和感を覚えました。
「一瞬、フロント左の音が絞り切れず少し残ります」。
しかし、また正常になります。
再発の傾向です。 やはり・・・・・と云った、不安感がよぎります。
徹底交戦・・・・・最後の手段即、折角組み込んだシャーシーを再度取り外します。
プリアンプ基板を取り外して4連ボリュームを基板から外して修理を行います。

↑ プリアンプ基板をシャーシーから取り外して4連ボリュームを基板から外すには、
後方のパワーアンプ基板と電源基板が邪魔になりますのでこの2点を少し移動させます。

↑ 慎重に作業を行います。プリアンプ基板のジョイント配線も6本だけ切断します。
何とか取り外せます。




↑ プリアンプ基板の裏面から4連ボリュームの端子片とプリント基板パターンの半田を
溶かして取り去って、不良ボリュームを外します。

↑ 4連ボリュームの端子片がに3ヶ所、更に外れて取れてしまいました。


↑ 欠損した端子片は最初の2個から3個増えて5個になりました。
端子片は極小のリベットでカシメてあります。
ボリューム(可変抵抗器)はカーボンの為端子片は直接半田付けは不可能です。
画像下段の小さな金属片を加工してクリップで挟むような感じで抵抗体と接触をさせます。
そして銅線を半田付けして基板のパターンに接続します。


↑ 準備が出来ました。
テスターで最小抵抗値約10Ω 最大抵抗値約100KΩ を4個とも確認OKです。

↑ 画像左の12個の小さな穴にボリュームの端子片を挿入して半田付けを行います。


↑ 修理済みのプリアンプ基板を元の位置に取り付けます。
切断した隣の基板とのジョイント線を半田付けします。


↑ 移動させた後方のパワーアンプ基板と電源基板を元通りに取り付けます。
結果はフロント、リアとも完璧に動作しました。
ここまで 2016年10月11日の記事
お客様から修理不可の場合は適当な機器の組み込みをご要望頂いておりました。
●「特殊なタップ付4連ボリューム100kΩ」で入手は不可能
●この「ST-6VD」シャーシーはかなり使い込まれ今後の使用に耐えないと判断して別シャーシーの
組み込みを行います。

↑ 展示中の1970年代TRIO 4チャンネルステレオ「ST-7VD」中古整備済完動品です。
「ST-6VD」のワンランク上位機種になります。

↑ このチューナーアンプシャーシーを取り出して移植交換を行います。

↑ 右に「ST-7VD」がスタンバイしています。

↑ 取り外した「ST-6VD」チューナーアンプシャーシーです。

↑ シャーシーの固定孔の位置がかなり違いまいので、孔開けを行いました。



↑ サイズ的には殆ど同じです。

↑ ピッタリです。

↑ 底板から4本のビスで固定を完了いたしました。



↑ プレーヤーを装填する前にカートリッジからの出力プラグの形が異なるために交換いたします。



↑ 出力プラグを交換いたしました。

↑ プレーヤーを載せました。

↑ テストを開始いたします。





「ST-7VD」はパワーも音質も満足です。
1970年代Victor 4CH SERVO player搭載セパレートステレオ「DF-5」の修復修理の記録です

↑ ビクター高性能4CHセパレートステレオDF-5は現存しているビクターDFシリーズでDF-11やDF-11DX
の上位機種です。 搭載のサーボプレーヤーの不具合でお預かりいたしました。
サーボプレーヤーはHzフリーです。
Victor DF-5は Pioneer FD-5と混同するような形式名です。
センター部サイズ W 595 H710 D430mm

↑ ターンテーブルが回転しないのは経年劣化でベルトが伸び伸びでしたので、交換を行いました。

↑ 最初は調子よく回っていましたが1分ほどで急に遅くなり、遂に停止してしまいます。
再度試みますが全く回転致しません。

↑ 10分ほど待って動作させると、最初回転はしますが同じ状況です。
これはサーボ回路基板内の不具合が原因と考えます。


↑ プレーヤーをキャビネットから取り外してサーボ回路基板の修復を行います。





↑ サーボ回路基板の全容です。大小8個のトランジスタが使用されています。

↑ 2SC1213×2 2SC829×1 2SA673×1 2SA1015×2 が使用されています。
調査の結果2SC1815Y 2SA733互換性トランジスタで交換を行います。



↑ 念のため33/45回切換えメカとスピード微調整ボリュームのガリに接点復活剤を投入いたします。


↑ トランジスタ交換後の45回転動作テストは良好です。

↑ トランジスタ交換後の33回転動作テストは良好です。


↑ カートリッジも良好です。





↑ エージングテストを続行中です。

↑ 最終にパワートランジスタ2SC1061×2を追加交換いたしましたのでサーボ基板内の全ての
トランジスタを交換いたしました。 正確な回転数をキープして安定感抜群です。

↑ 交換したパーツです。
1981年製ナショナルpanr colorブラウン管テレビ「TH18-C14(M)」の修復修理の記録です。

↑ 垂直偏向回路のIC AN5435の調達を行い返事待ちの状態ですが、万一の入手不能を考慮して
次の対策を考えました。
過去の多くの経験では(東芝カラーテレビの場合)垂直偏向出力ICの不良が多かった気がいたします。
今回のナショナルの場合も準備の必要があります。

↑ 緑◯印が直偏向出力ICですが、ICの記号が見えません。

↑ 取り付け位置の関係でICの記号が読めません。

↑ 半田付けを外してヒートシンクごと取り外しました。
AN5512でした。

↑ webでAN5512のデーターシートを見付けてテスターで調べますと、内部で短絡を起こしている状態を
確認いたしました。
運よく国内で見つかりました。 入荷を待ちます。
予てよりブラウン管テレビの修復修理のご相談を頂いておりましたが、現在テレビの修理は事情によりお断り
致しておりました。
しかし、ご依頼者の「診断だけでも」と熱心なご要望により製品をお送りいただいておりました。

↑ 大切に永年ご愛用の1981年製ナショナルpanr color ブラウン管テレビ「TH18-C14(M)」です。
残念ながら、垂直偏向回路の故障により横線1本の「横一」になっています。

↑ ICとトランジスタ仕様の大型ブリント基板シャーシーを取り外して詳細点検を行います。

↑ ターゲットを絞り込みました。 黄◯印が最も怪しい垂直発振回路を含むICです。




↑ 電圧測定の結果、電圧に異常があります。

↑ 緑色の2.7KΩと10KΩの抵抗が相当発熱が酷く基板に焦げ色が見られます。
これは
IC AN5435が異常になり大電流が流れたことになります。
早速
IC AN5435の調達を打診致しましたが、入手の可否が運命の分岐点になります。

ICの入荷を待ちます。

予てより遠方からお持ち込みを頂いておりました1960年代ナショナル真空管式HiFi Stereo「SE-8800」の修復修理の記録です。
お引き取りの前日になり、エージングテスト状態のレコードプレーヤーをキャビネットに完全組み込みを行い、
最終動作を行いました。
プレーヤーは正常動作で演奏が終わりオートリターンしてトーンアームがアームレストに戻りました。
しかし、ターンテーブルが回転したままになっています。
修理中のエージング時はフォノモーターを別コードで直接駆動をしていましたので、この状態は確認出来なかったのです。

↑ 再度プレーヤーを取り外し修正を行います。


↑ 取り外してあったメカを参考に原因を究明いたしました。

↑ アームリターンのマイクロスイッチの取り付け位置の不備が原因と分かり修正を行いまいした。


↑ 微妙な位置調整で正常になりました。

↑ 傷んだレコードなどで針飛びがあるため軽すぎる針圧を少し重くするため工夫いたしました。
修正ウエイトを前後させて調整できます。
当ブログを立ち上げ修理記録情報を公開するようになりまして、足掛け10年になりました。
現在、累計230,000アクセスを超えました。
熱心なレトロファンの皆様方のお蔭で心より感謝申し上げます。
お陰さまで、全国各地より修理依頼やご相談を頂いております。
難易度の高い製品が多く、年中無休の状態でも、未完でお待ちいただいております。
大変申し訳けございませんが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
今年は初仕事に昨年にお預かりしておりました、
半世紀前のレトロなSONYソリッドステートクロックラジオ「8RC-49」の修復修理をさせていただきました。
以下完成までの記録を一気に公開させていただきます。

↑ 目覚まし機能付きトランジスタAMラジオのSONYソリッドステートクロックラジオ「8RC-49」です。
電源コードの不良で、いきなりブレーカーが落ちます。

↑ 真っ先に電源コードの交換を行います。




↑ 電気時計は一応動きましたが、時々停止します。


↑ 超小型のインダクションモーターのリード線の接続が劣化していますので交換を行いますが、
小さすぎて半田付けも困難な状態です。



↑ 電気時計の修理は諦めて、ラジオだけ完成させようと考えました。

↑ やはり、諦めきれず、直してしまいました。

↑ ラジオはボリュウームの接触不良が極端て接点復活剤とすり合わせで直りました。
ところが、15分ほどテスト中に音量が10分の1位に低下しています。


↑ スピーカーを鳴らしている出力トランジスタの2SB22の不良を判定いたしました。

↑ 2SB22の代替としてTOSHIBA 2SB56を使用して交換を行いました。

↑ 赤◯内は2SB56半田付けの様子です。

↑ 音質/音量は良好で安定しています。
時計は50Hz用です。 精度は不明ですが、目覚まし機能は正確です。

↑ 不良のトランジスタ 2SB22 です。

↑ 劣化して柔軟性がなくなった.不良の電源コードです。

↑ 安全使用の為電源ヒューズの取り付けを追加いたしました。
明けましておめでとうございます
昨年中は一方ならぬご厚情を賜りまして心より感謝申し上げます。
2020年は予期せぬコロナ禍により翻弄されました。
見えない相手に立ち向かうのはあらゆる困難を伴いますが、
人々は賢く強くなり時代の変化に立ち向っております。
レトロオーディオは永遠です。
オーディオを愛する方々と共に、いのちの続く限り精進をいたしてまいります。
今後とも、どうぞご支援ご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
皆様方のご多幸をお祈り申し上げます。 令和3年元旦
ヨネデンレトロオーディオ再生工房 米川 勇
※ 時代の流れにより年賀状の有り方に変化が顕著になって参りました。
今年も時流に合わせまして「WEB年賀状」とさせて頂きます。
「ハンダ」と「半田鏝」は切っても切れない関係です。
どちらが欠けても役に立ちません。
私にとっては、最良のコンビです。いい仕事をしてくれます。
だから、長年愛用しています。 これからも・・・・・。
